うつ病療養中、ひどく焦ってしまうことはありませんか?
社会復帰の見通しが立たず、将来が不安。回復も感じられない。これからどうしよう……!
そんな状態で悠長に休んでいることなんてできませんよね。
どうすれば、このつらい焦燥感を落ち着かせることができるのでしょうか?
今回は、焦りに悩まされた私が試した対処法を紹介します。スッキリ解消というわけにはいきませんが、気持ちを落ち着かせるきっかけにはなると思います。
比較的即効性のあるもの、堅実な対処法、心をラクにする考え方をまとめています。いいなと思うものがあれば試してみてください。
焦燥感を和らげる11の方法
まずは強い焦りを落ち着かせる方法から紹介します。
タイプ別に対処法を分けてみましたので、気になるところから試してみてください。ちょっとした焦りにはけっこう効くと思います。
- 今まさに焦っている!
- 漠然とした焦りを感じている
- 焦りが強まったらどうする?
この順番で紹介していきます。
今まさに焦っている人はコレ(即効性が高い方法)
深呼吸する(心と体を落ち着かせる)
焦りが強まると、呼吸が浅くなります。
そういうときは、いったん手を止めて、深呼吸。
それだけで気持ちが少し落ち着きます。
息をゆっくり吐いてから吸うと、うまく深呼吸できます。
別の行動に移す(スイッチを切り替える)
ソワソワ落ち着かないときは、何か別の行動に移して、気を紛らわせましょう。
立ち上がる、落ちている物を拾う、入浴、シャワーを浴びる、歯磨き、柔軟体操、郵便受けの確認など。
ちょっとした区切りを入れるだけでも、焦りの増幅は防げます。
>>落ち込んで力が出ない?次の行動につなげる9つのお手軽アクション
紙に書き出す(焦りを切り分ける)
「大きな焦り」は「小さな焦り」に切り分けましょう。紙に書き出してみるのが効果的です。もわもわと広がり続ける焦りを「はっきり」させるだけでも、気持ちは落ち着きます。
焦りを切り分ける7つの質問
- いま困っていることは?
- なぜそれが重要なの?
- どんな解決策がある?
- どの方法がベスト?
- 優先順位は?
- 何が必要?
- いつ実行する?
漠然とした焦り(将来の不安、社会復帰の焦り)にはコレ
やることを一つだけ選ぶ
「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」、そんな焦りでいっぱいのときは、すべて一気にやろうとしていないか確認してみましょう。
行き詰まったら実行したい5ステップ
- 紙とペンを用意する
- やることをすべて書き出す
- 優先順位をつけ、次にやることを明確にする
- できないことは「できない」と言う
- 根性論や精神論は捨てる
>>努力が足りない?甘えてるだけ?行き詰まったら実行したい5ステップ
優先順位をつけて、今やることを一つだけ選ぶ。これがポイントです。
時間と範囲を制限する(1日のゴールを決めておく)
激しい焦燥感を抑えるコツは、時間と範囲を制限すること。
「今から10分間だけ考える」
「今日は履歴書を1枚完成させたらOK」
など。時間を決めて心配しましょう。ゴールを達成できたら、あとは自由。ご褒美もお忘れなく。
仕事探しの焦りを軽減するコツ
- 制限時間を決める
- 少しずつチェックする
- 検索条件を狭める
>>求人情報が怖いうつ病患者さん必見!仕事探しの焦りを軽減する3つのコツ
少しずつやる
「もうダメだ!できない!どうしよう!」、そう思ったときは、無謀な目標に向かっていることが多いです。イメージとしては、いきなり跳び箱20段をクリアしようとしているとか、100段の階段を一歩でのぼろうとしているとか。
私の場合は「一生分の食事を一度に食べようとしているね」という例え話がしっくりきました。私が焦燥感に支配されているときって「今ここで一生分の野菜を食べなければ、持っている爆弾が爆発する!ヤバい!死ぬ!」みたいな気持ちになっているんですよね。
一生分の野菜も、爆発寸前の時限爆弾も、自分が作り出した幻影です。
無理のない範囲で、少しずつ味わって食べましょう。
やらない勇気を持つ(見送る、任せる、休む)
無理やり実行していませんか?
焦ってジタバタすると失敗することが多いです。コンディションが整うまでは、見送る勇気も必要です。
駆け込み乗車は危険です。次の電車を待ちましょう。
>>「頑張らない」ってどういうこと?「いらすとや」作品から学ぶ人生の心構え
できないこと、苦手なことをやろうとしていませんか?
人には得意不得意があります。自分で全部やろうとせず、任せられるところは人に任せましょう。
・やらなくていいことはやらない
・最低限これだけやればOK
そう意識すると、ちょっと気が楽になります。
>>重要ではないところにエネルギーを費やして疲れてしまわないように
寝ると落ち着く場合もあります
心身の調子が乱れたときは、いったん休憩。眠りはリセット効果があるので、気持ちを落ち着けたいときに最適です。
一つの答えに固執しない(他の選択肢を探す)
焦っているときは、視野が狭くなっていることが多いです。一度立ち止まって、自分に必要なことは何か確認しましょう。
人生には選択肢がたくさんあります。これを機に、今までとは違う生き方、多数派ではない生き方に触れてみるのもいいかもしれません。
焦りが強まったときに備えてやっておきたいこと
強い焦りが出たときのマニュアルを用意しておく
自分の取扱説明書を作りましょう。不調のサインと具体的な対処法をまとめておくと、いざというとき役立ちます。
>>イヤな気分から早く抜け出すコツ ― 自分の説明書を作ろう【ウツ用】
周囲の人になだめてもらう
親しい人にあらかじめお願いしておくのも一つです。
「呼吸が浅くなっていたら教えて」
「ヤバそうなときは、水を飲ませて」
など、マニュアルとあわせて、クールダウンする作戦を立てておきましょう。
自分専用「名言集」を作成する
気持ちを落ち着かせる言葉があれば、それをまとめておきましょう。
心がラクになる考え方、好きな人の言葉、生き方などをリストアップ。
私の場合は、飄々と生きる人の姿を思い出すことで焦りを和らげています。
焦燥感を和らげる方法まとめ
今まさに焦っている人は
- 深呼吸する
- 別の行動に移す
- やることを紙に書き出す
将来の不安、社会復帰に焦ったら
- やることを一つだけ選ぶ
- 時間と範囲を制限する
- 少しずつやる
- やらなくていいことはやらない
- 一つの答えに固執しない
焦りが強まったときに備えて
- マニュアルを用意しておく
- 周囲の人になだめてもらう
- 自分専用「名言集」を作成する
なぜ焦る?心が落ち着かない理由と対策
頭ではわかっているのに焦ってしまうのはなぜか? その理由を理解することで、対策を立てることができます。
焦る理由1:人と比べている
人と比べて足りないところに注目するのではなく、「よいところの評価」を心がけましょう。
>>自分をいじめていませんか?自責の痛みを和らげる5つの作戦
焦る理由2:理想が高すぎる
自分に合った目標を立てましょう。
焦る理由3:「すべき思考」が強い
プレッシャーが高まる「~ねばならない」「~すべき」という考え方をほぐしましょう。
>>自分を縛るものは何?すべき思考・痛みを和らげる7つの技法
焦る理由4:なかなか成果が出ない
思うような成果が出ない理由として考えられるのは2つ。
1. 経験が足りないため、うまくできない
十分に練習をして自信をつけましょう。
2. 苦手な分野
どうすればよいか、具体策を考えましょう。できないことを無理にやるのではなく、手伝ってもらうことを考慮するとよいと思います。
焦る理由5:「お金がない!」
まずは現状を把握することから。
今困っていることは何?
いくらあったら大丈夫?
どうやってお金を手に入れる?
療養中に使える経済支援制度もチェックしておきましょう。
>>「お金がない!」うつ病・無職・貧乏暮らしをサポートする制度
心を落ち着かせる方法
- よいところを評価する
- 自分に合った目標を立てる
- 「すべき思考」を取り除く
- くり返し練習する、苦手なことろは手伝ってもらう
- 現状を把握し、どうすればうまくいくか考える
焦りを防止する考え方6つ
最後に、ヤバいヤバいと焦りがちな私を落ち着かせてくれた考え方を紹介します。
今日をしのぐことだけを考える
「うまくいかないときに、いろいろ考えても、悪いことしか思い浮かばない」
「そういうときのコツは一つ。今日をしのぐことだけ考える。「あ、今日は無事だった」それで良い」
>>将来の不安に飲み込まれそうになったとき、私が思い出す考え方
人と比べない、人を見ない
人と比べて落ち込んだり焦ったりするくらいなら、何も見ない方がいい。自分のペースで確実に進んでいける選択を。
「人は人、自分は自分」です。
まぁ、それが難しいいんですけど。
>>「私は何てダメなんだ」落ち込みの理由とつらさを和らげる考え方
常識・一般論・世間の声には耳をふさぐ
「~しなければ」「~すべき」に縛られると苦しくなります。特に人の目を気にしすぎる人、「普通はこうでしょ」「人としてダメ」が口癖の人は要注意。
社会生活を営む上で常識を無視することはできませんが、置かれた環境・状況によって、「常識」や「普通」は変わります。
必ずしも多数派の意見が正しいとは限らないので、常識・一般論・世間の声は、参考にする程度で十分です。
欲張らない、一気にやろうとしない
先ほども紹介した例え話です。
たとえば食卓につくたびに生涯にわたって食べなければならない食物のすべてを考えるようなものだと想像してごらんなさい。目の前に何トンもの肉や野菜が積み重ねられて、死ぬまで食べなくてはいけないんだと想像してごらんなさい。食事のたびに、「これは、ほんの一部なんだ。どうやって今までたくさんの食物を食べてこられたんだろう? 今夜、山ほどハンバーガーを食べたって何の意味もないんだ」と言ったとしましょう。きっと吐き気がして圧倒されて、食欲はなくなり胃は凋(しぼ)んでしまうでしょう。
(『いやな気分よ、さようなら』p.87-88)
焦っているときの私は、「今ここで一生分の食物を食べなければ死ぬ!」的な思考に陥っていたわけですが、冷静になればわかりますね。
毎日少しずつ食べれば大丈夫だよ、と。
焦って一気に食べたらむせます。
>>己のダメっぷりに打ち負かされたとき役立つユニークな例え話
「明日でいいことは今日やらない」
前倒しで事を進めるより、コンディションを整えて臨むことが大事。
焦って、突っ走って、ズッコケたら、ケガをします。マラソンでスタート直後に全力疾走したら、すぐにバテて完走は困難です。
そういう事態に陥らないよう、息切れしない戦略を立てる。「今日できることは明日まで延ばすな」ではなく、「いま確実にできることを無理のない範囲でやる」。
>>焦りに支配された私が学んだこと「明日でいいことは今日やらない」
最終的に人はみな死ぬので大丈夫
どんなにヤバい状況に陥っても、最悪死ぬだけです。
成功しても失敗しても、死は平等に訪れます。
どのような選択をしようとも、人はいずれ死ぬので、それほど心配しなくても大丈夫。
私の場合は、大抵これで治まります。「全然大丈夫じゃないけどね」と言いながらも。
焦りを防止する考え方
- 今日をしのぐことだけを考える
- 人と比べない
- 常識・一般論・世間の声には耳をふさぐ
- 一気にやろうとしない
- 明日でいいことは今日やらない
- 最終的に人はみな死ぬので大丈夫
焦りモードを停止するのは大変
何をするにも焦りは禁物。
きっと焦りに悩まされている人は、この言葉を嫌と言うほど耳にしていると思います。自分でも言い聞かせていますよね。焦っちゃダメよ、焦らなくて大丈夫だからね、焦って失敗したら元も子もないからね……etc.
しかしながら、焦りモードに突入すると、すべて見事に吹っ飛びます。
私自身、うつ療養中は焦燥感にかなり悩まされておりまして、対処法をあれこれ探していました。ただ、本やネットの情報を見て「焦らなくていいんだ、気持ちが落ち着いた」と心から感じたことは少なかったです。いくら頭ではわかっても、ソワソワはなくならないんですよね。
たぶんこの焦りは症状の一つなんだと思います。焦るなと言ってもあまり意味がない。風邪で寝込んでいる人に「熱を出すな」と言うようなものかもしれません。
というわけで、病的な焦りに対する解決策を私は知りません。「病的」なんだから、医師の指示に従って、薬を飲んで休むしかない。って「休んでる場合じゃない!」と焦ってしまうから困っているというのに。どうしたらいいものか。
正直、焦りに関しては「実際に痛い目を見ないとわからない」みたいなところもあるように思います。人の失敗談をいろいろ読んでみるといいかもしれないですね。(例えばこちら:警告!「仕事をしなければ」という思考は、焦り地獄の始まりです)
あとは、体が動くなら、軽い運動をするのがよいと思います。戦いに備えて力を蓄えていると考えれば、ちょっとは焦りも和らぎます。
人の失敗から学ぼう!
体を動かそう!
まとめ:ゆっくりじっくりいきましょう
焦ってしまう! どうしよう?
- 焦ったときこそミスを重ねないよう一服する
- やることを一つだけ選ぶ
- 紙に書き出して整理する
- 人生にはやらなくて大丈夫なことも結構多い
- 焦るのは前に進もうとしている証拠
焦りは簡単に止められないし、厳しい現状を思えば、気楽なことは言えないのですが、焦ってコケたらケガします。
痛いとつらいので、転ばないよう慎重にいきましょう。
落ち着いてやれば、きっとうまくいきます。
激しい焦燥感で爆発しそうになったとき参考にしていただければ幸いです。
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