ひどい抑うつ状態で休んでいるとき、何もしていない後ろめたさを感じることはありませんか?
主治医に「しばらくは休養していればいいよ」と言われても、ずっと休んでいることに抵抗を感じる人は少なくないのではないでしょうか。
だからといって、気力もなければ、身体もダル重。人に会うのもつらい。先のことを考えれば不安ばかりがふくらんで、焦燥感にのみ込まれそう……。
そういうときは、とりあえず今できることをやってみる。そうすることで、現状を打開する糸口が見つかるかもしれません。
とは言え、心身が弱っていると、できることなんて何もないように感じてしまうこともあります。そんなとき、ぜひチャレンジしてみたいのが「掃除」です。
お掃除にはいいことがたくさんあります。今回は、集中力がないときや「私はダメ」と自信を失ってしまったとき、うつ病療養中でもできそうな工夫をまとめました。
心をスッキリさせてくれるプチ掃除、ちょっと試してみませんか?
掃除・片づけのメリット
掃除は、家事全般の中でも取り組みやすいものの一つだと思います。
- 難しいことを考えなくてすむ
- 「できた!」という達成感が得られる
- 身のまわりがキレイになると気持ちもスッキリする
ネガティブ思考の悪循環にはまっているときこそ、手を動かしましょう。目の前の物事に意識を向けることで、ぐるぐる回り続ける悪い考えの勢いは弱まります。
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心のホコリを落とす3ステップ
調子が悪くて、とてもじゃないけど掃除する気力はないワ……。
そんなとき、私が実践していたのが次の3つ。
1. 窓を開ける
一日中寝ているときは、部屋の中に何とも言えないイヤ~な感じが充満しています。ウツウツドロドロジメジメの陰鬱な重~い空気を放出しましょう。
起きたら窓を開けることを習慣化するのがおすすめ。慣れないうちは、窓を開けることに人生のすべてを捧げるつもりで。
換気、大事です。
2. 寝る空間に余計なものを置かない
療養中は、寝床で過ごす時間が長いですよね。ベッドにしろ、布団にしろ、その空間は主にとって神聖な場所です。必要ないものは置かないようにしましょう。
いつも一緒に寝ているクマさんや、手放せないタオルは持ち込んでOKですよ。でも、スマホ、音楽プレイヤー、ゲームなどの充電コードはよけておきましょう。涙や鼻水を拭いたティッシュもちゃんと捨てて。
捨てる行為も無理なときは、ゴミ箱を手の届く範囲に置きましょう。
3. ハンディモップでひと撫で
ホコリを取り除くだけでも、空気は変わります。部屋中のホコリをキレイにできたら最高ですが、それをやろうと思うと大変なので、まずは身の回りから。
私は、窓の近くにハンディモップを置いています。窓を開けたついでにハンディモップを持って、その辺を撫でながら陣地(寝床)に戻ります。それだけです。気が向いたら撫でる範囲を拡張します。気分が乗ってきて、そのままお掃除モードに突入することもあります。気分が乗らないときは何もしません。ホコリを積もらせたまま生活します。
ええ、いいんです。できるときにやれれば、それで十分なんです。自分を責めず、フラットな状態でいられれば、それでいいんです。それが心のホコリを積もらせないってことなんです。多分。
重い腰を上げるコツ
ハードルを下げまくりましょう。重い腰を上げるというより、腰を上げずにできちゃうゾというレベルに設定します。そうです、ハードルを地面にめり込ませるのです。
キレイにする範囲を決める
具体的な目標を決めましょう。「何かしなきゃ」と思うけど身体が動かないヨ~というときは、身の回りの簡単なことから。
- ケータイの液晶画面をティッシュで拭く
- ベッドの上のもの(電源コード、枕の下敷きになった本など)をどかす
- ゴミ(鼻をかんだティッシュなど)を捨てる
- 寝具のシワを伸ばす
- 携帯や音楽プレイヤーなどの充電コードを束ねる
- 机の上のゴミを捨てる
- 丸まっている服をそれなりの状態に戻す
- 自分が今いる半径50cm以内をキレイにする
一点集中でいきましょう。どんなに小さなことでもOKです。
もう少しできそうなときは、キレイにする範囲を広げましょう。
「半径1m以内をキレイに」
「テーブルの上をキレイに」
「床に落ちているゴミや埃をキレイに」
「この部屋の〇〇コーナーをキレイに」
行動をできるだけ細かく分解&リスト化すると、動きやすくなります。
【関連】何をするのもおっくう?「できない」悪循環を断ち切るための記録シート
お掃除タイム(制限時間)を決める
制限時間を設定して「この時間だけやれば合格」と思えば、自分を褒めやすくなります。
キレイにする範囲を決めるのと同じように、ハードルを下げまくります。
10秒、1分、5分あたりから始めると、気楽にできます。ちゃんとキレイにならなくてもいいから、手を動かしてみることが大事です。で、10秒(1分、5分)手を動かせたら合格!
10分やろうと思える頃には、自然に頑張れるようになっていることが多いです。お掃除モードに切り替わってからの10分は割とあっという間。あとは、できる範囲で軽~くやればOKです。
BGMをかける
好きな音楽をかけながらやると、ちょっと気分が上がっていい感じです。「この曲が流れている間だけ掃除する」と決めると、「よし、ちょっとだけ頑張るか」と思えたりします。
いったん動き出してしまえば、そのままお掃除タイムを継続することはさほど難しくありません。
自信回復! 5つのルール
できなくてOK
うつ状態の人がチャレンジするわけですから、健康な人と同じようにできなくて当然です。つまり、ちょっとでもできたら超スゴイ! ってことです。
縦のものを横にすることさえ億劫なときは、まだゆっくり身体を休める時期です。掃除はまた今度にしましょう。
散らかっていてもOK
「きちんとしよう」と思わないことも大事です。ゴミ屋敷でも人は生きていけるのです。「こんなこともできない自分はダメだ」と自分を責める思考こそ不要品。それはポイしておきましょう。
「散らかっている状態が私にとってのベストポジションなのだ」「隠す収納ではなく、見せる収納なのだ」「この雑然とした雰囲気が魅力なのだ」などの言い訳を胸に、私はゴミみたいな生活をしていましたぞ?! つーか今も汚いですぞ?!
よかったことを数える
実行できた自分を褒めましょう。もし何もできなかったとしても、「掃除しようかな」という気持ちが素晴らしい! 「よかったな」と言いましょう。あるいは、日記に書きましょう。
疲れたら休む
無理をしないことも大切です。疲れたなと思ったら、即!休憩。
調子が良いと「意外と頑張れちゃったワ」ということもあります。そういうときも、しっかり休みましょう。一気にワ―っとやった反動でグッタリしてしまうこともあるので、ほどほどに。小休止、大事です。
嫌になったらやめる
気楽にやるのが一番。嫌々やると、心に負担がかかります。心身が弱っているときには、できる限り負荷を軽くしてあげることが大切です。
「怠け心に負けてしまう自分はダメ人間」という気持ちが強い人は、「やりたいと思うとき以外はやっちゃダメ」ぐらいのルールを作っておくと、ちょっとは責める気持ちが弱まると思います。
無理矢理やる必要はないのです。
楽しくゲーム感覚で
掃除・片づけに限らず、家事全般は程よいリハビリになります。好きなものから攻略していきましょう。
・買い出し
・食事の支度
・片づけ・洗い物
・洗濯
・フロ掃除
・トイレ掃除
・ゴミ出し
・補修・修繕 など
こうやって羅列すると、「やらなければならないことがこんなにも……!」となってしまう人もいるかもしれません。「めんどくさ~」とやる気を削がれる危険性もあります。そういうときは、先の「重い腰を上げるコツ」を応用して、一つずつ、無理なくできそうなものからチャレンジしてみましょう。
今までに書いたエントリからもオススメを挙げておきます。
・太陽の恵みとささやかな幸せを ― 難易度別ふとんクリーニング法
調子が良く、天気も良い日は、ふとんを干しましょう。ちょっと陽に当てるだけでも、お布団リフレッシュ! です。
・たった5分で気分スッキリ!私のモヤモヤ解消法「蛇口磨き」
お金も手間もかからないモヤモヤ対処法。軽くゴシゴシするだけでも、水あか取れてスッキリ! です。
・【もやし最強】30円でスッキリ!ひげ根とり大作戦
料理の下ごしらえ、もやしのお掃除(?)です。もさもさスッキリ・デリシャス! です。
最後に
自信を取り戻すために、できたことを褒めてあげよう!
そのために、今の自分ができることを探そう!
そのヒントは家事から得られる可能性大!
くり返しになりますが、無理のない範囲で、ちょっとやってみればOK。この「とりあえずちょっとやってみる」が私にとっては重要なポイントでした。
あとは、「やったー!」「できたー!」「天才~!」と大げさに喜ぶことも忘れずに。
何より大事なのは、自分が心地よく過ごせること。
掃除も楽しんでできたらいいですよね。でも、できなくてもいいですよね。
って思えたらいいですよね。
【こちらもあわせてどうぞ】
・愉快な気持ちになれるかも!?自分を肯定する練習
私に大げさな喜び方を教えてくれた人がいました。自分を褒める練習です。
・上手にサボろう!料理・片づけ攻略法&手抜きレシピ(うつ単身者編)
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・「何もしたくない」やる気を失い怠け心に負け罪悪感にまみれたら
やる気が出ないときにやる気を出す方法。<今日やること>は「フロそうじ」だそうです。
・「当たり前」ができなくて落ち込んだとき必要な考え方
主治医が教えてくれた「できない自分」との向き合い方です。「できなかった」ではなく、「できた」に注目していきましょう。