「自分が住んでる地域で評判のいい病院を探すには?」
「情報をうまく集めるコツってある?」
そんな疑問をお持ちの方に。
地域の病院の調べ方、ネットで情報を集めるときにチェックしておきたいポイントを紹介します。
とあわせて参考にしてみてください。
もくじ
病院を探す方法(手段いろいろ)
1. 「医療情報ネット」で探す
お住まいの地域の病院は、各自治体が提供する医療情報システムで探すことができます。
以下の厚生労働省のページでまとめられています。
都道府県ごとに、条件に合った病院を探せます。
自治体サイトによって形式は違いますが、診療科、診療日・診療時間、治療内容、費用、配置スタッフなど、詳しい内容がわかります。
2. インターネットで検索する
- 病院の公式サイト
- 医療機関検索サイト
- 口コミサイト
など、インターネットを使えば、手軽に多くの情報が手に入ります。
ただ、ネット対応していない病院は、見つけにくいです。
ネット情報の見極め方は後述します。
3. 保健所・精神保健福祉センターでたずねる
保健所へ行くと、近隣の医療機関を教えてもらえます。医療マップや独自の冊子を用意しているところもあるようです。
精神保健福祉センターは、各都道府県に1か所以上設置されている機関。精神科の治療に詳しいスタッフさんが相談に乗ってくれます。
保健所は、評判のよい病院の情報を持っていることが多いとも聞きますが、このあたりの対応は自治体によって差があるようです。
私が実際に問い合わせたときの体験談を「心の相談窓口・困ったときは保健所に相談してみよう」で書いています。ご参考までに。
4. 知り合いの口コミ
家族や友人知人に通院している人がいれば、その人に紹介してもらうのも一つ。
必ずしも自分に合うかはわかりませんが、リアルな雰囲気はわかります。
少なくともハズレを引く確率は低くなりそうです(ハズレという言い方はあれですが)。
5. かかりつけ医に紹介してもらう
内科などのかかりつけ医に聞くと、よい病院を紹介してもらえるかもしれません。
ただし、中には精神科医療に理解のない先生もいるようで、「あんなところ行っちゃだめ」みたいなことを言う先生もいるのだとか……。う~ん。
ちなみに私は、「あ~、うちはそういう紹介みたいなことはやってないんですよね~」と言われたことがあります。真意はよくわかりません(面倒だったとか?いろんな兼ね合いがあるとか?単純に「知らねーよ」ってこと?)。
※おすすめの病院を教えてもらえなくても、紹介状は書いてもらえます。どの診療科の先生でもOKです(内科、皮膚科、耳鼻科など、どこでも○)。
6. 学校や会社の相談窓口で紹介してもらう
所属する会社や学校にメンタルヘルスの相談窓口があれば、そこに相談してみるのも一つです。
- 産業医、企業内カウンセラー経由
- 社内の福祉課
- 学校の学生相談室 など
よい病院・医師を探す!情報を上手に集めるコツ
1. ネットの検索順位が低い病院サイトもチェックする
「検索上位=よい病院」とは限りません。
上位に表示されるのは、ネット対策をしっかりやっているから。治療の質とは関係ありません。
また、検索上位のサイトには今風のデザインも多い印象ですが、いくらサイトがスタイリッシュでも、治療がうまいとは限りません。反対に、スマホで見づらいダサダササイトでも医師の腕は抜群! ということもあるでしょう。
ネットで調べるときには、このあたりに注意して、データを拾っていきましょう。
中には自前のウェブサイトを持っていない病院もあります。個人的な観測範囲で言うと、地域に根ざした小さな医院は「近隣住民のみなさんが来てくれるから別にいいや~」的なノリが多い印象。
そういう病院にこそ名医がいたりするかもしれないので、広くチェックしておくのがよさそうです。
2. 口コミサイトの意見は参考程度に
実際に受診した人の意見は参考になります。しかし、インターネットには怪しい情報もあるため、注意が必要です。
私がネットで口コミを見るときは、次の3つを意識しています。
(1) 口コミ投稿件数がずば抜けて多い&すべて大絶賛の病院は要注意
口コミはお金で買うことができます。
サクラかどうかを見分けるのは難しいですが、投稿件数が10件以上あるのに、すべての口コミが★5つの高評価、みたいなところは疑ってかかった方がいいと思います。
もちろん、口コミ通り、素晴らしい病院もあるでしょう。
でも、「すっごくよかったです!」「本当に信頼できる病院です!」的な書き込みばかりが続くと「怪しいなぁ~」と感じてしまうのが正直なところです。
(そういえば先日、Dr 林のこころと脳の相談室で「【3639】患者に口コミサイトへの高評価を依頼する医師」というQ&Aがありました。こういうお願いをしているところはどれくらいあるんでしょうねぇ)
(2) 感情的な口コミは鵜呑みにしない
反対に、「ここの医師は人として最低です!」「絶対に行ってはいけません!」などの激しい口コミもスルーした方がいいと思います。
あくまでも口コミは主観的な意見です。いろいろ見ていると「腹が立って衝動的に書いてしまったのかな?」「精神的に不安定なとき受診したのかな?」と感じさせる投稿もあります。
もちろん、噂通り、人として最低な医師である可能性もあります。ただ、ネガティブな情報は頭に残りやすいので、気にしないくらいがちょうどいいです。
(3) 具体的なエピソード、複数の証言はそれなりに参考にする
私が参考にする口コミは3つ。
- 冷静に、具体的な内容を語る口コミ
- 投稿件数がそれなりにある口コミ(多数派)
- 低~中評価の口コミ(★2~3の評価)
というのも、先日内科クリニックを探しているときに、「これはリアルな意見だな」と感じる投稿がありまして。
内容は、先代の悪口。「前の先生は高圧的で、嫌なことも言われたけど、今の先生(息子さん?)はまあ感じよくやってくれるかな」的な書き込みがチラホラ見つかりました。先生の立ち居振る舞いまで伝わってくるようなエピソードが含まれる投稿です。
キーワードを拾って、さらに個人ブログなども探してみると、そこでも似たような意見を発見(このときは懐かしきmixiのページがヒットしました)。
「どんだけ先代嫌われてたんだよ」と思わず笑ってしまいましたが、複数の人が語る具体的なエピソードは参考になるなと感じた次第です。
一つの口コミサイトだけでなく、多数のサイトをくまなくチェックすると、こういう意見を拾えることもあります。
3. 地域の医療マップを参考に広く探す
ネット情報に偏らないために、地図を使うと便利です。パッと見で距離感やアクセスの良さをチェックできます。
近隣の医療機関リストを配布している自治体、一覧表を用意している保健所もあります。
この他に、新聞社などが発行する医療マップ、地域のフリーペーパーに掲載されたリストも使えます。
ただし、企業が発行する冊子は広告的な要素が強いので、ネット同様そのあたりは要注意(デカデカと名前が掲載されているところはお金を多く払っている?)。
4. 病院サイトで医師のプロフィール・経歴をチェックする
ある程度、気になる病院を絞り込んだら、各病院のサイトで医師のプロフィールや経歴などをチェックしていきましょう。
医師のプロフィールからわかるのは、勤務歴と資格の有無。
経験豊富な医師を探すなら、
- クリニックの勤務歴が長い
- 研究機関よりも臨床の場で外来経験を積んでいる
- 開業してから数年経っている
- 薬物療法以外の治療もできる
- 指定医、専門医資格を持っている
などをチェックすると、何となくの目安になります。
また、病院サイトの挨拶文、ブログから人柄が伝わることもあります。
「指定医」「専門医」とは?
「資格が多い=よい医師」とは限りませんが、ひとつの目安として参考になるのが専門医・指定医の資格。
どちらも3年以上の経験があり、試験に合格すると得られます。
精神保健指定医 | 精神科専門医 |
---|---|
国家資格 | 民間資格 |
医師経験5年以上、 精神医療の経験が3年以上 |
精神医療の経験が3年以上 |
法的権限あり 強制入院の判定を行える |
法的権限なし |
「指定医」「専門医」からわかるのは、
「基本的な知識を持っていて、精神科で3年以上働いているんだな」
ということ。中にはこの資格を取らない先生もいるそうなので、あまり参考にはならない……のかもしれません。資格の有無で優劣は決まらないですものね。でも、「資格あり」だとやっぱり安心感はあります。
詳しくは「精神科の指定医・専門医なら安心なの?違いは何?」でまとめています。
5. 予約電話、問い合わせで対応をチェック
わからないことは直接病院に問い合わせてみましょう。
- 待ち時間はどれくらいですか?
- 初診の担当医師はどの先生ですか?
- 診察時間は何分くらいですか?
- 初診の費用はいくらくらいですか?
など、心配なことを聞いておくと、不安が和らぎます。
プラス、問い合わせの質問を嫌がらず丁寧に回答してくれる病院は、よい病院の可能性が高いと言えそうです。
ただし、スタッフの態度が悪いからと言って、医療の質が悪いとは言えません。大きな病院であれば、どうしても当たり外れが出てしまいます。これは病院に限ったことではないですよね。
とは言え、定期的に通院することを考えると、できれば和やかな雰囲気の病院を選びたいところ。
ポイントの一つとしてチェックしておきましょう。
病院探しで迷ったら?頼れる地域の相談窓口
「どの病院に行くべきか相談したい」
「無料の電話相談を利用したい」
など、メンタルヘルスに関するお悩みを相談できる窓口があります。
治療や社会復帰に関する相談に、保健師などの相談員が対応してくれます。地域に密着した身近な相談窓口です。
■全国の精神保健福祉センター
自立・社会復帰・社会参加を目指す施設です。心の病気、精神医療、社会復帰に関する相談に乗ってもらえます。
■地域の医師会
近くの病院などを紹介してもらえます。地域によっては専門医が無料で電話相談にのってくれるところもあります。
■家族会・患者会など
みんなねっと相談室(公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会)
精神障がい者家族の会の電話相談窓口です。経済的な悩みや生活上の問題、障害年金など福祉制度に関する相談にのってもらえます。
■無料相談窓口
無料の電話相談窓口、インターネット相談窓口のリンク集です。
※自治体によって多少違いがありますので、詳しくはお住まいの自治体機関にお問い合わせいただくか、各サイトでご確認ください。
急に具合が悪くなったときは?(精神科救急医療)
■夜間休日精神科救急医療機関案内窓口
夜間・休日に、緊急で診てもらえる精神科を案内する窓口。都道府県ごとの一覧です。
[PDF] 夜間休日精神科救急医療機関案内窓口 – 厚生労働省
まとめ
地域の病院を探せる医療情報システム
病院を探すときは、実際に受診した人の話を聞けるのがベスト。
ただ、日常で精神科の口コミを気軽に話し合える機会は少ないですよね。
そういうときは、ネットで情報を集めましょう。
- 病院の公式サイトで、医師のプロフィールや経歴をチェックする
- 検索順位が低い病院もチェックする
- 複数の具体的な口コミを参考にする
病院に電話で問い合わせたり、保健所や精神保健福祉センターなどの行政機関も上手に利用しながら、自分に合った病院を探しましょう。
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<参考書籍>
野村総一郎 (2016)『うつ病のことが正しくわかる本』西東社
Tomy (2015)『失敗しない“心のお医者さん”の選び方 かかり方―現役医師が教えます!』主婦の友社
<参考サイト>
医療機関の探し方、選び方|メンタルヘルス – 厚生労働省
こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト – 厚生労働省
研修手帳・試験についてのAnswerページ|専門医制度 – 日本精神神経学会
<参考資料(PDF)>
[PDF] 地域精神保健医療体制について – 厚生労働省
[PDF] 精神保健指定医の指定等に関する参考資料 – 厚生労働省
[PDF] 双極性障害(躁うつ病)とつきあうために – 日本うつ病学会