「最近ウツっぽい……病院に行くべき?」
「精神科にかかっていい症状はどの程度から?」
「ベストなタイミングはいつ?」
はじめてメンタルクリニックを受診しようとすると、さまざまな不安や疑問が湧いてきますよね。
精神的な症状は、一般的な憂うつ感や落ち込みと区別しにくく、見逃されがち。
本当はうつの症状なのに、「ただの甘え」「気合が足りない」と我慢してしまうことも少なくありません。
このページでは、うつ病を疑って病院を受診するときの目安をまとめます。
私がはじめて精神科を受診したきっかけも紹介しますので、よかったら参考にしてみてください。
【受診の目安】どの程度の症状で病院へ行けばいいの?
病院へ行くか迷ったときの目安となるのは、期間と症状の重さ。
- 気分の落ち込みがずっと続いている(少なくとも2週間以上)
- 日常生活に支障をきたしている
まずはこの2点をチェックしてみましょう。
症状として見られるのは、次のようなもの。
うつ病のサイン
- 一日中憂うつで、悲しみ、空虚感、絶望感が続く
- 何も楽しいと思えない、好きなことにも興味を持てない
- 不眠または過眠が続ている
- 焦りが強く、落ち着かない
- 「自分には価値がない」「罪深い人間だ」と自分を責める
- 思考力、集中力が落ちる
- 死んでしまいたいと思う
これらの症状によって、
「仕事が手につかない」
「学校を続けられるか不安」
「家事ができない」
などでお悩みの場合は、病院で相談してみましょう。
家族や親しい人から見てわかるサイン
自分では「まだ大丈夫」と思っていても、周りの人が「明らかにいつもと違う」と感じることもあります。
周りからみてわかるサイン
- 表情が暗い
- 涙もろくなった
- 反応が遅い
- 落ち着かない
- 飲酒量が増える
「家族や親しい人に受診をすすめられた」
これも病院にかかる目安の一つです。
病院に行くべきか判断できないときは?
自分がうつ病かわからないとき、どうしたらいいか困ったときは、健康相談窓口を利用することもできます。
各都道府県に1か所以上設置されている精神保健福祉センターでは、心の悩み、精神疾患や障害に関する相談ができます。
自治体によって多少違いはありますが、保健所や保健センターでも心の相談窓口が設置されているはずです(参考:心の相談窓口・困ったときは保健所に相談してみよう)。
地域の医師会で、医療に関する質問を受け付けているところもあります。
- 保健所
- 精神保健福祉センター
- 地域の医師会
- 困ったときの相談窓口
<参考>
よくある相談事例 – 東京都立精神保健福祉センター
「Dr林のこころと脳の相談室」で似たような事例を参考にしてみるのもいいと思います(このサイトは医療相談ではありません)。
私がうつ病を疑って受診したきっかけ(体験談)
私が病院へ行く決め手となったのは、うつ病の自己診断テストです。
「SDS(抑うつ尺度)」というテストで「極度のうつ状態」と出ました。
その他の抑うつ評価テストも片っ端からやってみましたが、結果はどれも「重症の疑い」。
何年も心身の不調が続き、ギリギリのところで何とか仕事をこなしている状態だったので、「やっぱりな」といった感想でした。
病院にかかる直前は、明らかにパフォーマンスが低下していたこともあり、「このままでは絶対に迷惑をかける。とりあえず一度診てもらおう」と休憩中に予約を入れて、病院へ行くことにしました。
今振り返れば、「もっと早く対処すればよかったな」と思います。仕事中に立っていられなくなってへたり込むとか、急に涙が出るとか、簡単な伝票計算ができなくなるとか普通じゃなかったです。
でも、当時はどんなにしんどくても「気合が足りん!」「甘えるな!」と自分を叱咤するばかりで、なかなか「病院へ行く」という発想にはならなかったんですよね。
実はそれまでにも「これはうつっぽい症状だな」と思うことは何度かありました。というのも、学生時代に精神疾患や心理検査について学ぶ機会がありまして。
当時、レポート作成のために抑うつ度を測るテスト(SDSなど)を受けました。結果は、抑うつとはほど遠い「きわめて健全な状態」。
このとき私は、
「これに当てはまる人、間違いなく病気でしょ」
「このテストをやって『うつ傾向あり』と出たら完全にヤバいでしょ」
と驚きに似たものを感じていました。
このときの印象がかなり強く残っていたため、「今回の結果は無視できないな」と降参したような形です。
(余談:現在、私の診断名は双極Ⅱ型障害です。2009年にうつ病と診断され、約4年後に診断名が変更されました。今思うと、当時の検査結果「きわめて健全な状態」は、軽躁状態だったのかもしれません)
まとめ
どんな病気も予防が大切。こじらせる前の適切な対処がカギとなります。
「私くらいの症状で病院へ行っていいのかな?」と迷ったときは、以下のポイントをチェックしてみましょう。
- つらい症状が2週間以上ずっと続いている
- 日常生活に支障をきたしている
できれば悪化する前に受診して、体調を整えられるのがベストです。
「まだ大丈夫」と不調を放置しておくと、うつをこじらせて、4年5年平気で棒に振ってしまう可能性があることはお忘れなく(経験者談)。
仕事や学業で追い込まれて苦しくなったときは、思い切って休んでみるのもおすすめです。「うつ・双極Ⅱ型障害の治し方」の前半で紹介しているポイントも参考にしてみてください。
それでも苦痛が取れないときは……?
今こそ受診のタイミング!
そう言えるのかなと思います。
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<参考書籍>
尾崎紀夫総監修 (2016)『よくわかるうつ病 診断と治療、周囲の接し方・支え方』NHK出版
桑崎彰嗣監修 (2008)『家族が「うつ」かもしれない、と思ったら』オレンジページ
野村総一郎 (2016)『うつ病のことが正しくわかる本』西東社