睡眠障害を改善するためには、自分の生活リズムを把握することが必要です。まずは、簡単な記録をつけることから始めましょう。
睡眠の記録は、治療をする上でも役立ちます。また、視覚化することで、何をどう変えればいいか改善点がわかりやすくなります。
このページでは、睡眠日誌の例と、自分に合った睡眠時間の見つけ方をご紹介します。
睡眠日誌のつけ方
はじめに、私が実践していた記録方法をご紹介します。
まず、以下の表を作り、睡眠時間をグラフ化しました。
・起床時刻を記録する
・眠っていた時間を塗りつぶす
グラフ化することで、睡眠リズムがパッと見でわかります。
『睡眠障害ガイドブック』では、この他に以下のポイントが示されています。
・眠気の強かった時間帯に矢印をひく
・睡眠薬を服用した時刻にしるし(×)をつける
・夜中目覚めた回数を記入する
・朝起きたときの気分を記入する
(1. かなりだるい/眠い 2. 少しだるい/眠い 3. すっきりしている)
・できるだけ正確な時刻を記録する(でも、神経質になりすぎないように)
日本うつ病学会のサイトにも睡眠・覚醒の記録シート(PDFファイル)があります。
資料 | 日本うつ病学会 Japanese Society of Mood Disorders
このような記録を毎日つけることができたら、素晴らしい!
ただ、不調のときにきちんと記録をつけるのは大変なので、無理のない範囲で始めましょう。グラフにするのが望ましいですが、まずは起床時刻と就寝時刻をメモするだけでもいいと思います。
最近は、便利なアプリがたくさんあるので、そういったツールを上手に使って管理するのも良いですね。
自分に合った睡眠時間の見つけ方
睡眠の専門医・内山真氏によると、うつ病治療のはじめのうちは、少し長めに眠った方が早く回復するということが経験的に知られているそうです。しかし、病気にかかっていない人が同じように長く眠れるわけではありません。
『ササッとわかる「睡眠障害」解消法』に、自分に必要な睡眠時間の見つけ方が紹介されています。
睡眠リズムには個人差があり、十分に眠ったと満足できる睡眠時間の長さも人それぞれ。5時間睡眠でバリバリ頑張れる人もいれば、7時間睡眠で眠り足りない人もいます。
うつ病などの病気を抱えているときには、睡眠リズムが崩れたり、まとまった睡眠がとれなくなったりします。ある程度生活リズムが整って、自分の睡眠時間は適正かな? と思ったときに試してみてください。
最後に
記録をつけることは、体調を管理するのに役立ちます。睡眠に限らず、その日の気分や行動を記録することで、自分の体調の波を把握しやすくなります。
こうした記録を主治医と共有しながら、治療を進めていく病院もあるようです。
家族などと暮らしている人は、一緒に記録をふり返りながら、よりよい方法を探ってみると良いと思います。客観的な視点は、回復のヒントを与えてくれることが多いものです。
睡眠障害は、時間をかけて少しずつ改善していく姿勢が必要です。自分のペースを守りながら、できる範囲で、まずは睡眠日誌をつけることから始めてみてはいかがでしょうか。
第1回 『睡眠障害解消法』健康な眠りのために心がけたい7つのこと
第2回 睡眠日誌のつけ方・適正な睡眠時間の見つけ方
第3回 睡眠の専門医による不眠解消のための3つの生活指導
第4回 【睡眠の基礎知識】睡眠のメカニズムと生体リズム
第5回 うまく眠れないのはなぜ?不眠の原因「5つのP」
第6回 眠れない?眠りすぎ?睡眠障害の種類と特徴
第7回 うつ病をはじめとする精神・神経の病と睡眠障害
第8回 睡眠障害の治療法(行動療法・光療法・断眠療法など)
第9回 【早起きのコツ】朝起きられないとき実践して効果を感じた方法
<おまけ>
<参考書籍>
太田龍朗 (2006)『睡眠障害ガイドブック 治療とケア』弘文堂
井上雄一 (2007)『ササッとわかる「睡眠障害」解消法』講談社
内山真 (2014)『睡眠のはなし – 快眠のためのヒント』中央公論新社