瞑想と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?
スピリチュアルやオカルトなど何となく胡散臭い印象を持っている人もいるかもしれません。実際、ウィキペディアを見てみると、「絶対者(神)をありありと体感したり、究極の智慧を得る」との説明があり、ちょっと距離を置きたくなります。「神」というワードが出てきた瞬間に「無理!」と引いてしまう人もいるのではないでしょうか。
しかしながら、瞑想は宗教に限ったものではありません。科学的に証明されたデータもあり、脳に良い影響を与えることがわかっています。*1
解説書はたくさん出回っていますが、瞑想を一言で説明するなら、
目を閉じて心を集中させること。
「精神統一」と言い換えてもいいでしょう。
集中力や情報処理スピードを高めることも認められた瞑想。ここに、心身を穏やかに保つヒントがありそうです。
【実践編】
チガチの心と体をふにゃっとさせる瞑想のコツ
瞑想するとどんないいことがあるの?
では、もう少し詳しく瞑想の効果やメリットを見ていきましょう。
疲れ切った身体を回復させる
一番に主張したいのはやはり、心身の緊張を和らげてくれること。
現代社会はいろいろ大変です。ストレスもたくさん。脳は常にフルパワー・フル回転で疲弊しています。そして、それが限界を超えた結果、うつ病発症。そんなパターンは珍しくありません。
疲れたときは、休憩が必要です。でも、情報が溢れた生活の中で、完全に心を落ち着かせるのは難しい。目を閉じても、ノイズが心身を刺激します。
原始時代のことを想像してみましょう。何もない森の中。テレビもマンガもネットもありません。やるべきは衣食住を整えること。命がけです。夜は闇に包まれます。闇の中にあっては何もできません。ただ意識を追うのみ。
私が考える瞑想はこのイメージに近いものです。いつ襲われるかわからない緊張の中にあっても、こういった心を鎮める時間がエネルギーの充電につながっていたのでしょう。
集中力・情報処理能力を高める
心身を休めることは、脳を休めることでもあります。瞑想が脳に与える影響がどのようなものか、さまざまな研究が行われています。
いくつかの研究内容を見てみると、因果関係が???なところもあって、断言していいのかわからないのですが、瞑想を実践している人ほど、脳部位の変化や課題処理スピードがアップしたという結果が出ているようです。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、瞑想を行っている期間が長い人ほど脳回(大脳皮質にある「しわ」 の隆起した部分)の量が多いことがわかりました。*2 脳のしわが多いことは、すなわち情報処理力が高いとの考察もありますが、具体的なデータを見つけられなかったので、実際のところはよくわかりません。
また、ハーバード大学におけるサラ・ラザール博士の研究によると、脳の「海馬」や「扁桃体」の灰白質に変化が認められました。*3 「海馬」は学習や記憶にとって重要な領域、「扁桃体」は感情(快不快の判断)や記憶にかかわる領域です。
さらに、オレゴン大学のマイケル・ポスナー氏とテキサス工科大学のユイ・ユアン・タン氏らによる研究では、瞑想訓練のあとには脳の「白質」が強化されていることがわかりました。*4 「白質」には学習との相関を裏づけるデータがあるそうです。*5
科学的に見ても、瞑想が脳に何らかの効果を与えていることは間違いなさそうですね。
ネガティブ思考を穏やかに
心身が休まると、気持ちに余裕が出てきます。落ち着いて答えを出せるようになれば、延々と続く堂々巡りにブレーキをかけることができるようになります。過剰な不安や焦りも弱まっていくでしょう。
瞑想は、感情や衝動をうまくコントロールするための土台作りと言えるのかもしれません。脳内をスッキリお掃除して、とっ散らかった言葉や粘っこい思考を取り除くようなイメージ。雪崩が起きそうなぐっちゃぐちゃの作業場より、キレイに片づいた作業場の方が能率は上がりますよね。脳内の換気と言ってもいいかもしれません。とにもかくにもリフレッシュ!
自分自身と向き合って、核や軸となるものを見つけられれば、迷いやブレがなくなります。
瞑想は、大荒れの感情をなだめ、自分にとってベストな状態を保つ助けとなります。
今すぐできる簡単な瞑想のやり方
瞑想は今すぐにできます。特別な道具も必要ありません。やり方はいろいろあるようですが、気合を入れすぎると続かないので、簡単なことから始めましょう。あまり難しく考えず、次の2点を意識すればOKです。
- 体をリラックスさせて目を閉じる
- 浮かんでくるイメージをぼんやり眺める
まずは、1日5分の瞑想から。何もしないことに集中する練習です。
これを習慣化することで、頭の中のモヤモヤに支配されることが少なくなります。浮ついた心が落ち着きを取り戻して、地に足が着く感じです。
慣れるまでは、自分の呼吸に意識を向けて、その動きを静かに観察してみましょう。優しく見守るように、あるいは、一歩引いて眺めるように。
その他にも次のようなアドバイスがあります。
- 静かな落ち着ける場所で
- ラクに座れる体勢で(瞑想用の座布団もあるようです)
- 意識的にゆっくり息を吐く
- 呼吸の数を1~10まで数える
- タイマーをセットして
- 簡単な言葉をくり返す
瞑想は、一つのことに集中するためのもの。
感情をコントロールするというよりは、自分の内面がいかに混乱状態にあるか知ることを目的にやってみるのがいいのかなと思います。混沌としたよくわからない対象に向かって「カオス!」と叫ぶ自分を他人事のように眺めるのも良いでしょう。えぇ、これは私がよくやっていることです。
瞑想のポイントは、心の変化を感じ取ること。それが心身を穏やかにする第一歩になります。
ぼんやり のんびり 瞑想習慣
「瞑想を取り入れましょう」という情報が出回るのは、それだけ現代人があくせくしている証拠なのでしょうね。もっとみんなぼんやりすればいいのに。みんながぼんやりしてくれないと、ぼんやりしてる人が悪いことしてるみたいになっちゃうから、もっとぼんやりしてほしいなぁ~と思いつつも、言えないから黙っています。でも、「ぼんやり」が科学的に有用であることが判明しているわけですから、もっとみんなぼんやりしよ? って思いますよね。お前のぼんやりと瞑想を一緒にするなと怒られるでしょうか。
瞑想は、毎日やるのが効果的だと言います。が、いきなり大きな目標を掲げると続かないので、少しずつ気が向いたときチャレンジしてみましょう。「やってみようかな」と思ったときにやってみるのが一番です。
湯船につかりながら。公園のベンチに座って。ベッドの中で。
あれこれ考えず、ゆるゆると……。
あなたの心に平和が訪れますように。
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<参考サイト>
*1 瞑想 – Wikipedia
*2 瞑想すると脳の働きが速くなるという科学的見解がでた。- Gizmodo Japan
*3 たった10分で発散! 劇的にストレスから解放され超生産的になれる瞑想術 – PRESIDENT Online
「8週間の瞑想」で脳をハックしよう! – ライフハッカー[日本版]
*4 ぼんやりの効用 – ニューヨークタイムズ(英文翻訳)
DAN HURLEY “Breathing In vs. Spacing Out” – The New York Times
早速湯船に浸かってぼんやりしてみます^^すぐ疲れちゃう自分が嫌になっちゃいますね。。
今回も素敵な記事をありがとうございます。