うつ病からの再就職。道のりは平坦ではありません。
病み上がりは体がついていかないし、長期療養でブランクがあると、面接で落とされてしまいます。だからといって、マイペースな勤務を望むと、バイトでさえ見つからないことも多々あります。
一体どうしたらいいのでしょうか?
教科書的な回答はあるようですが、もう少し端的なアンサーを知りたいですよね。
そこで今日は、障害者手帳を持っていない人が、一般的な職探しの方法で、適切かつ妥当な仕事に就く方法について考えます。うつ症状が落ち着いている人、特筆すべきキャリアやスキルがない人向けです。
先に言っておきますが、名答は期待しないでください。近所のおばちゃんに相談したら返ってきそうな素朴な答えです。
うつでもできる仕事はありますか?
うつでもできる仕事は何ですか?
ラクな仕事はありますか?
うっかりこんな質問をしたら「ラクな仕事なんてない」と言われそうですよね。
でも、わかっていても聞きたくなります。
確実に仕事に就く方法を教えてください!
100%は無理ですが、“比較的”ならあるはずです。まずは、現状を打開するための選択肢を一緒に考えていきましょう。
悩み1:とにかく今すぐ働きたい(無職の焦り・不安を緩和したい)
悩み2:バイト面接で落とされるんだけど……?
悩み3:長く働きたい
悩み4:安定した仕事に就きたい
悩み5:できるだけ確実に仕事に就きたい
悩み6:職歴、学歴が乏しいんだけど……
悩み7:失敗を回避したい・就活の精神的負担を抑えたい
悩み1:とにかく今すぐ働きたい(無職の焦り・不安を緩和したい)
A.短期アルバイト
シフトが少ない勤務や短期バイトからスタートすると、心身への負担がそこまでかかりません。
ある程度、体力が戻っているなら、通常のアルバイトでもいいと思います。
よさげなバイトの候補は後述します。
悩み2:バイト面接で落とされるんだけど……?
A.単発バイト
単発の仕事なら、比較的見つかりやすいです。履歴書不要、面接なしのバイトもあります。
よさげなバイトの候補は後述します。
【参考】職歴の空白期間どう説明する?うつ病・無職・ニートの面接対策&体験談
悩み3:長く働きたい
A.アルバイト
雇用形態にこだわらないのならば、無理なく続けられそうなアルバイトを探してみるのが良いと思います。まずは体を慣らすために一定の勤務をこなし、責任が重すぎない業務で精神的な負担を軽くする作戦です。アルバイトから正社員に登用される道もありますし、現実的な選択です。
悩み4:安定した仕事に就きたい
A.職業訓練
ブランクが長い人や職歴のない人が正社員を目指すとなると、道のりが厳しくなります。
一番手堅い選択は職業訓練。訓練に通ったからといって100%就職を約束されているわけではありませんが、確実にステップを踏むという意味では有意義な選択です。
- 機械
- 金属加工
- 電気設備・通信
- 建築
- 自動車整備
- ビル設備管理
- 造園
- 事務(医療、経理)
- IT(プログラミング、Webデザイン)
など。技術職・技能職が定番で、就職率高めです。
【参考】働く自信もお金もない?職業訓練でスキルアップ&職歴ゲット
悩み5:できるだけ確実に仕事に就きたい
A.相談する
・ハローワークで相談
・民間の就職支援サービスで相談
当たり外れはありますが、一人で迷走・暴走することは防げます。
A.業務に必須の資格を取る
資格を取るなら実践的なものが望ましいです。職業訓練に通いながら取得することもできます。
ただし、資格より実務経験の方が重視されるので、あまり資格に望みをかけすぎない方がいいでしょう(業務に必須の国家資格等は除く)。
もちろん、身につけた知識が役に立つこともありますし、面接時にも(遊んでたわけじゃないんだよ?と)アピールできるので、資格勉強することが無意味というわけではありません。
A.その他:障害者枠
うつ病など体調不良が原因で就職活動がうまくいかない場合は、一般枠以外の求人に目を向けてみるのも一つです。
- 障害者枠の求人に応募
- 就労移行支援サービス
- デイケア
ハローワークの求人には「一般枠」と「障害者雇用枠」があり、「障害者雇用枠」に応募するには、障害者手帳が必要です。
就労移行支援サービスは、障害者手帳を持っていなくても、受給資格や医師の意見書などがあれば、利用可能な場合があります(自治体の判断によります)。
デイケアは、入院予防や回復期のリハビリのために行われるサービスで、福祉・医療関係施設が提供しています。デイケア自体が就職につながるわけではありませんが、生活リズムを整えたり、体力・忍耐力をつけるには役立ちます。
<参考>
・障害のあるみなさまへ – ハローワークインターネットサービス
・就労移行支援 – WAM NET 独立行政法人福祉医療機構
・障害福祉サービスの内容 – 厚生労働省
悩み6:職歴、学歴が乏しいんだけど……
若いからこそ可能な選択もあります。
- 公務員試験
- 若年者向けサポート
- 手に職をつける(専門学校、職業訓練)
- 学校で学び直す(大学、専門学校)
- 職人に弟子入り(?)
一から勉強するのは、がんばりが必要だし、時間やお金などのコストがかかります。でも、選択の一つとして考えてみるのはありだと思います。一度立ち止まって考える良い機会です。
<参考>
・就職活動を続ける若者のみなさま、事業主の皆様へ – 厚生労働省
・サポートステーションネット – 若者自立支援中央センタ-
サポステは、引きこもりやニートなど働くことに悩みを抱える15歳~39歳の若者の自立をサポートする相談窓口です。
悩み7:失敗を回避したい・就活の精神的負担を抑えたい
A.人に聞く(コネ、紹介)
- 家族、親戚
- 友人、知人
- 前職の関係者
- ご近所さん
- なじみの店
などなど。
意外と身近にある!?コネ体験談
例えばこんなこともありますので、そんなに絶望しないでください。作り話みたいですけど、すべて実話です。
短期の仕事のお誘いは意外と多い
短期アルバイトの契約期間を延長してもらえることがあります。契約が終わった後、何ヶ月後かにお誘いをもらうことも。たとえ短期でも、経験値を積むことは大きいということですね。
長年担当してもらっていた美容師さんに、仕事が見つからず困っているとぼやいていたら、後日「友達のお店でちょうど人手が欲しいらしいんだけど、もしよかったらどう?」と。お店の人と親しくなると、こんな話をもらえることもあるんですね。
いくつかのテナントが入っているお店でバイトしたときのこと。裏で片付けやゴミ出しをするときに、隣のケーキ屋さんの店長とよく顔を合わせたのですが、あるとき「時給いくら? うちで働かない?」と言われました。顔が超怖い人だったので、冗談なのか本気なのかわかりませんでしたが、「Yes!」と言えば話を聞いてもらえそうな雰囲気でした。
アルバイト先のコンビニで、とある大企業幹部のオジサンがこっそり働いていました。趣味だそうです。就職が決まらず悩んでいる大学生に、内定の手配が可能であることを店長経由で伝えていました。入手しづらい野球の観戦チケット(めちゃいい席)をくれたので、何らかの力を持っていたことは確からしく……ちょっと怖かったです。それはともかく、意外なところにコネは転がっているのカモ!?
ありきたりで聞き飽きていると思うけれど大事な結論
仕事探しは、前職のつながり、経験のあることから攻めるのが無難です。
でも、「それがないから困ってるんでしょ!」という話ではあります。
とはいえ、就業経験がなかったとしても、学校生活や日常生活で得意だったことから探してみるのは有用じゃないかなと思います。
自分の得意なこと・好きなことの傾向は、幼少期に現れていることもあるので、子供の頃の行動をふり返ってみるのも一つです。
正社員になることを目標に掲げるより、自分に合った仕事を見つけることを第一に考えると、精神的なプレシャーも和らぎます。
よさげな仕事の候補(短期・長期アルバイト)
漠然と職探しをしている人に「なんかいい仕事ないかな~?」と聞かれたら、次の仕事(アルバイト)を候補として提案します。
職場によって、条件や環境が大きく異なることもありますが、比較的、体力に自信がなくても大丈夫なもの、シフトに融通が利きそうなものをピックアップしました。
郵便局の仕分け作業
年末年始の短期アルバイトと言えば、年賀状の仕分け。単純作業が苦手でなければ、負担が少ない仕事だと思います。
アルバイト禁止の学校でも、郵便局バイトだけはOKのところが多く、健全なイメージもありますよね。
とりあえずのアルバイトとしては心理的ハードルが低く、無理なく取り組めるお仕事です。
官公庁の事務業務
求人情報でちょいちょい見かける官公庁のお仕事。多くは電話対応を含む一般事務ですが、データ入力やDM仕分け作業の募集もあります。
ただし、書類の仕分け業務の中には、大量の書類を仕分けする体力勝負のバイトもあるので要注意。
「これならできそう」と思う求人は人気が高く、すぐに募集が終了してしまうので、お早めに。
図書館
受付カウンターや貸出本を書架に戻す作業など。本が好きな人なら、それほど苦痛ではないと思います。委託の場合もありますが、基本的にお役所仕事なので、時間通り。残業もありません。ただし、求人が少ない。
覆面調査員(ミステリーショッパー)
調査員であることをお店に隠して利用したサービスを評価するお仕事。単発です。面接もなく、履歴書も不要なので、療養期間のブランクが気になっている人にはおすすめ。ただ、報酬から経費を差し引いたら儲けほぼなし、という案件もあります。稼ぐというよりは、無料でサービスを利用できると考えた方がいいかも。リハビリに最適です。
お中元・お歳暮の包装
季節の短期バイト。お中元やお歳暮のギフト受付、包装など。接客が苦手な人は、バックヤードメインの仕事を探すと良さそう。どちらにしても、立ち仕事なので、体力をつけてから。
ドラッグストア
身近なアルバイトの中では、比較的働きやすい職場です。もちろんお店によりますが、清潔感があり、大手スーパーよりは商品数が少なめ、コンビニよりはサービスの幅が狭め。求人も見つけやすい方ではないかと。
スーパーの品出し
週2~3日・短時間OKの品出しバイトの求人を何度か見たことがあります。レジ操作や接客に自信がない人、フルで働く体力がない人でもこれなら頑張れそうですよね。ただし、実際の勤務内容にギャップがある可能性はあります。
軽作業(ライン作業・仕分け・検品・梱包など)
単調な作業が苦痛でないなら、候補の一つとしてありだと思います。ただ、「軽作業」といっても仕事内容や環境にかなり差があります。
立ち仕事で衛生管理も厳しくてしんどいとか、仕事自体はラクだけどシフトがキツいとか、条件や人間関係は良好だけど低賃金すぎて無理とか……。
まずは短期で自分に合うか試してみるのがいいと思います。
以上、8つほど挙げましたが、この他にも選択肢は意外とたくさんあると思うので、「どうせダメだ」と諦めず、ぼちぼち探してみてください。
【関連】求人情報が怖いうつ病患者さん必見!仕事探しの焦りを軽減する3つのコツ
働くための準備
力こそパワー!
力は多くを解決します。特に体力は必須です。仕事探しと平行して、力を蓄えていきましょう。これをやることで、自信をつけることもできます。就職活動を始める前のリハビリとしても最適です。
毎日1時間のウォーキング
メニューの例)
・朝30分、夜30分、近所をお散歩
・通勤を想定して、仮想会社へ毎日通う(カフェ、図書館、オフィス街など)
・早朝ランニング(気持ち良い!)
家事をがんばる
家事は仕事です。ただ、賃金が発生しないだけ。
・フロ掃除
・トイレ掃除
・洗濯
・買い出し
・食事の支度
・片づけ・洗い物
・ゴミ出し
・補修・修繕 など
これらの作業能力が上がると自信がつきます。家の中も良い状態を保てます。
自分の取扱説明書をつくる
自分にできること・できないことをまとめましょう。
■調子が落ちたときのサイン
・訴えないとわからないこと
・他人から見てわかること
・気分の変化
■対策
・ゆううつなとき
・不安なとき
・無気力・おっくうなとき
・興味が失せたとき
・泣けてくるとき
・死について考えるとき
■周りの人にしてほしいこと(接し方、対応)
詳しくは「イヤな気分から早く抜け出すコツ ― 自分の説明書を作ろう【ウツ用】」で説明しています。具体例もいくつか挙げているので、参考にしてみてください。
まとめ
仕事探しの進め方は人それぞれ。正解はありません。
無理のないルートは、
1.短期の仕事で身体をならす
2.アルバイトで実績をつくる
3.就職活動する
4.再就職
あくまでも理想です。もともとのスペックが高いか、ある程度のキャリア・スキルを持っていないと、なかなかスムーズにはいかないですよね。
それでも、1~2を続けることで、何か現状を打開するタイミングは訪れるはず。
ここが我慢のしどころかなぁ……。
サポステ利用してます!
アルバイトの応募でも充分サポートしてくれました。
履歴書の添削はもちろん、面接の予行演習とかしてくれて、背中を押していただきました。
また利用すると思います。
人生は競争じゃないですから、自分のペースで動くのが一番です!