「仕事探しがうまくいかない」
「アピールできるキャリアがない」
そんなとき役立つ「職業訓練」という制度をご存知ですか?
職業訓練は、仕事に必要な知識や技能をマスターし、訓練のための手当ももらえる素敵な制度です。
<こんな人におすすめ>
・すっかり元気になったからフルで働きたい!
・医師のGOも出てる!
・就職先が見つからない!
・未経験からキャリアを身につけたい!
ハローワークの就職サポートとあわせて利用すれば、働くことへの不安も軽くなります。
仕事探しで困っている人は、一度検討してみてはいかがでしょうか。
もくじ
公共職業訓練とは?
公共職業訓練は、国や地方自治体が行っている雇用政策の一つ。
簡単にポイントをまとめましたので、順番に見ていきましょう。
実践的な知識・技能を身につけられる
職業訓練の目的は「就職」です。そのために必要なのは、仕事ですぐに役立つ知識・技能。1日でも早く仕事に就けるよう、より実践的なトレーニングが用意されています。
未経験者にとっては、実務経験の有無が大きなハンデとなります。職業訓練の経歴は、その弱い部分を補強してくれます。
事務・IT系からガテン系コースまで
訓練のジャンルも充実しています。機械、金属加工など技能工メインのイメージがありますが、事務・IT系のコースもたくさんあります。
職業人になるための勉強なので実習が多め。学歴にはなりませんが、卒業のために日々学ぶという点は一般的な専門学校と同じです。
(※職業訓練は職歴として扱われます)
無料で授業を受けられる
離職者向け短期コースの授業料は無料です。教材費や実習費は自己負担ですが、一般的な専門学校に通うことを思えば激安。
ただし、若年者向けの長期コースは有料のところがほとんど。機械・電気・建築などのコースでは、作業服代・工具代・検査費用などがかかりますので、事前にその点も調べておきましょう。
仕事を探している人なら誰でもOK
雇用保険の受給資格がなくても利用できます。(コースによっては年齢制限あり)
入所試験は筆記と面接
書類審査のみで入所できる場合もありますが、多くは面接と筆記試験が行われます。
長期コースでは、学科試験(国語と数学が多い)で授業についていける学力があるかチェックします。
授業は土日休み 9:00~16:00
授業は平日8:30~9:00スタート、15:40~16:00終了。昼休みは1時間。
1年以上のコースは、夏休み・冬休みがあります。
フリーターから管理職経験者まで
離職者向けのコースは、年齢層が幅広く、経歴もバラバラ。
同じ目標に向かう仲間として親睦が深まることも多いようです。
職業訓練 3つのメリット
1.就職活動がスムーズに進められる
スキルアップ、資格取得は就職活動をする上で大きな武器になります。訓練校はハローワークと連携しているので、仕事を紹介してもらえます。
ただし、民間の専門学校で行われる訓練には、就職率が低いコースもあります。訓練を受ければ必ず就職できるわけではないので、そのあたりも考慮して就職活動をすすめましょう。
2.お金のこといろいろ助かる
授業料は無料、あるいはリーズナブル。財布にやさしい大変ありがたい制度です。
さらに、訓練中は手当までいただけます。
雇用保険を受給している人
・失業手当
訓練終了まで支給を延長してもらえます。
・交通費(上限4万2500円/月)
寮・寄宿舎がある訓練校もあります。
・受講手当(500円/日、上限40日)
雇用保険の受給資格がない人
・訓練手当(月10万円)
一定の条件を満たすともらえます。
詳しくはこちら。
職業訓練受講給付金(求職者支援制度) | 厚生労働省
3.就職の不安が軽くなる
わからないことをすぐに聞けて、プロに直接教えてもらえる環境。先生だけでなく、同じ目標を持った仲間やハロワの職員さんなど、相談相手ができるのは心強いことです。
訓練を通して、就職に向かってしっかり頑張っている実感も得られます。
この前向きな気持ちがあれば、部屋の隅で絶望することもなくなりそうです。
幅広いジャンルのコース
訓練コースはざっくり分けると、
・転職したい人向けコース
・失業手当がもらえない人向けコース
・キャリアがない若者向けコース
この他に在職者向け、障害者向けのコースなどもあります。
自分がどの訓練を受けられるか知りたい方は、↓こちらの厚生労働省のページをご覧ください。職業訓練チャートにわかりやすくまとめられています。
主なコース
定番コース(※就職率高め)
・機械
・金属加工
・電気設備・通信
・建築
・自動車整備
・ビル設備管理
・造園
民間委託コース
・OAビジネス
・医療事務
・経理事務
・IT(プログラマ、Webクリエイターなど)
・介護・福祉サービス
この他にも多岐にわたるコースが開講されています。地域によっても内容はさまざまです。
運営組織別コース検索
訓練コース情報はこちらから検索できます。
▼「高齢・障害・求職者雇用支援機構」(国の機関)が行っている訓練はこちらから。
求職者向け公共職業訓練コース情報検索
▼「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が民間の専門学校に委託している訓練はこちらから。
求職者支援訓練認定コース情報検索
▼都道府県が行っている訓練はこちらから。
公共職業訓練コースの検索について | 厚生労働省
民間の専門学校で行われる訓練はインターネット上にアップされていない場合があります。ハローワークにもパンフレットがありますが、こちらもすべてのコースを完全に網羅しているわけではないようです。
ハローワークの職業訓練の窓口で相談にのってもらえますので、わからないことがあれば聞いてみましょう。
訓練を受ける場所
訓練校は2タイプ。
・国がやっているもの
・都道府県がやっているもの
<職業訓練を行っている主な組織>
<職業訓練校>
①都道府県立技術専門校、職業訓練校(都道府県によって名前が違います)
②(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構
③ポリテクセンター(職業能力開発センター)
④ポリテクカレッジ(職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校)
⑤(産業)技術短期大学校
この他に、訓練校が委託した民間専門学校でも訓練が受けられます。
※日本版デュアルシステム
失業対策、ニート・フリーター支援としてスタートした若年者向けの制度。(有料・失業手当なし)
企業での職場実習(有期パート就労)があり、給料をもらいながら学べます。就職につながりやすいというメリットもあります。
<参考>
日本版デュアルシステム訓練受講のために | 厚生労働省
日本版デュアルシステム|高齢・障害・求職者雇用支援機構
受講の流れ
1.ハローワークで求職の申し込みをする
2.職業相談をする
3.「受講支持」をもらう(ハローワークが職業訓練の必要性を判断)
4.受講申し込み
5.見学会に参加する
6.筆記試験・面接
7.合格入所手続き
8.訓練開始
職業訓練のルール
・一度訓練を受けたら、その後1年間は訓練を受けられません。
・訓練校の併願はできません。
・失業手当の延長手続きは受給期間の3分の2が終わるまでに。失業手当が切れるギリギリで受給を延長することはできません。
・訓練中に失業手当をもらう場合はアルバイト禁止。収入があった場合は申請が必要です。
注意点:うつ病からの社会復帰
職業訓練は、就職のためのトレーニング。フルタイムの会社員よりは拘束時間が短いとはいえ、勉強をしながら就職の準備をしなければいけません。
いくら元気になったと言っても、長期療養後にいきなり頑張ってしまうと、体調を崩してしまいます。
働くためのステップとして何か始めたい人は、パート・アルバイトなどで慣らしていくのも一つです。体力作りや筋トレ、家事をこなすことも効果的なリハビリになります。
【こちらもあわせてどうぞ】
うつ病からの復職準備ガイド~職場復帰の不安を乗り越えるために~
まとめ
調子がすぐれず、働くことに希望を見い出せないときは、職業訓練という制度があると知っておくだけでも気持ちが違います。
焦っているときほど視野が狭くなってしまうので、一つでも選択肢を増やすことは重要です。
難しく考えず、行動してみる。
でも、無謀なことはしない。
まずは、今の自分にできそうなこと、「これなら余裕でしょ」くらいのレベルから始めていきましょう。
職業訓練についてもっと詳しく知りたい方は、お近くのハローワークへ。
<参考書籍>
ここでご紹介したことは、この本に全部書いてあります。戦略的な利用方法も解説されていますので、職業訓練を受ける前にぜひ読んでおきたい一冊です。
<参考サイト>
職業訓練(就職に向けてスキルを身につけたい方へ) | 厚生労働省
職業訓練を受けたい | 厚生労働省
職業能力開発の支援|高齢・障害・求職者雇用支援機構
<情報交換サイト>
職業訓練ひろば | Hi-HO
<訓練の雰囲気がわかる体験談>
知らないと損する職業訓練 | phaの日記
職業訓練所の思ひ出 | マシンがどんどん廻る廻る
しょくくん記◆職業訓練体験を綴るブログ。
<講師をされている方のブログ>
とある求職者支援訓練校で働く日々
就活体験で知ったこと。
1 独立行政法人の「障害者職業センター」では
そこではほとんど相談はできませんでした。「障害者」とうたっていても,身体障がい者や知能障がい者のためのもののようです。電話であらかじめ担当者の都合を尋ねていたのに,
「一般就労を希望ですか?」
「精神障害はほかのところに…」と
まったく役立ちませんでした。
2 社会福祉法人の「障がい者就労・生活支援センター」では
「障がい種別を問いません」とあるように,わたしの精神障がいにも相談に乗ってくださいました。ハローワークよりも先に求人が来ていることもあります。
• 就職に向けた準備支援(職場実習の斡旋)
• 就職活動および職場定着に向けた支援
• 生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等、日常生活の自己管理に関するアドバイス
• 住居、年金、余暇活動など地域生活、生活設計に関するアドバイス
とネットにはあり,実際に登録してみると精神障がいに苦しむひとのための講演会の誘いがあったり,ていねいな就職支援もあったりしました。パン製造の技術指導もしていたようで,おいしそうなパンを作っていました。
ただ,a.障害者手帳が必要,b.就職するなら週20時間以上,b.わたしの知り合いの障がい者は「行き方がたいへんそう」「他人に会うだけの気力がわかない」と言っています。
3 ハローワーク
ハローワークでまず求職登録をして,求職番号を得ると,自宅でも求人情報が見られます。それでもハローワークに何度も通わなくてはいけません。わたしの場合,すぐにわたしが精神障がい者だと相談員に分かってしまいました。
やはり精神障がい者用の求人はあまりなく,あっても遠隔地で時給も最低賃金ギリギリ(交通費の支給ないのに)でした。相談員によると,障がい者への配慮もすぐになくなるとのことでした。
ハローワークへ行くときには,駐車場はほとんどないので,公共交通手段を使ったほうがよいです。ハローワークはいつも混雑していて,相談員も忙しそうです。就活自体が非常に気力と体力を消耗させるものです。就活をするにしろ,技能訓練をするにしろ,仕事をするにしろ,まずは自分に余裕がなければと痛感しました。わたしも一時症状がぶり返しました。「動かないことは,山のように」。わたしは症状が出たときには必死に自重して,体力回復につとめました。
ナミさま,まずはご自愛第一になさいますよう,お願い申し上げます。