「早く職場に戻らなきゃ!」
「休んでる場合じゃない!」
そんな焦りを感じていませんか?
……って、そりゃ焦りますよね。お金のことも心配だし、仕事に穴をあけていることも申し訳ないし。
でも、焦りは禁物。復職を急ぎすぎて「うつ」がぶり返し、再び休職することになったという話はよく聞きます。
1日も早く職場復帰するために。全体の流れと復職準備のポイントをまとめました。
※このページは、復職ができるまで回復した方向けに書いています。まだ体調が悪い方はゆっくり身体を休めてください。
もくじ
復職のタイミング
焦らず、自分のベストな復職時期を見極めましょう。
復職の最低条件
復職を考える目安としては、
- 朝、無理なく起きられる。
- 昼寝をせずにずっと起きていられる。
- 食事・睡眠がきちんと取れている。
- 毎日散歩に出かけたり、軽い運動ができる。
- 長時間の作業にも耐えられる。
- 「仕事をしたい」「できる」と思える。
これらのことができるようになったら、少しずつリハビリを始めていきましょう。
主治医がGOサインを出してくれていること、ご家族が「大丈夫」と思えることも必要です。
ちょっと待った!今じゃない!
以下のリストに当てはまる人は、まだ復職は早いと思われます。
- 朝起きられない。
- 昼夜逆転の生活。
- 1日中頭がボーっとしている。
- 身体が重くて外に出るのがおっくう。人に会うだけで疲れる。
- 「早く仕事しなきゃ!」と焦っている。
- 罪悪感が強く、死にたいと思う。
- 本を読んでも内容がまったく入ってこない。
- 他人のささいな言葉に落ち込んだり、言動をコントロールできなくなる。
世間の目を気にして、「こんな自分はダメだ!」「早く何とかしなきゃ!」と焦ってしまうと、無理が生じて調子を崩しやすくなります。
「無理を押した結果、職場の人や家族にたくさん迷惑をかけてしまった!」そうなると、今よりももっとつらくなってしまうかもしれません。サポートする側も疲れてしまいます。
復職の最低条件をクリアできるレベルになるまでは、「今は休みなさいというメッセージだ」と開き直ってゆっくり身体を休めましょう。
一日も早く職場復帰を叶えるためには、休む勇気も必要です。
復職の流れ
復帰の仕方はさまざま。焦らず、自分に合ったやり方で進めていきましょう。
最近は、うつ病などで休職している人がスムーズに職場復帰できるよう「リハビリ出勤」「試し出勤」を取り入れる会社も増えています。それらの制度を利用しながら、少しずつ身体を慣らしていくのが理想です。
休職開始~復帰までの流れ
全体の流れを厚生労働省の指針を参考にまとめました。
『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』(PDFファイル)
ステップ1 療養開始 |
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・会社に診断書を提出 ・人事、労務担当から説明を受ける |
↓
ステップ2 主治医による復職判断 |
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・本人の意思と主治医による判断をまとめた診断書を提出 |
↓
ステップ3 復職準備・相談 |
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・治療・回復状況、生活について現状を把握する ・復帰日、勤務時間、仕事内容を決める |
↓
ステップ4 復帰に向けての最終確認 |
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↓
ステップ5 職場復帰 |
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↓
ステップ6 職場復帰後 |
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・再発防止のため、体調・勤務状況などを元に調整を重ねる。 |
リハビリ出勤の例
うつ病からの職場復帰の理想は、まず1週間のうち1日か2日だけ会社に行くことから始めて、少しずつ時間と日数を延ばしていく形です。
【1か月目】
・会社に着いたらそのまま帰る(出勤の練習)
・会社に着いたら簡単な事務作業をして帰る
・慣れてきたら、勤務時間を延ばす(4~5時間)
【2か月目】
・少しずつ通常の勤務(8時間)に戻す
体調を見ながら日数や時間を調整することが必要です。
通常勤務の時間に戻す具体的なプロセスはこちらの事例が参考になります。
例2)うつ病の職場復帰に際して「試し出勤制度」を採用した事例より
【1・2週目】8:30~10:30(2時間)
【3・4週目】8:30~12:30(4時間)
【5・6週目】8:30~15:30(7時間)
【7・8週目】8:30~17:30(9時間)
仕事内容:責任がなく期限も厳しくないもの
仕事量:各段階の勤務時間に合わせたもの
例3)
【第1週】毎日10時に健康管理室に行く
【第2週】健康管理室で1時間事務作業をする
【第3週】事務作業後に職場の食堂で食事をして帰る。自分の職場に顔を出す。
【第4週】午前のみ勤務を開始
【第5週】職務軽減2時間
【第6週】通常勤務
(加藤忠文『うつ病の脳科学』p.86)
リハビリ出勤のポイント
- まずは、会社に行くことだけを考える。
- 体調に合わせて、日数や時間を調整してもらう。
- 焦らない。無理しない。
完全復帰には1年以上かけて調整していくのが無理のないペースです。
職場の上司、責任者とよく相談して、できる範囲で少しずつ進めていけるよう協力をお願いしましょう。
公的復職プログラム
病院やデイケア、障害者福祉センターによる復職プログラムに参加する方法もあります。
プログラムの例
- 認知行動療法
- オフィスワーク
- セルフケア(リラクゼーション、ストレスマネジメントなど)
- グループワーク、ミーティング
- 農作業
- 料理
- 運動、スポーツ
- 遠足 など
復職プログラムを実施している機関(一覧)
- 独立行政法人
- 福祉保健局
- 病院・クリニック
- デイケア
- NPO法人 など
自分でできるリハビリ&復職準備
「復職の最低条件」をクリアするための練習です。リハビリ出勤前の準備としてもぜひチャレンジしてみてください。
あまり力まず肩の力を抜いて、「できた!」を数えながらいきましょう。
通勤の練習
①バス・電車に乗ってみる。
②会社へ行くときの服装で、バス・電車に乗ってみる。
③会社へ行くときの服装で、実際の通勤時間と同じバス・電車に乗ってみる。
これを1週間、2週間と続けられるか練習します。
図書館テスト
通勤の練習と同じように、図書館へ通う練習から始めます。
①図書館へ行ってみる(電車、バス、徒歩、自転車など)
②身だしなみを整えて、図書館へ通ってみる。
③2~3時間、仕事関係の本を読んだり集中して作業をしてみる。
慣れてきたら毎日続けてできるか確認してみましょう。
買い物
・近所のコンビニ・スーパーに毎日行ってみる。
・デパートやショッピングセンターを一回りしてみる。
買い出しの荷物を無理なく持ってこられるか、人が多いところでもバテないかチェックしてみましょう。
ついでに、好きな物を見て回って気分転換。
その他
・気心知れた友人と食事に行ってみる。
・少人数の飲み会に参加してみる。
・小旅行に出かけてみる。
身体を動かしたり、コミュニケーションに慣れる練習になります。
まずは、「楽しい」という気持ちを大切に。無理のない範囲で。
いよいよ復職!心の準備をしよう
1.まずは「会社に行くこと」だけを考える
「会社に行く」と一言で言っても、それだけで結構大変なことです。
・朝起きる
・身支度をして家を出る
・電車に乗る
・会社に着く
・社内で過ごす
・会社を出る
・電車に乗って家に帰る
健康な人にとっては何てことないことかもしれませんが、うつ病を患った人にとってはハードルが高い。
最初はこれだけのことができれば充分。合格です。
2.周りの人たちと自分を比べない
「みんな私のことどう思っているんだろう」
「同僚はあんなに活躍してるのに」
どうしても人の目は気になってしまいますよね。
でも、気にしない。気になる言葉は右から左へ。病み上がりの人と健康な人を比べても、その答えに意味はありません。最初はできなくて当然。慣れてくれば、ちゃんとできるようになります。
「ダメだ」「できない」ではなく、「できた!」を数えましょう。
3.その日のこと、翌日のことをアレコレ考えず、早めに寝る
誰だって新しいこと・ブランクがあることは、とても緊張します。特に初日は不安が大きいものです。
「ちゃんとできるかな?」
「大丈夫かな?」
「何すればいいんだろう?」
考えれば考えるほど心配だし、怖い……。
でも、行ってみれば意外と何とかなるもんです。悩むよりも、しっかり身体を休めて備えるのが一番。あまり深く考えないようにして早く寝ましょう。
どんなことでも慣れるまでには時間がかかります。それまでは、「焦らず、ゆっくり」で大丈夫。
どうしても落ち着かないときは、初日は何をすればいいか事前に聞いておくといいかもしれませんね。
例えば、最初は
・事務作業
・掃除
・身の回りの整理
あたりでしょうか。
上司に現状を伝え、相談しながらやっていきましょう。
職場復帰後の注意点(再発防止のために)
1.病院に通い、主治医の指示通り薬を飲む
慣れるまでは特に体調を崩しやすいので気を付けましょう。
生活リズムを整え、睡眠時間をしっかり確保することも大切です。
2.失敗しても自分を責め立てない
健康な人でも最初はなかなかうまくいきません。誰だってミスはします。
「私ってダメだ~」と責めるのではなく、「同じ失敗をくり返さないようにしよう」と考えて、次に活かしましょう。
3.走りすぎない
「もっと頑張れる」と思っても飛ばしすぎると息が持ちません。そのときは大丈夫だったとしても後々必ずダウンしてしまいます。
「60%できたら合格」
そう考えて、頑張りすぎないことが大切です。
調子をつかむまでは、自分に任された以上の仕事をする必要はありません。「それなり」でいきましょう。
<参考書籍>
・山本晴義『図解 やさしくわかるうつ病からの職場復帰 ― 復職を成功させるポイント』
詳しくはこちらで紹介しています。
・加藤忠史『うつ病の脳科学 ― 精神科医療の未来を切り拓く』
•朝起きられない。
•昼夜逆転の生活。
•1日中頭がボーっとしている。
•外に出るのがおっくう。人に会うだけで疲れる。
•「早く仕事しなきゃ!」と焦っている。
•罪悪感が強く、死にたいと思う。
•本を読んでも内容がまったく入ってこない。
•他人のささいな言葉に落ち込んだり、言動をコントロールできなくなる
全部心当たりがありすぎでビックリです^^;
つい昨日まで、
「心が晴れやかな感じだから、バイトを考えてみよう」
と考えた結果、抗不安剤を飲む回数が増えてしまいました。
まだまだ復帰のタイミングではないのですね・・・・・・。
それもでも無職3年目で、
食欲はあるし、眠れるのだから、親には
「そろそろ」と言われたりもします。
田舎で良い病院が無く(あっても交通手段が無い)、
「自分で大体判断してね」
という病院なので、自分でどこまでなのか分からず、
加えて心臓の症状がありますので、なかなか難しいです。
親を説得してくれる感じもしません。
「親子間の問題だから、先生は入れないな」
と言われたこともあります。
でも今回の波で気が付いたことは、
「誰も自立したくないわけではない、
病気やなんらかのタイミングで、
したくてもできないなだけなのだ」
ということです。
いつも愚痴ばかりで済みません。
私はアニオタなのですが、
(ブログを見れば丸わかりですが)
アニソンって、結構まっすぐな歌詞で、
鬱に良い感じに効く歌詞もあります。
もしよかったら、お伝えしましょうか?
余計なことでしたらごめんなさい。
私のブログで、よりは、
「うつを何とかしたい」という目的でみなさんが集う、
こちらのブログの方がいいのではと思いまして。
>ふぇるむさん
コメントありがとうございます。
そうですね、社会復帰のタイミングや無理のない仕事を見つけるのは難しいですね。
ご家族にもふぇるむさんが抱える痛みや苦悩、自立のために努力されていることを少しでも理解していただけると気持ちも多少ラクになるのでしょうが……。長い目で見ることも必要になってくるかもしれませんね。
「鬱に良い感じに効くアニソン」、ぜひぜひ教えていただきたいです。
歌の力は本当に偉大ですよね。私もいつも励まされています。
本当に分かりやすく纏められていて、今の自分には特にとても必要なことばかりなので、参考にさせて頂いています。
ナミさん、いつもありがとう!
>伸(shin)さん
そう言っていただけると励みになります。ありがとうございます。
まだまだ足りない部分もありますので、これから少しずつ加筆修正していく予定です。
コメントの件、私はうまく言えませんが、
どうか管理人さんのペースで行ってくださいね。
医者などの目線ではないアドバイスサイトというのは、
とても助かると思いますから。
アニソンの件ですが、
とりあえず数曲、youtubeのを直接貼らせていただきます。
問題がありましたら、アニメソングの歌詞の公式サイトがあるので、
そちらのURLを張らせていただこうと思います。
「魔神英雄伝ワタル」より
SETP
http://www.youtube.com/watch?v=2lnW6EHMUl4
「花の魔法使いマリーベル」より
思われている
http://www.youtube.com/watch?v=W7X8o74WPro
「魔法陣グルグル」より
Wind Climbing~風にあそばれて
http://www.youtube.com/watch?v=lRa95E0TdkQ
「フルーツバスケット」より
forフルーツバスケット
http://www.youtube.com/watch?v=2mDieMjOtB8
小さな祈り
http://www.youtube.com/watch?v=MZJ2_oMXB_U
取り合えず、このぐらいで。
「歌詞が追い込む感じ」
と思われましたらごめんなさい。
私の人生経験+うつの社会復帰しようにも症状が出てしまう
という部分から見て「これぐらいなら気晴らしに良いかも」
という基準で選んでみました。
本当はセーラームーンの乙女のポリシーもいい歌なのですが、
「頑張る人が良いよね」という歌詞が、ちょっとあれかな?と思ったので^^;
うつのひどい人にはフルーツバスケットがおすすめかもです。
>ふぇるむさん
お心遣いいただきありがとうございます。まだまだ私は至らないところばかりで、いつもふぇるむさんやみなさんがくださるコメントに学ばせていただいております。感謝感謝。
そして、アニソンもたくさん。ご丁寧にありがとうございます。一応タイトル全部知ってました~。マンガもいくつか読んだことあります。有名どころを選んでくださったんでしょうか、ありがとうございます。
乙女のポリシーも懐かしいです。確かに「頑張る」という言葉は難しいところですね。
これからじっくり聞かせていただきます。
またいろいろ教えてくださいね、ふぇるむ先生。
コメントをいつすればいいのか分からないのですが、
忘れないうちにと思いまして。
「ぼのぼの」より
近道したい
http://www.youtube.com/watch?v=s5jQLzFSLeE
>ふぇるむさん
懐かしいですねぇ。そういえば、昔よくシマリスくんの「ぼのぼのちゃーん!」を真似してました。
この歌の「考え過ぎず気楽に歩きましょう」のフレーズが私にはしっくりきました。
いつも素敵な歌を教えてくださり、ありがとうございます。
ナミさん、お久しぶりです^^
ブログ運営ありがとうございます♪
うつ病と診断されて半年がすぎ、先週からリハビリ勤務?をはじめました。医者にもやっと「午前中動いてみようか」と言われました。
自分でどんなことに気をつけたらいいのか迷った時、久しぶりにこちらのブログにお邪魔したら、なんとピッタシの記事が!
とても具体的に分かりやすくて実践しやすいです。
ありがとうございます。
図書館で集中して本を読んだり、買い物は大丈夫なのですが、大型ショッピングモールでは激しい頭痛と吐き気が出てしまいました。
あ〜、もう少しか〜って思いましたが、いい意味で焦らずに過ごせそうです。
また、覗きにきますね〜^^
>ImaIkuさん
どうもどうも、お久しぶりです。コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。
私の方こそImaIkuさんのブログに学ばせてもらっていますよ~。物事への誠実な向き合い方や前向きな姿勢、そして素敵な写真たち。いつもコッソリ覗かせてもらいながら、励まされたり憧れたりしています。
リハビリのGOサイン、嬉しいですね。主治医の言葉は心強いですし、前進している実感を持てますよね。
私もよく大型ショッピングモールでリハビリしてました。最初は到着5分後にもうフラフラなんてことばかりで自分に絶望してましたが、今思えば「よく頑張ってたなー」と。他の人からしたら全然大したことじゃないんでしょうけど、病気を抱えながらのリハビリは大変なことなのです。だから、ImaIkuさんもすごいのです!
お互い自分のペースで、納得のいく選択をしていけたらいいですね。