あいうえお作文：お題「うつ病」

うつ病と診断されて3か月ほど経った頃の日記に書いてありました。

「そう！　そうなんだよ！」と今見ても思います。当時の切実な悩みがそのまま、あいうえお作文になっています。

もはやこれ以上言うことはない、という感じです。

動かないものはどうしようもないし、生きてる心地がしないのは努力不足などではないし、わかってもらえないのはやっぱり悲しいし、頭の中を頑張って整理しようとしてもすぐ散らかるし、便秘に効くらしいことを試しても薬の影響なのか全然治らないし。

「うん、しんどいね」としか言いようがありません。何を言っても、苦しんでいる者の苦しみはなくならないから。場合によっては、言葉をかけること自体が苦しみの材料になってしまうこともあって。

「できない」
「わかってもらえない」

これがつらさの二大要素です。何にもできない。このつらさは何とも言い表わせない。伝えようがない。そのもどかしさ。

あーーーーー。

でも、私はこのあいうえお作文を書いて満足していました。「おぉ、うまく書けたぞ」と。別に誰に伝えようと思っていたわけでもないし、むしろこの日記は誰にも見せたくない。つまり、完全なる自己満足です。

そして、誰にも伝えるつもりはないのだけれど、「コレうつ病の人に言ったら絶対『わかるー』って言ってもらえるよね～」などと想像していました。

それを5年後の私が公開しているわけですけれども、私が公開したいのはあいうえお作文の内容よりも、「うまく書けたぞ、むふふ」という小さな喜びです。

何だかよくわからない不快感を言葉にすることで、自分を理解することができた！

パズルのピースがパチッとはまったときの快感に似ているかもしれません。いや、子どもの頃にねんどをコネコネして謎の造形物を完成させたときの満足感が近いかな。人様から見たら「なんじゃこりゃ？」でも、本人は「いい感じ、よし！」と満足しているのです。

もちろん自分の意図が伝わって「わかる～！」「すごい～！」と言ってもらえたら嬉しいのですが、それは作品を完成させたおまけ・ご褒美みたいなもので、何かを形にした瞬間の喜びこそが人にエネルギーを与えてくれるのかなと思います。

まぁ、そうは言っても、病気のときにはそのエネルギーって焼け石に水みたいな感じなんですけどね。塵も積もれば山となるという言葉も嘘ではないと思うので、こういう小さな喜びを一つ一つ積み重ねていけたらいいですね。

【もわもわを形にしよう】

• 進むべき道を見失ったときは、いいなと思う人をマネするんだぜ
• ネット上にも素晴らしい読み物はたくさんあるだなって思った話
• 谷川俊太郎詩集『私』を読んだ私の感想
• 1秒が永遠に思えるほど苦痛で退屈な時間を消化してくれるマンガ

表現者の皆様への敬意を込めて。