優しいまなざしに守られて/『僕のこころを病名で呼ばないで』感想

ブログをやっていてよかったと思うことはたくさんあります。強固な白黒思考を手放せたこともそのうちの一つです。ブログでなくても、思考の癖を修正することはできたかもしれないけれど、誰かに読まれる可能性があるという緊張感は、漫然と書く日記に比べて、自分の考えを自覚するのに役立ったと思います。

そんなこんなで今の自分は、グレーゾーンを重視する人間になりました。曖昧なこと、複雑なことを、できるだけそのまま受け止めるよう努力する……いまだに全然うまくできなくて「うわぁあぁぁ~」となることばかりなんですけれど。

『僕のこころを病名で呼ばないで』という本を読みました。著者は、精神療法、思春期青年期を専門とする精神科医・青木省三さん。思春期外来の臨床風景を紹介しながら、先生の考えや思いが綴られています。エッセイのような雰囲気で、するすると読めます。

とてもいい本に出会っちゃったなぁとしみじみ思います。青木先生の言葉って読んでいると温かな気持ちになるんですよね。ほんとに。優しいまなざしがうれしい。安心します。こういう先生にみてもらえたら子供は心を開けるのかなと想像します。自分も、もし子供の頃に青木先生と出会っていたら、そうだったに違いない。心を開くこと、人を頼ることを知れたかもしれない。そんなふうに思い巡らせながら読んでいました。

全体を通して「そうだそうだ」と同意するところも多く心強く思えました。例えば、今の私は、人のことを名前や属性で語りたくない思いが強まっているので、そのあたりの記述には「だよね!」と激しく頷きます。とはいえ、曖昧なものを曖昧なままに扱うことも簡単ではありません。せめてわかったつもりにならないように、自分は全然つかめてないんだぞという自覚は持っておかないといけません。

青木先生の考えにふれるたび、自分の内で化学反応が起きる予感がします。具体的なヒントが散りばめられていて、悩み解決の糸口が見つかりそう。人それぞれに反応する部分があって、読んだ人は「これは!」と思う言葉に出会えるんじゃないかと思います。

心が疲れたときには、青木先生の優しさにふれ、なんとかやっていくことにいたしましょう。
 

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