八方塞がりで行動を起こそうにも調整が難しい微妙なバランスの上で生じる問題と複雑な心境から

彩られた壁

自分の身を守るために逃げることは、悪いことでも恥ずかしいことでもありません。

時には助けを求めることも必要です。

簡単ではないかもしれないけれど、人に頼ることでうまくいくことがあります。

親切な人はたくさんいます。

 
私はこれらのことを踏まえた行動ができませんでした。その反省点をまとめたのが前回の投稿。

【参考】逃げちゃダメだと自分に鞭打ち、逃げる選択を排除した私の反省点10コ

この学びを活かして、うまいことやっていけたらいいなと前向きに考えたいところです。きっと私と似たような人にとっても役立つ部分が多少なりともあるのではないかと思います。

ただ、実際にはそんな単純じゃない事柄もあります。

特に、つらくて苦しくて身動きが取れなくなってしまうような状況に陥っているとき、「逃げろ」というメッセージは虚しさを感じさせる言葉なのかもしれません。

生きていく上で面倒なことはたくさんあります。人の心は単純ではありません。

その切り分けられない部分について、今日は考えてみたいと思います。結論は「弱音を吐く」「逃げてもいい」といった類のことです。そういう言葉は聞きたくないという人は、「読んでもいいかな」と思ったときに読んでいただければ嬉しいです。

激しい渦の中にいるときに行動を起こすのは難しい

「頑張らなくていいよ」
「焦らなくていいよ」

「つらかったね」
「大変だったね」

「ここまで頑張ってきた自分を褒めてあげよう」

こういう言葉に疑念を持ってしまうとき、その人は今まさに激しい渦の中にいるのかもしれません。

渦にのみ込まれてもがいているときに「逃げろ」と言われたって、もはや為す術なし。

渦に巻き込まれていない人の言葉なんて、何の役にも立たない。

私がやらなきゃ誰がやる?

たとえ逃げられたとして、その先に私の居場所がなかったら? 生存を脅かされることになったら? あなたは責任を取ってくれるのですか?

……

もし私がそういう言葉を受け取ったら、何も言えません。

「助けてと言っていいんだよ、という安易な声掛けがいかに虚しいものか」

「助けを求めなければ、SOSが届かないのは当然だけど、助けてと言ったところで解決できる問題なんてたかが知れている」

「逃げた先に困難が待ち受けているのは明らか」

「こんな状態が続くなら死んだほうがまし」

「だから死が最適解」

私は死ぬことが悪いことだとは考えていないし、「ポックリ死ねたらいいよね」と心の中でよく思います。(自殺を肯定しているわけではありません)

でも、本当にその方法しかないのでしょうか。余裕がないと、他の選択肢が見えなくなって、自分を不必要に追い込んでしまうことがあります。

激しい渦に巻き込まれているのに、その状態が当たり前、それこそが人生、みんなこうやって生きているんだと苦しみに耐えているのだとしたら、その思考が渦の流れをさらに激しくしているのかもしれません。

SOSを発することで、つらい現状を乗り越える助けを得られる可能性は高まります。助けを求めることは恥ずかしいことではありません。むしろ、自分のキャパを超えそうなときに「もう無理」「ちょっと手伝って」と言うことは、とても大事なことです。

さらに、「絶対に逃げてはならない」と考えている人は、「逃げる」という選択肢を取り入れるべきです。これは自分の経験を鑑みて言うのですが、「逃げることは許されない!」と考えていると、「会社(学校)へ行くか、死ぬか」という二択で、日々をやりすごすような状態になるかもしれません。それは、すごくしんどい。

仕事とか学業とか、社会生活において、命より大事なものはありません。どんなことも、命あってのものです。

命と同じくらい大事なもの、人によっては自分の命より大事と言えるものもあるかもしれないけれど、命がなくなったら、大事なものをいつくしむことはできません。だから、大切にしたいものがあるならば、可能な限り、命は捨てない方がいい。

……と、そんなこと言われなくてもわかっていると思います。そういうことも全部わかった上で、それでもすべて投げ出してしまいたいほどに苦しいから「死にたい」と思うわけで。

 
あなたの苦しみはあなたにしかわからない。
 

そうなると何も言えなくなってしまいます。

でも、渡る世間に鬼はなし。無慈悲な人もいるけれど、親切な人も意外とたくさんいます。自分の周りの鬼だと思っている相手も、素直に話せば手を差し伸べてくれるかもしれません。優しい心を持つ鬼もいると昔絵本で読みました。

今の日本においては、社会制度などを利用することで助かることがあります。まだまだ改善の余地があるのだとしても、私が接した公的機関の人たちはみんな親切でした。サンプル数が少なすぎることは承知ですが、それだけで心強く思えました。

だから、一人で悩んでいるならば、まず周りの人に相談してみること、あるいは、公共の相談窓口に行ってみることが大きな一歩になるはずです。心が弱っているときにはハードルが高く感じられるかもしれませんが、何もせず諦めてしまっては現状は変わりません。

あなたは今本当に大変な状況にあるのかもしれない

命が大事だとか、生きていてこそだとか言われても、そんなことどうでもいいくらい絶望してしまうこともあります。

私自身、死に惹かれがちな人間ですが、大切にすべきものをいつくしむことは素晴らしいことだと思います。

大切にしたいものなんか何もないという人は、まず自分自身を大切にしなくちゃいけないんじゃないかなと思います。それが難しいときは、他人に手を差し伸べることで、自分という存在を肯定できるようになるかもしれません。

もし人間関係で疲弊しているのだとしたら、心の余裕がなくなっているせいで、周りの人たちと気持ちの行き違いが生じているのかもしれません。

あるいは、本当に誰もあなたのことを大切にしてくれていないのかもしれません。

だとしたら、今の環境から離れた方がいい。

でも、それが不可能だとしたら? 

そこで一人で抱え込んだら苦しくなるばかりだから、誰か(実際に話せる人)に相談して打開策を見つける必要があると思います。

さっきから同じことをくり返すばかりで申し訳ないのですが、これは大切なことです。一人で抱え込まないこと、「できない」と弱音を吐くこと。

第三者に話すことで、自分の置かれている状況がものすごくつらいものだと認識できることがあります。その事実に救われることもきっとあるはずです。

「身を守るために逃げてもいい」と知ること

一人で抱え込まない。
「できない」と弱音を吐く。

私自身、それができるかと言われたら、多分うまくできません。

じゃあなぜそれを人に言うのか? 

それは、「そうしていいんだよ」と知っているだけでも、気持ちにほんの少しだけ余裕ができるからです。

「絶対に逃げてはいけない」ではなく、自分を守るために逃げる選択をしてもいい。

私にはこの考え方がありませんでした。プラス、弱音を吐いてはいけない、耐え忍ぶことが美徳、みたいな意識もありました。そうやって我慢した結果、見事にパンクして、周りに迷惑をかけてしまいました。それを思い出すと自己嫌悪で呻き声が出ます。

そうならないためには、現状を把握することが大切です。

・できないときには「できません」と言う
・助けが必要なときは「手伝ってください」とお願いする

一人で抱え込むことで、適切な答えが見えなくなってしまうことは少なくありません。

最後に

こういう場所で何か言っても無責任なだけ、とも思います。でも、私は誰とも知らない人の言葉に助けられたことが幾度もあるので、書きました。

八方塞がりでどうしようもなくて、何か行動を起こすにも調整が難しい。そんな微妙なバランスの上で生じている問題はたくさんあります。

忍耐強く助けてくれる人を探す、助けが得られるまでは耐え忍ぶしかない、という答えは残酷なようにも思います。が、自分が声を発することで好転することがあるのは確かです。

「耐える」以外の選択肢(弱音を吐く、助けを求める、逃げるなど)について考えてみることは、決して無駄ではないと私は思っています。

 

【関連エントリー】
つらくて苦しくて助けてほしいけど誰にも相談したくない人

2 COMMENTS

ミズキ@頑張り過ぎは報われない

うつ病と診断される前から読ませていただき勉強になりました。
現在休職3ヶ月ですが、回復してきて会社も例外扱いでリハビリ出勤を認めてくれました。
ありがたいことです。
処方された薬を調べたら三環系で主に重症な人に出されるらしいと知りました。
私は上長に「眠れてないんだって?明らかに仕事のミスが増えておかしいから病院に行け」と言われていたのですが、「大丈夫。何ともない」と2ヶ月ぐらい放置してました…
最悪期は眠れないために夜が怖く、電話やメールが嫌で携帯の電源を落とし、誰かに言葉をかけられるだけで訳も分からず泣いていました。
「何が悲しいの?」と言われても感情が分からず「何とか言ってよ」という言葉に傷つきました。
そんな私に家族や同僚が必ず言ってきた言葉があります。

他人に優しく、自分に優しく。
もっと自分を大切にしなさい。

振られた仕事はホイホイ受けて、自分の仕事は振らない…が結局キツくてもなんとか終わる。
そんなことしてれば心身が壊れるのは必然ですね。
今は頑張り過ぎないように頑張ることを目標にしています。
働ける喜びが抑えられず鈍った体に少し無理をさせてますが、健康のありがたみを噛み締めています。

返信する
のり

なみさんの優しい言葉にすごく癒されました。こんな言葉を言えるなみさんは、本当素敵な方だなと思います。

社会人になってから落ち込んだりすることが多く、軽度のうつ状態だと診断されました。それでも続けてきた仕事も昨年辞め、つらさや寂しさ不安を感じています。

私も公共機関に助けられました。
すごくしんどい状況かもしれないと慰められた言葉に泣いたり、落ち込むと自分を被害者ぶっているように感じ、つらい状況だよという言葉に違和感を感じたりと、ゆらゆら揺れています。

身近な友人にも分かって欲しくなって、元気をもらったり落ち込んだり。今までの葛藤も私の一人相撲のように感じ、虚しさや恥ずかしさ、惨めさを感じたりと。

つらつらと暗い話ばかりですみません。
なみさんは私を支えてくれる人の一人です。私もそんな優しい人になれたらと思います。寂しい夜にも、優しさをありがとうございます。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です