うつ病と診断されて3か月経った頃、日記を書くことを医師にすすめられました。
同じことをぐるぐる考えてしまうときや、不安や焦りに押しつぶされそうなとき、それを書き出してみると気持ちが整理されるよ、と。
それまでにもメモ程度に記録することはあったのですが、いざ頭の中を整理しようとすると、何を書いたらいいかわからない。とりあえず、思いついたことを書いてみるものの、どうもしっくりこない。
そんなとき、私が実践していた日記の書き方があります。
頭がボーっとして何を書いたらいいのかわからない方、日記をつける習慣がない方に参考にしていただければ幸いです。
基本編:超簡単な日記の書き方
それでは、さっそくお手軽日記の書き方を紹介します。
言葉がまったく浮かばないとき、私はこんなふうにして書き始めました。
① 未来の自分に向けて
② あいさつから始める
③ 気楽におしゃべりするつもりで書く
例えば、こんな感じ。
「こんにちは。今日は雨が降っています。薄暗くて、余計にブルーな気分になってしまいます」
もっとラフに書いてもいいですね。
「これからどうしたらいいのかな?」
な~んにも浮かばなかったら、こう。
「わからない」
もちろん、①②③関係なく書いても構いません。好きな人(友達、有名人、歴史上の人物 etc.)に書いてもいいですし、独り言のように書いてもいい。である調で格調高く、という「なりきり」もOK!
重要なのは以下のポイント。
- とりあえず書く!
- 難しく考えない!
- 悩む前に書く!
書き方のルール
「好きなように書きましょう」と言われて悩んでしまうときは、簡単なルールを作ると書きやすくなります。
私が実践していたルールは4つ。まずは形から。
大学ノートに書く
B5サイズのノートをメインに使っています。チラシや薬袋の裏でもいいのですが、バラバラになってしまうので、ノートに落ち着きました。後で読み返すときに見やすいですしね。
最近はたくさん書き込むのでB罫(罫線の幅6mm)を使っていますが、以前はちょっと広めのA罫(罫幅7mm)を使っていました。無地のノートもおすすめです。罫線を気にせず伸び伸び書けるので自由を感じられます。
ボールペンで書く
消せないのがポイントです。間違えたら、二重線で消します。その間違いにも無意識的な何かがあらわれているんじゃないかと思ったんですよね。
鉛筆だとこすれて薄くなってしまいますが、ボールペンなら時間が経ってもきれいに保存できます(黒歴史もバッチリ保存!)。さらさらなめらかな書き心地もいいですね。
日にちを書く
療養中は特に大事なポイントです。年月日を書いておけば、病状と経過を確認できる資料になります。
私は、年月日(6ケタ)を四角で囲います。
例)2015年5月11日 → 「150511」
こうすると後で見返すときに目的の場所を見つけやすいんです。気が向いたときは、時間も記録しておきます。
ノートは自由に使う
とにかく自由。内容よりも手を動かすことが大事です。
- ぐちゃぐちゃ書いてもOK
- 文字じゃなくてもOK
- 塗りつぶしてもOK
- 書かなくてもOK
- 破ってもOK
もう何でもアリです。
私が一時期やっていたのは、
- イラストを添える
- その日の記録(レシート、タグ、チケットなど)を貼りつける
- シール、写真、雑誌の切り抜きでコラージュ
こんな感じで不快感をやりすごしていました。
ハードルをとことん下げれば、きっとうまくいきます。
そう、楽しければいいのです。楽しめなくても、苦痛な時間が少しでもましになればいいのです。まぁ、つらいときは何をやってもつらいんですけどね……。
よろしければ、一度試してみてください。
準備編:文章を書くコツ
ここからは、文章を書くことをもっと楽しみたい方向けの内容です。
困ったことに、自分の気持ちや考えを言葉で表現するのは難しいんですよね。
作家の井上ひさしさんはこう言っています。
思っていることを書くのは難しい。「今、見ているものを書きなさい」だとできる
(『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』より)
ほんと、そうですよね。言われてはじめて気づきました。どうりでうまく書けないわけだ。自分の気持ちは上手に書けなくて当たり前。
ですから、言葉が思い浮かばないときは、見たまま書く。
「かかとが乾燥している」
「ボールペンの内部にバネがあって、ノックするたびに伸びたり縮んだりする」
やー、意外に頭を使いますね。でも、感情を観察するよりは簡単です。
まぁ、いつもこうやって書いているわけではないんですけどね。困ったときに役立ちます。
実践編:モヤモヤ→言葉に置き換えゲーム
日記・文章を書くこと、楽しいと感じられるようになりましたでしょうか?
それでは、言葉を紡ぐ喜びを思う存分味わいましょう。
・誰かに話すつもりで、
・思いつくままに、
・上手にまとめようとせず、
言葉を書き連ねていくと、だんだん気持ち良くなってきます。そして、ある地点を越えると言葉が溢れ出してきて、手が追いつかなくなるんですよね。例えば、こんな感じ。勢いだけで書いています。
これはこれで楽しいのですが、さらに素敵な書き方は、井上ひさし先生の教え「見たまま書く」のレベルを上げて「感じたまま書く」。目に見えないもの(感覚や心の動きなど)を頑張って言葉に置き換えてみるんです。
自分の感情や考え。これを言葉にすると、全然うまく表現できないんですよね。
「うーん、そうなんだけど、なんか違うんだよなぁ……」
このブログに書いていることもそう。言いたいことと微妙にズレてしまうことがあります。そういうモヤモヤを言葉に置き換えるゲームです。上手にできた人が勝ち。私はいまだに下手くそです。
それでも、「こうかな?」「いや、こうかな?」と積み重ねていくと、思いもよらない地点に到達できます。
その快感たるや!
これこそが文章を書く喜びでございます。
【関連】もやもや気分を整理するヒント・キーワード集 ― 感情を言葉に置き換えてみよう
最後に
まだ調子が悪かった頃のノートを見返すと、ミミズの這ったような字で悲愴な言葉が綴られています。しかも、支離滅裂。
それでも、文章を書くことに喜びを見い出していたような気がします。当時はそんなふうに感じる余裕は一切なかったんですが、今振り返ってみるとそうなのかなぁ~と。
認知療法などのやり方で、柔軟な考え方を手に入れることがベストではありますが、まずは楽しく続けることを第一に進めていくのがいいのかなと思います。
ノートに書いてもいいし、テキストエディタで打ち込んでもいい。毎日つけなくてもいい。思いつきのメモで十分。
そんな何でもアリな雑記のススメ。
そう、私の日記帳の名前は「雑記帳」。何でもかんでも思いついたことを書きつけています。絵を描いたり、スクラップを貼ったり、インクの出なくなったボールペンをぐるぐる試し書きしたり。
そんな気楽さが長く続ける秘訣かもしれません。いや、長く続ける必要はありません。私の場合は、気づいたら続いてた、というだけですね。「書かない」という事実も現状を表わしているわけですからOKです。
自分が満足できること、これを何より大切にしたいものです。
<参考書籍>
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