ネガティブなことばかり何度も考えて、ガクーンと落ち込んでしまう。
あたし、なんでこんなに落ち込むんだろう?
―― そういう仕様になっております。あらかじめご了承ください。
考えるほど極端に?!テッサー「態度の極化」
考えすぎることで、極端な答えにたどりついてしまう。
社会心理学者のアブラハム・テッサーは、このことを実験で証明しました。
内容をざっくりまとめると、
・「よく知らない」→ 極化しにくい
・人は一貫性を求める傾向がある → 一貫性を高めたい → 最初の印象を支持する肯定材料を集める → 極化
この心理的な働きは、意思決定が必要なときには役立ちそうですね。自信を持って「これだ!」と答えを出す。考えがクリアになると言ってもいいかもしれません。
反対に、ネガティブな事柄について考えているときには、時間をかければかけるほど、落ち込みが極端なものになる。あぁぁぁぁ~。
なぜこのような機能が搭載されたの?
―― さぁ。
というか、人間って、いらんだろって機能が多すぎません? 「バカなの?」って思うこと、たくさんあります。例えば、好きな人や尊敬する人を目の前にするとドキドキしすぎて変なこと口走るとか。なにこれ。バカなの? え? 私がバカなだけ?
まぁそうは言っても、不快だからといって、その機能が不要というわけではないのだと思います。現代では役に立つ機会が減ってしまっただけで、人間が生きる上で何らかの役割を果たしていたのでしょう。
何度も同じことを考え続けてしまう理由とは?
悲観的な考えをくり返して落ち込んでしまう「ぐるぐる思考」。
テッサーによる実験では、「これについて考えてください」という指示が与えられました。でも、私やあなたの落ち込みに関しては、別に「考えてください」と指示されたわけじゃないですよね。それにもかかわらず、時間をかけて考えて続けてしまうのはなぜでしょうか?
私の行動パターンをふり返ると、以下の傾向が考えられます。
- しつこい
- はっきりした答えを求めがち
- 失敗したくない
- 中途半端に耐えられない
- どうでもいいところで真剣
「そういう気質なんです!」で終わらせることもできますが、もう少し考えてみます。
なぜそんなにこだわるのか?
どうしてそこまで深刻に悩むのか?
ここで注目したいキーワードは、「一貫性」と「二分割思考(白黒思考)」です。
どうして一貫性を求めるの?
態度の極化が起こる理由のひとつに、一貫性を求める傾向が挙げられます。
なぜ人は一貫性を求めるのでしょうか?
私が思い当たるのはこんな気持ち。
「『どちらでもない』はイヤ!」
「矛盾、大キライ!」
グラグラした状態を維持するのはしんどいものです。右腕と左腕、同時に引っぱられたら痛いし、もげる。
さらによくある、こんなダブルバインド(二重拘束)。
・「みんな平等」が口癖の先生は、いつも優秀なあの子を贔屓する。
・「何でも好きなの選んでいいよ」とお母さんが言ったから、好きなお菓子を選んだら「それはダメ!」と怒られた。
困ってしまってワンワンワワーン状態に陥っては、次に進めません。
相田みつをは言いました。
途中にいるから中ぶらりん 底まで落ちて地に足が着けば ほんとうに落ち着く
え? あたし、もしかして落ち着きたいから落ち込んでる……!?
落ち着ける底があればいいけど、もし底がなかったら……?
どうしてそこまで落ち込むの?
二分割思考の人は、態度が極化しやすいのかもしれません。
白黒はっきりつけたい! だから、そのための根拠を次々と探し出す。そうして、自分の意見を確固たるものにする。
【参考】何でも白黒つけてしまう人が知るべき真実 ~どっちつかずの生き方~
でも、人間は、社会は、世の中は、矛盾だらけ。まっすぐ生きようとするのは難しい。気づいたらねじれちゃってるんですよね、メビウスの輪みたいに。
だから、どれだけ一生懸命考えても、結局もとに戻ってきちゃって、永遠にぐるぐるぐるぐる。
「なにこの仕様?!」
「バカなの?」
「神様のイタズラ?」
はぁ……なんでこんなに落ち込むんだろう?
―― 時間をかけて考えることにより、「落ち込み」という態度を強化しているからです。
なぜ、時間をかけて考えるのか? それは、現状を打開したいからです。気持ち悪い状態をキープするのは苦痛であるため、解決策を一生懸命考えているのです。
しかし、どこかで間違えて、ネズミさんが大好きな回し車に乗ってしまったため、ぐるぐるぐるぐる同じ場所で回っているのです。カラカラカラカラ……
落ち込みや辛さを解消するためには?
そういうわけで、同じこと考えるのもほどほどにしておきましょうねって結論になるんでしょうかね。特に、感情が溢れ出て、冷静に考えるのが難しいときは要注意。
たくさん悩んだり考えたりすることは悪いことじゃないんだけど、落ち込んで苦しくなるのはしんどいじゃん? と。
解決策を見い出したいときは、問題解決の技法を使うと便利です。「モヤモヤ整理法」もオススメでございます。
以前書いた「私が愛されたい人に愛されない理由」も今日の話に共通するところがあります。すごいぐちゃぐちゃ書いてますけど、態度の極化を防ぐためには、疑う姿勢が重要である! と書けばよかったんですね。こうやって書くと、態度の極化が悪いことみたいですけど、そうじゃなくて、「盲信は危険よ」と。
何事もバランスが大事ですね。
まとめ
ヒトにはこういう心の働きがあるんだと知っておくと、感情にのみ込まれず、ちょっとは冷静に考えられるかもしれません。
私は、ネガティブ思考をこねくり回して落ち込むやつを「ぐるぐる思考」と呼んで、このブログでも多用しているのですが、
「はい、出たー! 態度の極化ー!」
という自己ツッコミをレパートリーに加えると、思考のバリエーションが広がって楽しいかもしれません。
厳密には使い方が正しくないかもしれないですし、そんなふうに言ったって、落ち込みはそう簡単に解消できるもんじゃないんですけどね。
何事もほどほどに。
<参考書籍>
岡本浩一 (1986) 「態度の極化 ― 考えれば、態度は極端になる」『心理学ショート・ショート 実験でとく心の謎』 新曜社 pp.192-201
テッサーは、態度の極化についていろいろな研究を発表しているそうです。
・態度の極化のプロセス(思考時間の長さによってどう進んでいくか?)
・態度対象が目の前にあるかどうかによって極化の度合いは変わるのか? などなど
きちんと調べたら、後続の研究がたくさんあるのでしょうね。興味深いところです。
こんにちは
うつが再発しかけている人間です。
突然コメントしてすみません
うつを隠して就職し一年、いま2ヶ月分くらいの仕事を貯めてしまっています。
仕事の納期も守れず、誰かに相談して乗りきらなければ迷惑をかけてしまうとわかっていても
こうやって現実逃避をしています。
正直もう全部諦めてしまいたいです。
どうにか相談して迷惑がかからないようにしたいです。
突然本当にごめんなさい。