「こんな私は生きている価値がない」
そんなふうに自分を全否定してしまうとき、意識したいことがあります。
「よい」でもなく「悪い」でもないグレーゾーンの存在です。
「どちらでもない」という中間がない考え方をしていると、うまくいかなかったとき絶望に陥りやすくなります。
私は物事を何でも「よい」「悪い」のどちらかに分類しがちです。療養を始めた頃はそれがもっと強くて、ひたすら自分に「悪い」「ダメ」のレッテルを貼りまくっていました。
病気になった=悪い
仕事をしていない=悪い
周囲に迷惑をかける=悪い
無気力=悪い
自分の存在=悪い
「よい」でなければ、問答無用で全部「悪い」。しかも、「よい」の基準がハイレベル。そう、完璧主義なのです。完璧以外はすべてダメ。
そんなの無理じゃん。絶対ありえない。
「でも、常に上を目指すのは良いことでしょ?」
うん、そりゃそうなんだけどね……。
オセロじゃないよ人生は
完璧以外はすべてダメ。
白黒思考、全か無思考などと呼ばれるものです。100か0(ゼロ)のどちらか。中間がない両極端な考え方は、不安や焦りを誘います。
「結果を出さなければ意味がない」
「勝つことがすべて」
「100点以外は不合格」
いやいやいや、さすがにそこまで極端じゃないですよって? じゃあ、なぜそんなに自分のことを責めるのでしょう? きっとそこには何らかの基準があるはず。
私の場合は、「一度でも失敗したら、取り返しがつかない」という意識がありました。わかりやすいのが、「うつ病と診断された私の人生は終わった」という考え。
○か×、白か黒、天国か地獄。
他にも答えはあるのに、2つの選択肢しか考えられなくなってしまいます。
実際には、「よい」でもなく「悪い」でもないゾーンがあります。じっくり観察してみると、その領域はかなり広い。
普通、凡庸、中くらい。
純粋な「よい」、純粋な「悪い」って実は少ない。大抵は、「よい部分もあるけれど、悪い部分もある」「よいわけでもないけれど、悪いわけでもない」。
オセロゲームのように「白」「黒」がパタパタひっくり返るものではないんですよね。「どちらでもない」グレーゾーンが必ずあります。
割り切れないよ人生は
健康と病気の境目
正常と異常の境目
そんなのキッチリ分けられないですよね。
この世には割り切れないものがある。13は2で割り切れません。1余ります。
この1に耐えられない? でも、余っちゃったもんは仕方ない。1を受け入れましょう。
あるいは、もう一度その1を割ってみますか? そうすれば0.5になってスッキリ。
え? さらに割りますか? 0.25、0.125、0.0625、0.03125……
あぁ、永遠に休めないですね。
あれ? そもそも何のために2で割ったんだっけ? 別にそのままで良かったよね?
これじゃまるで、大根やニンジンを切り分け続けていたら最終的にペースト状になっちゃった、みたいな感じ。
そう、「よい」「悪い」はペースト状なのです。……うん、ちょっと言ってる意味わかんないですね。
モヤモヤだらけよ人生は
中間地点を探るのはおもしろいものです。
タモリさんが昔言っていました。信号の中で黄色が一番好き。進めでもなく、止まれでもないのがいいって。
他にもいろいろありそうですよね。思いつくもの挙げてみます。
成功・失敗、躁・うつ
好き・嫌い、美味しい・まずい
敵・味方、天国・地獄
美しい・醜い、優性・劣性
男・女、大人・子ども、生・死 etc.
まだまだありそうですね。対ではなく、一体に思えるものもあります。
そのあやふやな部分に注目すると、ものすごく気持ち悪い。だって、つかみどころがなくて、どう扱えばいいかわからないから。
私は市松模様がパチッとしていて好きです。でも、この世界はどちらかと言えばマーブル模様。いろいろな物が溶け合っています。
そのままだと何も話が進まないから、数値に置き換えたり、仮説を立てたり、選択問題にしたりして、仕事を進めている。
いくら「完璧だー!」と思っても、本当の完璧は存在しない。完全に不完全。
もはやすべてが混沌。あやふや。
だから、スッキリしたくてモヤモヤする。
最後に
何でもかんでも白黒つけるのをやめると、ガチガチの緊張感が和らぎます。「~しなければ」という考えから解放されて、「これでいいんだね」と安心できる。多少気になるところがあっても、「まぁ、それもまたよしでしょ」と適当に対処できる。
何かをはっきり断言できたときほど要注意。極端な答えは、他の選択肢を見落としている可能性があります。
だから、中間・グレーゾーンを意識する。どっちつかずも悪くないもんです。
「よい」でもなく「悪い」でもない。
あぁ、中途半端で気持ち悪い。
この気持ち悪さを維持する練習をすれば、極端な思考をバランスよく保てるようになるでしょうか。
グラデーションだよ人生は。
あぁ、キレイですね。
この記事を読んで気づかされることがいくつもありました。
自分は白黒つけないと気がすまない。自分の中の正論と違うものは悪だと決めつけていたのかもしれない。
そうした生き方はつまづいてしまった時、再び歩き出すのが少し大変だ。そう感じています。
白黒つけないグレーはなんとなく落ち着かない気がします。でもそんな中間を受け入れること、それができるようになることが人生をより豊かにしてくれるような気がします。
この記事に出会えてよかった(^o^)