「にんじんしりしり」は楽しい。音が楽しい。文字の並びが楽しい。
正しい表記は何でしょう。
「にんじんシリシリ」なのか「人参シリシリ」なのか、はたまた「ニンジンしりしり」なのか。
私としては全ひらがなを推したいところ。なんか可愛いから。
もちろん音や字面だけではありません。
にんじんしりしりは美味しい。
美味しい上に、作り方も簡単です。
千切りにしたニンジンを炒めて、卵を回し入れて加熱。卵が固まったら全体を混ぜて出来上がり。
調味料を変えたり、卵を入れないバージョンもある。いろいろなアレンジレシピが生み出されているようです。
ちなみに「しりしり」とは、道具で作る千切りのことを言うそうです。
道具のことも、すりおろすこと(動作)も「しりしり」と呼ぶそうな。
ここ最近は、にんじんしりしりを連日食べています。
ニンジンを大量にもらって、持て余しているからです。
大量消費したいときは「にんじんしりしり」に限る! と大声で言いたくなるほどに最適なレシピ。
ひたすらニンジンを刻む。楽しい。
おいしい。パクパク食べる。すぐなくなる。
だから追加でまた作る。
好循環。にっこり。
前にも書いた記憶がありますが、私は野菜を細かく刻むのが好きです。
キャベツの千切り。
ナス、きゅうりも刻みたい。
みじん切りより千切りのほうが楽しい。切った野菜がきれいに並ぶのを見ると嬉しくなるからでしょうか。あるいはこんもり山盛りになった感じがいいのかな。
いずれにしても達成感と満足感を得られるので良い。
いじめ後遺症で苦しんでいる人が、つらさを忘れるために、ひたすらキャベツを刻んでいると話すのを昔テレビで見ました。そうしたくなる気持ち、ちょっとわかるなと思いました。
野菜を刻んでいる間は無心になれるんですよね。
心の痛みはなくならなくても、ちょっとは気をそらせられる。
無表情でキャベツを刻むその人の姿が忘れられません。
つらい気持ちを和らげるのは簡単ではありません。
時間薬とはよく言ったものだけれど、当人にとってそんな言葉は何の効果もない。
痛いときにはどうすることもできないのですよね。
できることは、意識を他に向けようと努めるのみ。
それでもつらいんだけど。
ただただ野菜を刻む……
ここ数日、心が少し開放されるような気がしたのは、人参を大量に刻むことで、よくない思いを取り払えたからなのかなと思いました。
今日もにんじんしりしりを食べます。