先日、『自殺予防の認知療法 もう一度生きる力を取り戻してみよう』という本をご紹介しました。
読みごたえのある内容だったので、感想を書こうと思ったのですが、どうもうまく書けなくて「うーむ」とうなっていました。
読みながら浮かんだイメージを挙げてみたのですが、何だかスッキリしない内容で、今こうして書き直しているのですけれど……。
好き嫌いでもなく、良い悪いでもなく、こう何と言うのか……。
多分、「それができないから悩んでるんでしょ」みたいなことかなぁと思うのですが、やっぱりどうも定まらないですね。
学べることはたくさんあるけれど、コンディションによってはマイナスに働くこともあるんじゃないか、でも、それを言ったら、大抵のことが当てはまるよね、じゃあ、この何とも言い難い感覚はなんだ? と思い至ったところで、認知療法で示される言葉にモヤモヤしていた時のことを思い出しました。
『自殺予防の認知療法』に限らず、「生きる素晴らしさ」「人生の輝き」というニュアンスのメッセージを受け取ったときに感じるものを私は表現したかったのだと思います。
それに加えて、「わかっちゃいるけどやめられない」「それができりゃ苦労しない」的な苛立ちも。
いくら間違った姿勢だとわかっていても、自己憐憫に浸っていたいときもあります。悲しみに浸っていたいときに「思考を変えよう」と言われると、自分の気持ちを否定されたような気がして、何となく嫌な気分になってしまうこともあります。
「言いたいことはわかるよ、あなたの言うことは正しいよ、でもね、それですべてをフォローできるわけじゃないと思うんだよね」
そんな気持ちを表した心象です。
『自殺予防の認知療法』を読みながら浮かんだイメージ
それでは、足元がグラついたままですが、『自殺予防の認知療法』を読みながら思い浮かべたイメージをつらつら書いてみます。6つあります。
成功事例を示して説得する心優しき実演販売マン風学者
『自殺予防の認知療法』全体を通して感じたのは、言葉に芯があって説得力があること。
キッチリカッチリした解説を示し、不安や恐怖にのみ込まれそうな読者をすくい上げ、事例を挙げて問題解決へと導く。
そんな心優しき実演販売マン風学者。
当ブログでもよく紹介している認知療法の本『いやな気分よ、さようなら』の説明も引用されています。
『自殺予防の認知療法』は、ホワイトボードのある会議室で、認知療法を教えてもらう感じ。『いやな気分よ、さようなら』は、カウンセリングルームのソファに腰かけて、ユーモアを交えながら話をする感じ。
文体(「である」「です・ます」)の違いも関係していると思われますが、『自殺予防の認知療法』は、笑いを受けつけないときに読みやすいかなと思います。
ファブリーズを噴射する松岡修造
「うつ病患者に松岡修造は厳禁である」というジョークを聞いたことがあります。
本当にそうだと思います。
でも、それは彼を否定しているのではありません。むしろ彼のメッセージに対して「そうだね」と思うことが多いです。いつも「そうしたい人はそうすると良いよね」と思いながら同意しています。
彼の魅力は「アツさ」。本書に「ネクストタイム!」「いまここ 修造」のような言葉は登場しませんが、根底には何か共通するものがあるような気がしました。
実際には、著者にそのような気質はまったくないのかもしれませんが、この本を読みながら松岡修造さんの顔が浮かんでいたことは事実です。イヤなニオイをシュシュッと消臭。
キラキラハッピーオーラの押切もえ
この本に救われる自殺志願者はどういう人かな? と考えたときに押切もえさんの顔が浮かびました。
「キラキラ」「ハッピー」「ポジティブ」
私が彼女に対して抱くイメージです。
彼女は才能に溢れています。つい先日、2年連続で二科展に入賞されたとのこと。個人的に印象に残っているのは、第29回山本周五郎賞ノミネート。受賞者・湊かなえさんに次ぐ評価を得ました。
受賞記念エッセイで、湊かなえさんは押切もえさんのことを「文芸の外の人」と書きました。
ここにはさまざまな意味が込められているのだとは思いますが、私も押切もえさんに対してこういうニュアンスの言葉を使いたくなることがあります。
ねじれのある人間と交わることのない、まっすぐで美しい輝ける人。
生きる力を取り戻した元自殺志願者のその後が押切もえさんの姿に重なりました。
「大丈夫!」を連呼するアニマル浜口
「気合だ気合だ気合だ気合だ気合だ気合だー!」と叫ぶアニマル浜口さん。このセリフが「大丈夫」に変換されました。
「大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫だー!」
強い。堅い。がっちりサポートいたします。押忍!!
本書の語り口とはかけ離れています。なぜこのようなイメージが浮かんだのでしょうか。松岡修造さんからの連想でしょうか。だとしたら本当に本書とは関係ない。
でも、「大丈夫だよ」というメッセージが伝わってきたことは本当です。
それはさておき、最近テレビで見かける浜口京子さんがとってもキュートです。父親とテレビ出演した際に見られる彼女の困惑顔も、私が思い浮かべたイメージときっと無関係ではないでしょう。
食べかけのエクレア
人生は生きるに値し、自殺願望を克服することが可能である
(p.183)
本書全体に通底するメッセージです。
「この世は生きるに値する」
宮崎駿さんも引退会見で言っていました。本当にそうだと思います。
・・・・・・
食べかけのエクレアがここにある。
あなたはそのエクレアを棄てようとした。
そのときこう言われた。
「せっかく頂いたエクレア捨てちゃうのはもったいないよ」
私はエクレアが好きだ。でも、エクレアが好きじゃない人もいる。アレルギーで食べられない人もいる。
「こんなにおいしいのにね」
・・・・・・
「このエクレアは食べるに値する」?
フラワーカンパニーズ「深夜高速」
5つのイメージの最後には、エンディングテーマがありました。フラワーカンパニーズの「深夜高速」です。
生きていてよかった
生きていてよかった
生きていてよかった
そんな夜を探してる
このフレーズがリピートしました。一つのドラマを観終わったような感慨がありました。
「深夜高速」は、「生きたい」という生命力に溢れた歌です。
「探してる」ということは、きっと今「生きていてよかった」と実感しているわけではないということですよね。
この本にピッタリなんじゃないかなと思いました。
最後に
中盤、私は一体何を書いているんだという思いがよぎりましたが、がんばって頭に浮かんだイメージを全部書きました。
ここに書いたことは本書に限ったことではないようにも思えますし、本書がどういう雰囲気の内容か伝える感想文である気もします。多分、読むタイミングによって印象は大きく変わるんでしょうね。
頑張りたいのに頑張れない。前向きなアドバイスを素直に受け取れない。正しいとわかっていてもその方向に足を踏み出せない。
「そういう気持ちのときはどうしたらいいの?」
その思いが上記のイメージを生成したように感じられます。
認知療法は何度もくり返すことが大切だと著者は言います。
最初はうまくできなくて当たり前。それはスポーツや楽器の練習と同じ。少しずつ、できる範囲で、確実に積み重ねる。
私にとっては、このブログが練習の場となりました。ブログだけでなく、日記帳やPCのメモ帳に気持ちを書きつけていました。ぐるぐる同じことばかり書いていたと思います。でも、それがきっと良い準備運動になったのでしょうね。
不調のときに読むのはちょっと大変かもしれません。それでも、認知療法のワークをくり返し練習することで、気持ちの変化は必ずあらわれるはずです。
「書いて、書いて、書きまくれ」
そんな著者のメッセージとともに。
【バーンズ先生に教わったこと】
・己のダメっぷりに打ち負かされたとき役立つユニークな例え話
【『いやな気分よ さようなら』より】
・ネガティブな考えをマイルドにするダブルカラム法
・罪悪感を手放し、自尊心を高めるための戦術
・憂鬱の出どころ・不自然な思い込みをあぶり出す「矢印法」
・何をするのもおっくう?「できない」悪循環を断ち切るための記録シート
辛いときは「そうだ…!ナミさんのとこ行こ!」と言う感じでいつもこちらに訪れてます。
ナミさんの文章を読んで…お土産をもらって…頑張ってます( ´∀`)
いつもありがとう。