「うつ病ってどんな病気なのかな?」
そんな疑問を持ったとき、おすすめの本があります。
『よくわかるうつ病 - 診断と治療、周囲の接し方・支え方』です。
うつ病に関する知識、治療の流れ、周囲の人の接し方がコンパクトにまとまっています。
うつ病の入門書として最適なムック本(雑誌っぽい書籍)です。
【こちらもあわせてどうぞ】
はじめの一冊『よくわかるうつ病』『うつ病のことが正しくわかる本』おすすめはどっち?
こんな人におすすめです
- 「もしかしてうつ病かな?」と不安に思うことがある人
- うつ病がどんな病気かよく知らない人
- うつ病と診断されて、これからどう治療が進むのか知りたい人
- 治療に関する不安や疑問がある人
- うつ病患者さんの家族や周囲の人
- はじめての一冊を探している人
本書のおすすめポイント
うつ病全体のイメージをつかめる
治療開始、急性期~回復期~リハビリ期まで、うつ病がどんなものか全体のイメージがわかります。
うつ病の治療法、再発予防の心構えについても広く説明があり、患者さんと家族・周囲の人が共有しておきたい知識がつまっています。
主な内容
- うつ病の症状
- 薬物療法
- 精神療法(対人関係療法、認知行動療法)
- 再発防止
- 社会復帰に向けて
- うつ病と関連する病気(双極性障害、認知症など)
図やイラストによる解説がわかりやすい
うつの症状をイメージしやすいイラスト、身近な例えを使った説明が理解を助けてくれます。
また、見出しの文字も大きく、説明文にメリハリがあるので、パラパラ見ているだけでも大枠をつかめます。まさに雑誌のような構成です。
患者さんの声、Q&A方式のページも多く、切実な悩みを見つけやすいのも良いところ。
8人の専門家が監修している
本書は各パートを精神科医や専門家が監修しています。
うつ病、薬、睡眠、治療法など、どのパートも専門用語を使わず、かみ砕いて説明してあるので、理解しやすいです。
各分野のエキスパートが監修しているという点は、なかなか心強いところだと思います。
はじめの一冊として使いやすい
『よくわかるうつ病 診断と治療、周囲の接し方・支え方』というタイトルのとおり、本書は入門書に最適です。
コンパクトにまとまっているということは、その分詳しい説明が足りないということでもありますが、全体像を理解するには十分です。
索引がついているので、「これって何だろう?」と気になったことをピンポイントでチェックできます。本書で物足りない部分は、より詳しい解説書で学べばOK。
B5サイズ(大学ノートより気持ち大きめ)、127ページの薄めの本です。しっかりめの紙質ですが、気軽にパラパラめくれるサイズ感で手に取りやすいと思います。
うつ病→双極Ⅱ型当事者の個人的な感想
ここまでに書いた内容と重なりますが、コンパクトな内容で、見出しの文字が大きく、イラストがたくさん使われている本書はすごくいいなと思いました。
これなら、うつ症状でつらいときでも読みやすそう。……といっても、文字ぎっしりの解説本に比べれば、ですけれど。
うつ病との区別が難しい「双極性障害(躁うつ病)」や「認知症」について紹介されているのも注目したいポイントです(私自身が「うつ病」から「双極Ⅱ型障害」に診断名が変更になっているので尚更)。
うつ症状は身体の病気とも無関係ではないので、うつ病以外の関連情報を知ることは大切ですね。最初から多くを把握するのは難しいので、少しずつ少しずつ。
そしてもう一つ、この本を読んでみようと思った理由として大きかったのが、著名な先生方が監修していたこと。
特に、双極性障害の第一人者・加藤忠史先生、睡眠障害の専門医・内山真先生の書籍は、当ブログでも何度か紹介しています。Webサイトも参考になります(このエントリの最後にリンクを貼っておきます)。
精神疾患と一口に言っても、さまざまな病気があるので、各分野の専門医が監修しているという点は心強いですね。
「有名な人が書いているから絶対正しい」と盲信するのはよくありませんが、根拠のない疑似科学やインチキ論も出回っていますので、権威性を頼りに選ぶのはある程度妥当です。
また、複数の専門家がかかわっているところも良いと思います。
医師や専門家が書いた本(特に新書)の中には、まれに、個人の価値観丸出しの偏ったものがあります。医師も人間なので考え方に違いはあって当然ですし、現場感覚や研究者の立場もさまざまなのかなとは思います。でも、あまりにも偏りが大きいと、「書籍もあてにならないなー」とガッカリしてしまいます。
その点、本書は、複数の専門家がかかわることにより、バランスの取れた内容になっているのかなと思います。
最後に
- 「うつ病かな?」と思ったとき
- うつ病がどんな病気か知りたいとき
- うつ病診断後、どう治療が進むのか知りたいとき
- 家族がうつ病になって、どう接したらいいのか知りたいとき
うつ病の基本をカバーする本書が役立つはずです。
興味のある方はぜひお手にとってみてください。
【こちらもあわせてどうぞ】
はじめの一冊『よくわかるうつ病』『うつ病のことが正しくわかる本』おすすめはどっち?
<本日の一冊>
尾崎紀夫総監修 (2016)『別冊NHKきょうの健康 よくわかるうつ病 診断と治療、周囲の接し方・支え方』NHK出版
電子書籍版もあります。
<監修者一覧>
内容 | 監修者 |
---|---|
うつ病の症状 | 尾崎紀夫 名古屋大学病院 教授 日本うつ病学会 理事長 |
急性期の治療 | 渡邊衡一郎 杏林大学 教授 |
うつ病と不眠 | 内山真 日本大学 教授 |
対人関係療法 | 水島広子 対人関係療法専門クリニック 院長 |
認知行動療法 | 中野有美 椙山女学園大学 准教授 |
回復・再発防止 | 五十嵐良雄 メディカルケア虎ノ門 院長 |
双極性障害 | 加藤忠史 理化学研究所脳科学総合研究センター 副センタ―長 |
認知症 | 三村將 慶応義塾大学 教授 |
(敬称略、所属は本書掲載時のものです)
<関連情報>
日本うつ病学会
「睡眠・覚醒リズム表」「ライフチャート」などのPDFファイルをダウンロードできます。
双極性障害委員会 | 日本うつ病学会
患者さんとご家族に向けた、病気を正しく理解するための解説書「双極性障害(躁うつ病)とつきあうために」(PDFファイル)をダウンロードできます。
躁うつ病(双極性障害)のホームページ
脳科学研究者・精神科医である加藤忠史先生(@KatoTadafumi)によるサイトです。双極性障害の解説、治療法、患者さんやご家族の手記も紹介されています。
睡眠障害についてまとめたエントリは「睡眠の専門医による不眠解消のための3つの生活指導」からどうぞ。
更新ありがとうございます。
お久しぶりです。
急に暑くなりました、お身体ご自愛くださいませ。