うつ地獄から帰還した丸岡いずみさんに学ぶ、うつ病と上手に付き合う方法

竹富島の透き通った海

丸岡いずみさんのうつ病エッセイを読みました。

丸岡さんがバリバリ働いていたときの話から、うつ病になるまでの経緯、闘病生活。そして、苦しい時期を乗り切って「うつ地獄」から帰還した今の心境。

中でも、丸岡さんがうつ病の重い症状に悩まされたときの話は同感することがたくさんあって、パーッと一気に読んでしまいました。

文章も少なめで、丸岡さんが話しかけてくれるような優しい文体なので、療養中の方でも読みやすい本だと思います。

私が丸岡いずみファンになったきっかけ

丸岡さんはすごく真面目な人。

これが私の印象です。きっかけは、ある番組のニュースコーナーを担当していた丸岡さんの誠実さを見たときでした。

確か、大雪で転倒に注意という内容だったと思います。そのとき丸岡さんは「靴に取りつけるタイプのすべり止めもありますから利用するといいですね~」とオススメしつつ、「また機会があればご紹介したいと思います」とその話題をまとめました。

そしてその翌日、彼女は実物を持参して「昨日ご紹介したすべり止めがコチラなんですが……」と使い方を詳しく紹介していました。

(※イメージ)

有言実行とはこのことだと私は感動しました。おそらく「そのすべり止めをぜひとも紹介してほしい!」と期待した方は多くなかったと思います。私も「へぇ~そうなんだ~」ぐらいに流していました。

キャスターが持参した私物を紹介することはすごく新鮮でした。きっと丸岡さんは、首都圏の人は雪に慣れていないからと配慮し、実物を紹介されたんだと思います。

私が見ているのは一部分でしかなくて、丸岡さんもたくさんの仕事を抱えて忙しいだろうに……。「より良いものを伝えるために」という姿勢が伝わってきて、とても印象深かったです。

ちょっとしたことですが、なかなかできないですよね。

こういうところに人間性ってあらわれるんだなぁと痛感しました。

誰でもうつ病になる可能性はある

丸岡さんがうつ病だと知ったときはとても驚きましたが、どこか納得できるような気もしました。

仕事熱心な丸岡さんはとても素敵だけど、常にすべり止めを紹介したときのような完璧な取り組み方をしていたら疲れちゃうかもしれない。

……と、勝手に親近感を覚えて心配していました。ちょうど私自身ひどい抑うつ症状に悩まされていたこともあって余計に。

そして、丸岡さんは今どんな気持ちだろうと想像したりして。

徳島に帰り、療養に入ったときの心境を丸岡さんはこう綴っています。

「私、やっぱりうつ病だった……」
「でも……、まさか私がうつ病になるなんて」
「やっぱり信じられない……」

これまた共感。

私も仕事ができなくなったときは、まさか自分がうつ病になるなんて思いませんでしたし、長い間受け入れることができませんでした。

「うつ病患者=負け犬」というイメージも同じ。私の人生は終わったと絶望しました。今思うとカチコチの考え方です。

丸岡さんと医師の鎌田實さんの対談の中で、鎌田先生も同じことを言っています。

自分は特別に強いと思っていたけれど。48歳の時にパニック障害になったの。

(……)

 自分が絶対そういうことになる人間だと思わなかったけれど。丸ちゃんの話を聞いた時も、うつ病になるとは思わなかったよね。みんな同じ。ストレスが続けば、誰でも病気になる可能性がある。

うつ病は誰にでもなり得る病気だということを知っていたら、少しは気持ちも違っていたかもしれません。

他人と比較しがちな人は注意

この本を読みながらモヤッとしたこともありました。

もし症状がひどいときに読んでいたら落ち込んだかもしれないなぁ、と。

捉え方の問題ですね。うつ病の症状の一つとも言える究極のマイナス思考。元々私は人と比べてため息をつくタイプの人間なので、病気に関してもとにかく比較して考えてしまうんです。

「丸岡さんはこんな過酷な仕事をこなしていた。なのに私は……」
「こんなレベルで病気になるなんて私はただの甘えだ」

もう何言ってもダメ。足りない部分を探すのだけは上手いんですよねぇ。

確かに、丸岡さんが重ねてきたキャリアは素晴らしいものだけれど、丸岡さんは丸岡さん。自分は自分。

「育ってきた環境が違うから~」なんて歌にもあるように、前提条件が違うんだから比べたって意味ないんだよ。

と、比べたがり屋な自分に言いたくなりました。

丸岡いずみ流 うつ病との上手な付き合い方

最後の章で、「うつ病と上手につきあう心得」が10個紹介されています。

うつ病で悩んでいるとき、本を読むのもつらいとき、モヤモヤを解消したいとき、ぜひチェックしておきたいパートです。

心得1 「私は違う……」という自分勝手な思い込みを取り払う
心得2 うつ病は「心の風邪」ではない!
    そんなに気楽なものではない!
心得3 「眠れない」「食べられない」に気づいたら、
    悩んでないで、すぐに精神科へ!
心得4 薬が劇的に効く場合もある!
    処方された薬はきちんと飲もう
心得5 自分の五感が大自然とつながると
    大きな癒しを与えてもらえる
心得6 素直に話せる人を見つけると
    もつれた気持ちはほぐれて救われる
心得7 身近な「味方」は心の拠りどころ
    素の自分でいられる環境で過ごしたい
心得8 簡単なことではないけれど
    「いつかは終わる」を思い出す!
心得9 「頑張れ」という言葉は使い方次第で毒にも薬にもなる
心得10 私にとっての魔法の呪文
    「命を取られることはない!」

どれも「そうそう!」「わかるわかる!」という言葉ばかり。

自分の経験を振り返ると、回復を大きく前進させるのは心得6。誰でもいいから気持ちを話してみること。

なかなか本音を打ち明けるのは難しくて勇気のいることかもしません。でも、ほんの少しでも「つらいよ~」「苦しいよ~」と言葉にすることで気持ちに変化が起こります。

と言いつつ、私は何でも自分一人で抱え込んでこじらせるタイプなので、今でも全然できてないですけどね。それでも、私なりに気持ちを伝えられたときは少しスッキリしましたし、素直になれたことが嬉しかったです。

できなくて悩んでしまうときは、心得10で乗り切りましょう。

うつ病になっても、自ら命を絶ってしまおうとしない限り、「命を取られることはない!」(……)

「命があれば、未来はどうにでもなる」

「うつ地獄」から帰還するために

最後に、丸岡さんはご家族やこれまでに出会った方々への感謝を綴っています。

それを読んでいたら、自分自身の経験とシンクロして思わず涙がポロリ。

私もたくさんの人に支えられてここまでこられたんだなぁ。つらかったこと、苦しかったこと、助けられたこと、救われたこと……さまざまな思いが溢れてきます。

ブログを始めてからもたくさんの方にあたたかいメッセージをいただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

優しい人たちに出会えた私は本当に幸せ者。

こんなふうに思えるのは「うつ地獄」を経験したからこそです。

今だから言えることではありますが、うつ病に苦しめられている方も必ず「よかった」と思える日が来る。そう信じることができたらと思います。

「休むことも生きること」

丸岡さんの言葉です。すごくしっくりきます。

自分らしく生きるために。

少しでも気持ちがラクになることをこれから一緒に探していきましょう。

 

<本日の一冊>

4 COMMENTS

mimi

丸岡さん、私も好きな女性のひとりです。でもこの本は途中までしか読めませんでした。
死にたい気持ちってどこからやってくるんでしょうね。今日は身体が辛くてベッドにずっといて、ただただ死にたいと考えています。でも、屋上に上がって飛び降りることもできるのにしないのだから、私は本当は生きたいんですよね、、、。
いのちの電話に電話をして、ようやく繋がってもうまく話せない。精神科でもうまく話せない。どうしたら楽になるのだろうって考えて、、、。ただ辛くてしんどくて、、、。

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ナミ

>mimiさん

つらい中で記事を読んでくださり、ありがとうございます。さらにこうしてコメントをもいただき、嬉しく思います。

死にたい気持ち、これは本当に何なんでしょうね。つらいですよね……。

本来の生きるプログラムを否定したくなるほどの苦しみ。mimiさんのその苦悩を和らげる方法を見つけられるといいのですが……。これから少しずつ一緒に考えていけたらと思います。

うまく話せない……。私も症状がひどいときには「つらい」「苦しい」「死にたい」しか言えませんでした。それもまた悩ましくて。

でも、大丈夫。mimiさんのお気持ち、ちゃんと伝わってきました。私にはお話を聞くことしかできませんが、よろしければまたいつでもお話聞かせてください。本音を吐き出すことで少しは気分が軽くなるかもしれません。

mimiさんの心と身体が少しでもラクになることを祈っています。どうぞお大事に。

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さりか

ナミさん、こんにちは。お久しぶりです。
「休むことも生きること」って良い言葉ですね。なんだか安心します。
ここ最近は割と調子が良かったのですが、今週に入ってから急にガクっと落ちてしまい、嫌なことばかりぐるぐる・・やめたいのに止まらないんですよね。。
記事を読んで、生きるって奥深いなと思いました。
紹介してくださってありがとうございます。

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ナミ

>さりかさん

お久しぶりです。コメントありがとうございます。

その後体調はいかがですか?

「うつ」ってヤツは本当に波が激しいので厄介ですね。嫌なことばかりぐるぐるしてしまうのもすごーくわかります。私も堂々巡りに陥りやすいものですから。

そういうときこそ「休むことは生きること」と自分に優しくできたらいいんでしょうね。

でも、「わかっちゃいるけどやめられない」のも人間の性。さりかさんのおっしゃる通り、生きるって奥が深いですねぇ。

どうぞお大事になさってくださいね。

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