うつ病治療の基本は休息。
薬を飲みながら仕事を続ける人も増えていますが、休息が治療の原則であることは変わりません。
でも、それはわかっていても、長い療養期間をどう過ごせばいいか悩んでしまうこともあるのではないでしょうか?
そこで今日は、お休み中のやることリストをまとめます。
双極Ⅱ型障害の本で示されていた内容ですが、うつ病やうつ症状で悩んでいる人にも当てはまる内容です。服薬を除けば、「病気じゃないけど、何となく心が不調だな」という人にも役立つはずです。
心身の調子を落ち着かせるためにも、ぜひチェックしておきましょう。
当事者にやってもらいたい4つのこと
病気回復のためには何をすればいいのでしょうか?
精神科医の内海健氏は「当事者にやってもらいたいこと」として次の4つを挙げています。
- 服薬(飲み心地と副作用の報告)
- 睡眠覚醒リズムの確立
- セルフモニタリング
- 適度な作業と運動
(『双極Ⅱ型障害という病 -改訂版うつ病新時代-』p.106)
一つずつ見ていきましょう。
1.服薬(飲み心地と副作用の報告)
まず、医師の指示に従って処方された薬を飲むこと。そして、服用してどうなったかを診察時に報告することが必要です。
- 薬の効果
- 副作用
- 飲み心地
疑問があるときは、処方された薬がどういうものなのか、しっかり聞いておきましょう。薬剤師さんに尋ねてみるのも良いですね。
こちらが納得できる説明を主治医がしてくれず、どうしても不信感が拭えない場合は、転院を考えてもいいと思います。
2.睡眠覚醒リズムの確立
回復のためには、生活リズムを立て直すことが重要です。
特に、睡眠リズムが崩れているうちは回復が難しいといいます。「昼夜逆転はNG!」ということですね。
生活のリズムを確立するためのポイントは3点。
- 朝決まった時間に起きる
- 昼寝をしない
- 夕方以降は就寝時間まで寝ない
まず大切なのが「朝決まった時間に起きて、太陽の光を浴びること」。
光を浴びることで、生体リズムがリセットされます。夜眠れなかったときも、同じ時間に起きるようにすることで、良いリズムを作ることができるんですね。
また、夜眠れるようにするためには、昼寝をしないことも大事です。
- どうしても眠いときは15分以内の睡眠ですませる
- それも無理なら、90分以内ですませる
睡眠リズムの一単位は約90分。それより多く眠ってしまうと、リズムを崩しやすくなります。
あとは、就寝時間に寝つきやすいよう、夕方以降は寝ないこと。
……と、ここまでの話を聞いて「きついなー」「注文多いなー」と思いませんでしたか?
私は思いました。頭ではわかっていても、心や体が重いときに「朝起きろ」「昼寝NG」と言われるのはつらいんですよね。そして、そんなダメな自分にガッカリ。
でも、最悪の状態を脱すれば、そこまで鬼のような注文ではありません。いったんリズムさえできてしまえば、自然にできるようになります。
だから、それまではちょっと大変かもしれないけれど、少しだけ頑張りましょうね、と。
もちろん調子が悪く、実践するのが難しい場合は、できなくても大丈夫です。ここに挙げたのはあくまでも理想のかたち。完璧を目指して変に力むのは「休養」のルールに反します。
どうしても無理な場合は、主治医と相談して薬の処方を工夫してもらったり、入院して生活リズムを調整することを考えてもいいかもしれません。
3.セルフモニタリング
生活リズムを確立するために役立つのが、記録をつけることです。
自分の状態を観察することで、
- どんなときに調子を崩しやすいか
- 何をしたときに気分がましになるか
といったことが見えてきます。
では、具体的にどうやって記録すればいいのでしょうか。
ここでは、治療でも使われるダイアリーを2つご紹介します。
(1) 睡眠覚醒リズム表
「睡眠覚醒リズム表」は、睡眠にかかわる行動や時間を記録するためのシートです。
・床についていたが、目が覚めていた時間帯に斜線をひく
・眠気の強かった時間帯に矢印をひく
・睡眠薬を服用した時刻にしるし(×)をつける
・夜中目覚めた回数を記入する
・朝起きたときの気分を記入する
(1. かなりだるい/眠い 2. 少しだるい/眠い 3. すっきりしている)
日本うつ病学会のサイトにも、ダウンロードして使える睡眠・覚醒の記録シートがあります。
→ 睡眠・覚醒リズム表(PDFファイル)
(2) 週間活動記録表
「週間活動記録表」は、日中の行動と気分の変化を記録するシートです。
・1時間ごとの活動内容を記入する
・気分の程度を評価する(0~100)
気力がわかず、記録することが難しいときは、簡単なメモ程度でもOKです。
4.適度な作業や運動
ちょっとした作業や軽い運動、これまで楽しんでいた趣味を生活に取り入れることはプラスになります。
散歩をしたり、本を読んだり、手紙を書いたり、釣りをしたり、おかずを一品つくったり、写真を撮ったり……。
身体を動かすことで、気分が良くなることってありますよね。
こうした活動は、体力低下を防ぐだけでなく、落ち込み防止にもなります。
「適度な作業や運動」って具体的になに?
「適度な作業や運動が良いっていうのはわかるんだけど、具体的に何をしたらいいの?」
そう聞きたくなりませんか?
「実際のメニューは、状況に応じて考えればいいよ」と言われても、「いやいや、そこが一番知りたいんですよ」みたいなところありますよね。
でも、確かに、人それぞれ症状も違えば、環境も違います。合う合わないもあるので、具体例は挙げにくい。「自分に合ったプランを無理のない範囲でやってみましょう」としか言いようがないのが実際のところです。
とは言え、それでは前に進めないので、考えましょう。
自分に合ったメニューはどうやって見つけたらいいのでしょうか?
まずは、主治医と相談しながら、どんなふうに過ごしていくか、計画(と言うとちょっと大げさな感じがしますが)を立てられるといいですね。
そこで具体的な答えが見つからなかったときは、思いついたことを気楽にやってみるのがいいと思います。
「メニューを決める」というより、気負わず、楽しんでやることを優先に。
家族に聞いてみるのもいいですね。自分が趣味にしていたことを思い出してみたり。
「楽しい」「おもしろい」「心地よい」と思えることなら、自然と続けられます。
もちろん調子が悪いときは、何をやっても楽しめないんですけど、好きじゃないことを義務感でやるよりは心身に良い影響があると思うんですよね。
そんなゆる~い感じで実践しているのが「療養中の過ごし方」カテゴリで紹介しているアレコレです。
「何をやったらいいのか、さっぱり思いつかないよ~」というとき、よかったら参考にしてみてください(くだらなすぎて「なんじゃこれ」と思っても怒らないでね……)。
最後に
気分障害治療の基本は、休息。
いろいろと心配事はあると思いますが、まずは心をリラックスさせて、のんびりまったり過ごしましょう。
その上で実践したいToDoリストは4つ。
- 処方された薬を飲み、飲み心地・副作用を報告する
- 睡眠のリズムを確立する
- 簡単なダイアリーをつける
- 適度な作業や運動を取り入れる
特に重要なのは、睡眠のリズムです。
朝太陽の光を浴びたり、日記を書いたり、散歩に出かけたり……。
完璧を目指すと疲れてしまうので、できる範囲でぼちぼちやっていきましょう。
<参考書籍>
内海健 (2013)『双極Ⅱ型障害という病 改訂版うつ病新時代』勉誠出版
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殺人的な暑さの中ブログ更新ありがとうございます。
あくまでも私の個人的なものですが、断捨離は、いいと思います。部屋もスッキリしますし、なぜか心もスッキリします。でも、少しお金かかりますが、、、
暑さの中、ナミさん、とこのブログを見ている方がた、お身体お気をつけてください。