『パーティーが終わって、中年が始まる』を読みました。
面白かったです。わかるな~と思う部分が多くて、頷きながら読みました。
phaさんの活動の大まかなトピックは知っていたけれど、こうやってまとめて読むと、またちょっと違った印象です。点と点がつながって物語を感じられるからですかね。
phaさんとは何者か。定職につかず「ニート」を名乗り、話題になった人。ギークハウスプロジェクトというシェアハウスを立ち上げ、ネットの仲間と自由に暮らし、その様子をブログで発信したり本を書いたりしていた。という紹介文でOKですかね。そして、2019年にシェアハウスを解散して一人暮らしに。現在は文筆業のほかに個人書店で働いたりバンド活動をしたりなど。この本ではそれらの日々を振り返りつつ、中年になった今の心境を語っています。40代半ばの思い。私のちょい上ということで、予習させてもらっている感があります。
『パーティーが終わって、中年が始まる』、このタイトルも話題になってたっぽいですね。その中で「中年が始まったらパーティーは終わるのか」みたいなことをつぶやいてる人がいるのを見かけました。そう言いたくなる気持ちもわかる。けど、そうは言っとらんのです。ただ「パーティーが終わって、中年が始まる」という感慨が書かれている。phaさんのこの感じが好きなんですよね、変に思想をねじ込んだりしないの。ただたんたんと、ありのままを素直に綴っている感じ。
彼の本を読むたびに感心するんですけど、phaさんは自分の素直な気持ちを認められるのがすごいなと思うんですよね。言い訳がましくない。潔い。これってなかなかできないことのような気がします。だって、人に何かを言うときって、ついカッコつけたりしちゃいません? 一貫性にとらわれてしまったりとか。「過去にこう言ったのに今は違うとは言いづらいな……」というような。いや、もちろんphaさんもそれはあるみたいですが、変に繕ったり虚勢を張ったりしない。たとえば、「ずっと『働くのは嫌だ』と言ってきた自分がこんなことを思うのは過去の自分に対する後ろめたさもあるのだけど、本屋の仕事は楽しい、と感じている。」と書かれているところがありました。なんか素敵じゃないですか。働かない生き方を是とするphaさんを応援してきた人の中には「言ってたことと違うじゃないか」と思う人もいるかもしれない。けど、そこで嘘ついてもしょうがないし。正直であることって大切だよなと改めて思ったのでした。と同時に、自分がいかに他者の目を気にしているのかということにも気づかされたのでした。
で、いま他の読書メモを見返したら同じことを何度も書いていました。「phaさんのすごいところは、自然体で変化を受け入れられるところ。変に抵抗したりカッコつけたりしない。それが素晴らしい」ですって。んで今気づいたんですけど、phaさんの本を最初に読んだのがちょうど10年前! なんてこったい! ブログもずっと読んでいたから、それを含めたら10年以上になる……うおおおお
最初に読んだ本は『持たない幸福論』。この頃はまだ「いろんな生き方があるよね」という考え方が今ほど広がっていなかった気がするけど……どうだったかな、忘れてしまいました。当時の私は双極性障害の診断がついた後で、まだ心身ともに不安定だった頃。人生迷走中というか混乱中だったので、かなり救われたんですよね、phaさんの考え方に。周りの人と同じ「普通」以外の生き方もあるんだって。
あれから10年。うーん、phaさんのような素敵な変化はないなぁ。まあ人生そんなもんでしょう。隣の芝生は青く見えるってこともあるんでしょうし。
いずれにせよ、こうやって「こちらはこんな感じですよ~」と書いてもらえるのはありがたい。
前にphaさんは、加齢に耐える新しい文体を身に着けたいと書いていたけど *1、私は今の文体の雰囲気がすごく好きだから、このままの感じで次回を期待してしまう。でも、変化するphaさんもそれはそれで見てみたいかも。そんなことを思いました。これもphaさんの考え方がいい感じに影響してる気がします。
*1 https://twitter.com/pha/status/1810341524598829056
【pha本の感想】
心が疲れて弱々な人のための本『がんばらない練習』感想
ゆるい生き方読本『持たない幸福論』は心を軽くしてくれます
【phaさんの教え】
見下されたくない!不快感を和らげる3つの考え方
無気力との上手な付き合い方 ― 自分を上手に休ませるために記録する
丹田呼吸法の偉大なる効果~苦難を乗り切る秘伝の奥義~