『みんなの双極症:日常の悩みから最新知識まで』感想

『みんなの双極症:日常の悩みから最新知識まで』を読みました。著者は、精神科医で、自身も双極症当事者である南中さくら先生。

とても良い本だったので、感想を書きます。

この本を知ったきっかけは、『本人と家族のための双極症サバイバルガイド』の関連書籍として表示されているのをネットで見たのがきっかけだったような気がしますが……どうだったかな、忘れました。(参考:『本人と家族のための双極症サバイバルガイド』感想

そんな感じで何とな~く手にとって読んでみた本書。読み終わったとき、「とてもいい本だったな、読んでよかったな」と思いました。

ソフト面(人間関係や病気との付き合い方)がすごく参考になったし、症状が重い最中に読んでいたら、ものすごく助かったんじゃないかと自身の経験を思い出しました。

病気の解説もやさしくて読みやすいし、調査研究や法律の紹介も知らなかったことがいくつもあって勉強になりました。Q&A形式になっているのも読みやすさをブーストしているかも。気になるところから少しずつ自分のペースで読むこともできます。

2021年出版ということで、コロナ禍で人々のライフスタイルが変わったことにも言及があります。いま人におすすめするとしたらこれだろうな、双極症で困ってる人にはとりあえずこの本を渡したらいいのかな、そんな印象です。

 

コロナだけでなく、今の時代の価値観を反映した内容になっているのもいいところ。 「常識」を押し付けることなく、さまざま考えがあることを前提に話してくれるのもよいです。先生のお人柄が伝わってきます。「本人がどうしたいか」を一番に考えてくれてるなということが伝わってくる。優しい先生だなぁと。この先生になら話せるかもと思えるような穏やかな語り口です。

病気の知識に加えて、生き方(人間関係や病気の捉え方、考え方など)についても踏み込んで書かれています。というより、どうやって生きていくかという点をベースに病気を解説しているといったらいいでしょうか。症状だけに注目するのではなく、その人の人生全体をひっくるめて考えていこうね、という姿勢。これはよい本です。素晴らしいと思うところがいくつもありました。まあ私の感性に合ったってところも大きいんだろうとは思いますが。あと、うさぎのイラストもかわいい。

人それぞれ悩みや考え方は違うから、どんなに相手の立場を想像し尽くしても「パーフェクト」な言葉はないんだよな、なんてことを考えながら読みました。そういう意味では、読む人によって思うことはいろいろだと思います。けど、この本の著者である先生は、本当にたくさんのことを想定した上で語っているんだと思うから、すばらしいなと思いました。当事者だからわかる部分も大きいのかな。

ちなみに、本書を読んで私がさっそく取り入れたハウツーは、アラームを20分の間隔をあけて2回セットすること(例:7時に起きたいとき→ 「6:40」と「7:00」)。なかなかいい感じです。

 

あなたは今どんな悩みを抱えていますか?

「これは病気ではなく、ただの甘えではないか」
「もっと大変な人がいるのに、これくらいでつらいとは言えない」
「いつこの状態から回復するかがわからなくて不安」
「本当はつらいのにそう感じてもらえない」
「しんど過ぎて何もできないんですけど?」

そんな思いを抱えてモヤモヤ悩んでいる人は、何かヒントをもらえるんじゃないかなと思います。
 

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