『リアル人生ゲーム完全攻略本』感想

『人生』という名のゲームを攻略したいと思いませんか。

というわけで、『リアル人生ゲーム完全攻略本』を読みました。

面白かったです。特に第一部・説明書篇。読んでいるうちに「あれ?『人生』ってゲーム面白そう? ちょっとやってみたいかも?」という気持ちが生じてくるんですよね。こんな気持ちになるなんて自分でもびっくり。

『人生』を楽しんでプレイしたい方、ぜひ読んでみてください! おすすめです!

 

……と満面の笑顔で言いたいところですが、第二部の攻略本篇でそんな気持ちはすべて吹っ飛びました。ザ・現実です。「あ、やっぱ気のせいだったわ」と気づかされる。冷水ぶっかけられたみたいな気分。シビアな話が続きます。進路説明会っぽさから始まり、ひたすら現実現実現実。いちおうゲーム攻略というテイで語られているけれども、『人生』全然おもしろそうじゃない。しんどすぎませんか。

とはいえ、こういう視点を持つことは大事ですよね。大局的に物事を捉えると、目の前の問題で頭がいっぱいになってアワアワしたとき、ちょっと冷静になれます。

目先のことにとらわれず、自分が目指すゴールを見据える。

ゲームとして楽しんでみよう、充実させるプレイをしようと考えることはいいことだと思います。

 

この本(特に第二部の攻略本篇)を読んだことで、ある言葉を思い出しました。

人生とは、映画館で悪い映画を観ているようなものです。チケットを買ったことは後悔しても、まったく悪くないシーンがひとつふたつはあるかもしれないのです。

顔出しNG「世界で最も悲観的な哲学者」デイヴィッド・ベネターが説く「悲惨すぎる人生論」 | クーリエ・ジャポン

そうなのですよね、うれしいことや楽しいこと、素敵なことだってあるのです。しかし、です。

映画館で映画を見ることは自分で選んだことですが、『人生』をプレイすることは自分で選択していない。気づいたらプレイさせられている。なんてこったい。

 

さて、本書の感想に戻りましょう。

攻略本篇の最後のほう、「量子のように」という語り口がいいな、面白いなと思いました。

あらゆる可能性を同時に採用している量子。未来には揺らぎがあり、あらゆる可能性が同時に実在している。

だからこそ「両極の意見を採用するのが最も適切な解答」との主張には、なるほどそうかもしれないと頷きます。

災害対応においても、常に最も悲観的なシナリオを考慮しておくことが重要だといいますよね。悪いことが起こりそうなとき人間は楽観的に考えがちなので、最悪を考えておくことが両極の意見を採用することになりそうです。

未来を1点に絞らず、すべての可能性に向けて準備し、臨機応変に、変幻自在な存在となってこのゲームを攻略しよう。(第三章「8 シンギュラリティ」より)

何のためにこのゲームを攻略する必要があるのか問うても納得できる答えは見つかりません。これは「ゲームプロデューサーの神Aさんという神が作り出したゲームに気づいたら参加させられてちゃったよ」というお話なのでした。参加させられちまったからには、とりあえずまあやってみませんか、意外とわるくないですよ。そんなお誘い。

 

私はメインシナリオをあきらめてミニゲームに興じているイメージで日々を過ごしていましたが、その感覚がきれいに説明されたような感じです。

果たして、不幸や苦しみに満ちたこの世界でできることは何なのか。

このゲームをデザインした神Aさんは言います。

最初から何もかもうまくいくゲームが楽しいはずない。悲しいことや残念なことがあるからこそ、楽しさや嬉しさもある。思い通りにならないからこそゲームは楽しいのだと。

まったくもってそのとおりです。

けれども、現代のような世界ができあがってしまうなんて神Aさんも想定できなかった。人間がつくりだした歪んだシステムのうえで、自然破壊しまくり、殺し合い傷つけ合う人類……。あーあ。

『人生』という名のゲーム、あなたはどうやって攻略しますか。
 

同じ著者の↓こちらの本も面白かったです。
人をハッピーにするお仕事『完全教祖マニュアル』感想

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です