紙の本に埋もれる日常に憧れて/三浦しをん『三四郎はそれから門を出た』感想

三浦しをんさんのエッセイ&書評本を読みました。

雑誌に連載された文章をまとめた本書。書評から始まり、行ってみた・やってみた体験レポ、おすすめスポット紹介などなど、幅広い内容のエッセイが収録されています。

面白いなぁと感心しながら読みました。特に書評パート。紹介された本はもれなく読みたくなる。自分だったら選ばないであろう本でも興味が湧く。これってめちゃすごいですよね。

エッセイも楽しい。どの文章も、読んでいると元気をもらえるというか、日常を面白がれそうな気がしてきます。ポジティブパワーです。「元気」というほど仰々しいものではなく、ささやかながら欠くことのできない生きる力といったらいいでしょうか。「前向き」「積極的」というのではなく「力」。方向性としては、なかやまきんに君の「パワー!!!」に通じる感じ。「後ろ向き」も「消極的」も「パワー!!!」。絶対値の大きさといったらいいのかな。

うんうんと深く頷くところもたくさんあるし、「ほんとうにそうだよなぁ」としみじみ感じ入る言葉もある。オモシロばかりじゃないのがすごい。

「どうせ私なんて」という弱々しさや卑屈さがないから、気持ちよく読めるのかもしれません。ダメダメな部分も「パワー!!!」で吹き飛ばす。てめえらの常識を押しつけるな! という痛快さがあるような。読んでいて気持ちのいい文章の数々です。

 

それにしても、本読みの人たちは、なんでこんなに本を読めるんだろうといつも疑問に思います。

きっと彼らは「すきあらば」読んでいるということなのでしょう。私のように、ぼさーっとしている時間がない。

本を読む筋肉もすごいんでしょうね。子供の頃から読みまくっているからムッキムキに違いない。

かくいう私はどうかと言うと、本やマンガを読む習慣ができたのは、ここ10年くらい。子供の頃も本は好きでしたが、趣味の読書はいつも後回し。本を読む=勉強のためという感じで、敷居が高くなっていた節があります。使わない筋肉は発達しないのでございます。

もっとたくさん本を読んでおけばよかったなぁ、こんなに楽しくて豊かな活動を後回しにしていたなんて……という悔しさは常々感じていることです。

が、今はそれ以上に、もっとしっかり本筋(本を読むために必要な筋力、飛びつく力や持久力など)を鍛えていれば……という思いが強くなっています。

もちろん今からでも遅くないんですが、「もっといっぱい読みたいのに」というもどかしさがあるんですよね。馬力が足りないと感じることしきりです。

まあ、筋肉の問題じゃなくて、エネルギー不足や頭の回転の鈍さが根本的な問題なんだろうなとは思うんですけどね、「やればやるほどできるようになる」と思えば、意欲も少しは湧くんじゃないかなという希望ですね。

「好き」を燃料にやっていけるといいな。三浦しをんさんの文章を読んでいるとそう思います。
 

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