「すぎる」を使いすぎる

先日、スーパーでシュークリームを買いました。割引で68円。安い。その日の日記にはこうありました。

「うますぎ。68円で幸せになれるなんて、なんと素晴らしいことでしょう。ほんとにうますぎ。美味しすぎる。生きててよかったぁ〜」

大げさだと思いませんか。特に気になるのは、やたらめったら「すぎる」をつけること。使いすぎです。と、言ってるそばから使ってしまう「~すぎる」という言葉。

「よすぎる」「ヤバすぎる」「スゴすぎる」「可愛すぎる」「嬉しすぎる」「つらすぎる」「悲しすぎる」「怖すぎる」「面白すぎる」「チョロすぎる」などなどなど。漢字・カタカナ・ひらがな、表記も色々です。

より率直な表現だと「ヤバすぎ」「凄すぎ」「可愛すぎ」といった具合に「る」が取れます。こちらもよく使います。親しみやすさを演出したいけど、タメ口はためらわれるようなときにも便利。「凄すぎです」「良すぎます」など丁寧語と組み合わせて使えます。

「最高すぎる」と言ってしまうこともあります。「最高」の時点で、最も高い頂点なのに「すぎる」をつけるとはこれいかに。それぐらいすごいってことなんですけど、さすがに頻度が高すぎます(……ご覧の通り、もう癖になっております)。

 
なぜこんなに「すぎる」を使ってしまうのでしょうか。

まず、口に出したとき気持ちいい。「良すぎる」「凄すぎる」「可愛すぎる」など、感情の高まりをうまいこと乗せてくれる感じがします。音も良いです。「い」で終わるより、濁音入りのほうが締まります。

簡単な言葉で、しっかり思いを伝えられるところもグッド。省エネです。あれこれ考えなくても、ただ反応するだけでOK。

それに慣れると、元に戻れなくなります。強調ワードを乱発することで、フツーの形容詞では物足りなく感じるのです。その結果、「よすぎ」「やばすぎ」「すごすぎ」が溢れ、インフレが生じます。

インフレ(インフレーション)とは、価格水準が上昇すること。価格水準が上昇すると、1単位あたりで手に入るモノの数が減ります。その結果、実質的な価値が低下します。

言葉の安売りはよくありません。

と、それっぽい理屈をひっつけてみましたが、私としては、頭を働かせず反射的に言っちゃうのは嫌だなぁと思った次第です。

ぼーっとしすぎ。そんなんじゃテキトーすぎる人になっちゃうよ!

そんな戒めです(説得力なさすぎ)。

 

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