無気力状態を解消するにはどうしたらいいのかとよく考えます。
気力がなくなる要因の一つは、無力感にあると思います。何をやってもムダ。自分には物事を解決する力がない。どんなに頑張ってもどうせ全部ダメになる。必死に積み上げたものを定期的にバーンと崩される。そんな幻想です。
そんなことはありません。一時的にダメになることはあっても、全部ダメになるわけではありません。全部ダメだと思うのは視野が狭くなっているとき。あるいは「ダメ」の定義が雑なとき。
それはわかっているけれど、痛みや倦怠感を抱えると悲観的になってしまいます。漠然とした不安や恐怖、死にたさとともに過ごす日々です。
そういうときは、何もしないに限ります。現状を改善しようとしない。目標や目的も定めない方がいい。特に「何のために」「なぜ生きる」系のもの。考えない方がいい。ろくな答えを出せないから。いや、考えるのは良いことなんだけど、複雑な問題に向き合うだけの力が全然足りないということは自覚しておきたい。
そんなことを映画『グランドフィナーレ』を観終わってから考えました。主人公のお爺(イケオジ)に対して娘が言った「無気力症」という言葉からの連想です。
映画の内容とは違います。「無気力」という言葉に反応しただけです。
この作品の主要人物はみな成功者。成功者ゆえの苦悩。そこに共感するのはおこがましい。
と、まあこの次元で考えているうちは何をやっても「ダメだぁ~」に陥っちゃうんですよね。あまあまの甘ちゃんです。見通しが甘い。
踊るセラピストや宙に浮く僧侶は知っています。
言葉はいらない。意味などいらない。
『グランドフィナーレ』
原題:Youth / パオロ・ソレンティーノ監督・脚本 / 2015年 / イタリア・フランス・イギリス・スイス
印象的なセリフや場面がいくつも見つかる本作。観る人によって心を捉えるものはさまざま。自分の心を捉えた言葉や映像が、自分にとって重要なテーマなのでしょう。
私の心に残ったのは「無意味な恐怖に時間を浪費するな」というセリフ。無意味な恐怖ってなんだろう。確かに私は恐れています。常に何かを恐れています。だから「怖がらないで」というメッセージを受け取ったのか。そのメッセージを後押しするようなシーンもありました。それを見て、わだかまりがとけるような納得感もありました。でも、それだけじゃないと思います。
ちょっとこれもう一回観ないといけませんね。ゆっくりゆっくり進む時間、沈黙の中で味わいましょう。そう、こんな独り言の流れで紹介するのはもったいない映画です。何度も見返したくなる素晴らしいシーンがいっぱいです。
外の世界には何があると思いますか。
Youth があるそうです。
「今が一番若いのよ」的な感じで受け止めようかなと思います。