なぜ right は「正しい」と「右」を意味するのか?

先日、迷ったときは左にあるものを選ぶという話を書いたときにふと思ったんですけど、

なぜ right(右)は「正しい」の?

なんでだろう、わからない。英英辞書で調べたらニュアンスを掴めるかなと思ったのですが、ますますわからない。そこから軽い気持ちで調べ始めたら、えらいことになりました。諸説ありすぎィィ~!
 

忙しい方のために先に結論を言うと、

  • right の語源は「まっすぐの/正しい」
  • 右利きの人が多数派 → 右手を使うのが便利 → 右が正しい

そういう流れなんじゃないかなと理解しましたが、実際のところはよくわかりません。頭の中がぐちゃぐちゃ。

というわけで、ぐちゃぐちゃの内訳が以下に詰め込まれています。興味あるいはお時間がありましたら、どうぞお付き合いくださいませ。
 

なぜ right は「正しい」と「右」を意味するのか?

まず、こんな解説がありました *1

「正しい」を意味する right 。古い言葉(ゲルマン祖語やインド・ヨーロッパ祖語)にさかのぼると「まっすぐ」という意味にたどりつくそう。で、似たような言葉がいろいろある中で、ラテン語の rectus には「まっすぐの/正しい」の意があると表されているんですって。

一方、「右」を意味する right 。古英語では「右」を swiþra(stronger, より強い)と言ったそう。ラテン語の dexter には「右」と favourable (好ましい)の意味があり、他の古語にもつながるっぽい。つまり、「強い方の手」「好ましい方の手」と言ったら「右手」だよね(右利きの人が多いから)、ということなんじゃないかと。(我ながらまとめ方が雑すぎて不安になりますが……)

2000年のセンター試験で出題された英文にもこのあたりの話があったようで……

The ancient Romans believed that the right side of the body was the good side, while the left side held evil spirits. Their word for “right”, dexter, gave us dexterous, which means “skillful”, whereas their word for “left”, sinister, means “evil” or “wicked”.

古代ローマ人は、身体の右側が善で、左側には悪霊が宿ると信じていた。「右」を表す彼らの言葉 dexter は dexterous(巧みな)という単語になり、一方「左」を表す sinister は「悪」や「邪悪な」を意味する。

ここでも出てきた dexter 。

『デクスター 警察官は殺人鬼』というアメリカのドラマがありましたけど、これも右手・左手を意味する言葉で主人公の人間性を表現しているみたいです。警察官と殺人鬼、まさに善と悪をわかりやすく表す内容です。

……うーん、わかったような、わからないような。

なぜ「右側は善、左側は悪」?

じゃあまあ「まっすぐ→正しい」「強い方の手→右手」という語源はいいとして、なんで「右側が善、左側が悪」になるんだ? という疑問をスッキリさせるためにさらに調べてみると、これまたいろいろな話が出てきます。

たとえば聖書では、キリストが復活・昇天のときに「神の右の座に着いた」という話があるそうです。他にも「知恵ある者の心は右に向き、愚かな者の心は左に向く。」(伝道者の書 10:2) など、右を尊ぶ記述がいくつもあると。(ちなみに、キリストが「神の右の座に着いた」ってのは実際に右側に座ったわけじゃなくて、神様的なポジションにつきましたよってことですよね? つまり、キリストが右側に座ったから右が尊ばれたのではなく、右が尊ばれる考え方がすでにあって、聖書を書いた人もその感覚で書いたってことでOK?)

「右側が善、左側が悪」という考え方は、ヨーロッパだけでなく、アフリカにもあるらしい。物を手づかみで食べるインドでは必ず右手を使います。左手は不浄の手。調べればこういった話はいくらでも見つかりそう。

が、その一方で、日本神話では「左」が神聖なんだとか。イザナギの左目から太陽神アマテラスが生まれたとされているからですって。右大臣より左大臣の方が偉いのもその流れ? *2

でも「右」という漢字にも神聖っぽい意味があったような……? と思って漢語辞典 *3 を調べたら「神の助けの意味を表す」とありました。「右」は「祐」の原字で、「祐」「祐」は、神の助け、天の助け。桑田佳祐の「祐」は、助けの「すけ」ってことですね?

そして「左」を調べると、下位を意味する説明などがあり、参考情報として「左右いずれかを尊位とするかは、時代や国によって一様ではない。」とありました。中国では左右の尊位がコロコロ変わっているらしい。

えぇぇ~~~

まあね、左右は簡単に反転しますもんね。右側に座ったつもりでも、反対から見たら左になるわけですし(舞台で言うと、客席から見て右の方が「上手」ですが、出演者から見れば「上手」は左)。そもそも神に右も左も上も下も前も後ろもないですし。

右利きの人が多いから?

さて、すっかり疲れてしまったので、ちょっとここらで一息つきましょう。

で、これまでの話を振り返ってみて思ったんですけど……

「右」が尊ばれるのは、単純に右利きの人が多いからなのでは?

ぱっと手を出すときに、右を出す人が多い。神事のときも、偉い○○さんが利き手である右手(あるいは利き足である右足)を出しました。今後はそれに習って右でいきましょう。みたいな。

あるいは、多数派の意見を採用した結果として、自然に右利き優位な社会ができあがりました。とか。

実際、私も元々は左利きですけど、それだといろいろ不都合があるだろうってことで右手を使うよう練習しました。偉い人や多数派が正しいという考えは違うでしょと言いたくなりますが、現実として左利きが不便な場面は多い。最近はユニバーサルデザインも増えていますけどね。

「右」を表す古英語の「swiþra(stronger)」を調べるとまた面白い話が出てくるかなーと思いつつも、だいぶ頭がぐちゃぐちゃになって疲れたので、今日はここまでにします。

本日は混線した話にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

参考:
*1 [PDF] ことばの散歩14 右と左の不思議 中京大学図書館
*2 右と左と、どっちがえらい? – ことばマガジン:朝日新聞デジタル
*3 『新版 漢語林 第2版』

 

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