phaさんの新著『がんばらない練習』を読みました。日常の「できなさ」を集めたエッセイです。
幻冬舎plus連載の「猫を撫でて一日終わる」で大方は読んでいたのですが、表紙のイラストとタイトルに惹かれて、改めて読んでみることにしました。phaさんのあのゆるかわイラストすごい好きだし、がんばりたくないしなーと。
通して読んでみて、がんばれない話は癒やしになるんだなぁと思いました。phaさんのつむぐ言葉そのものにも効用があると思われます。「だるい」しか言ってないのに救われるってすごい。あと、Web媒体より書籍の方が心静かに読めるので良いです。
何となくphaさんって仙人っぽさあるなと勝手なイメージを持っていたのですが、今回は俗っぽさがあってよかったです。口悪いのとかも笑っちゃう。楽しい。
電子書籍で気になったところにコメントしながら読んだら、書き込み一覧が「わかる」だらけになっていました。日頃もやもや~と感じていることを言葉でわかりやすくパッケージングされると、「そうそう、それ!」とスッキリする感じがあって気持ち良いですね。筆者の鋭い洞察力と筆力がもたらす効用です。覇気なさげな平易な文体でそれをやってのけちゃうんだからすごい。
2017年刊行の『ひきこもらない』はちょっとアクティブめなエッセイで、田舎に帰る特急列車の中で読んだら、すごくしっくりきました(連載時のタイトルは「移動時間が好きだ」)。
それに比べて『がんばらない練習』はダウナーな雰囲気で、心が疲れたときに最適。力が出なくて、ひきこもりがちになったとき読むと、緊張をいい感じにほぐせます。風邪ひいたときに食べるお粥みたい。すごい優しい。
インターネットの人って、実際に会ったことがないから、自分が好きなように人物像を描けるのが、良くもあり悪くもありですね。まぁ、悪いってことはないのかな。でも、都合のいいように受け取られて勝手に幻滅される、みたいな現象をちょいちょい見かけるので、有名人は大変だなと思います。
当然私も勝手なイメージで見ているわけで、それはまあ仕方ないのですが、一部を知っただけで、すべてを理解したつもりになってはいけないなと思いました。最近、エッセイのような読み物を読むたび、そんなようなことを考えます。この前感想を書いた穂村さんのエッセイにしてもそうです。
これは、騙されないぞという決意に近い何かです。勝手に期待して勝手にガッカリしないように。余計なエネルギーを奪われたくないという自衛です。たぶん。
話が脱線しましたが、『がんばらない練習』は、心が疲れて弱々になっている人に癒やしを与えてくれることでしょう。phaさんの文章は、私にとっての頓服薬。回復呪文です。
【pha本の感想】
ゆるい生き方読本『持たない幸福論』は心を軽くしてくれます
【phaさんの教え】
見下されたくない!不快感を和らげる3つの考え方
無気力との上手な付き合い方 ― 自分を上手に休ませるために記録する
丹田呼吸法の偉大なる効果~苦難を乗り切る秘伝の奥義~