カウンセリングを受けたことはありますか?
受けたことはないけど、傾聴や共感的理解が大事って話は聞いたことあるよ~、という人もいるのではないでしょうか。
アメリカの臨床心理学者ロジャースは、自身のカウンセリングのやり方を模索するうちに、「クライエント中心主義」という立場に行き着きました。
クライエントとは、顧客、来談者などと訳されます。カウンセリングの場合は、不登校、いじめ、心の不調などで相談にやってくるお客さん。
ロジャースは、「クライエントはとっても有能だから、カウンセラーはそのお手伝いをすればOK」と考えたのだそうです。
何がその人を傷つけているのか、どの方向へ行くべきか、何が重大な問題なのか、どんな経験が深く秘められているのか、などを知っているのはクライエント自身である
だから、カウンセラーはクライエントの味方として、心の変化を一緒に見守っていくね、と。
カウンセリングにおける人格変化の方向
カウンセリングが進むと、クライエントの考え方や受け止め方が変わってきます。
『人格心理学―パーソナリティと心の構造』に、なるほどなーと思ったところがありました。
パーソナリティが変化していく方向
(1) 見せかけのものから離れる
(2) 「べき」から離れる
(3) 期待に沿うということをしなくなる
(4) 他者を喜ばすということから離れる
(5) 自分自身に責任を持つようになり、自分で決めるようになる
(6) 過程的な存在になる
(7) 複雑な様相を示すようになる
(8) 経験に対し開かれるようになる
(9) 他者を受け容れるようになる
(10) 自己を信頼するようになる(p.79-80)
カウンセリングを通して起こる変化として説明されていますが、私自身のことをふり返ってみても、病気と診断されてから今に至るまで、まさにこれらの変化があったなーと思います。
- 見せかけの自己
- こうあるべきだと思う自己
- 他者の期待に沿った自己
- 他者を喜ばす自己
これらのこだわりから離れていくことで、苦しさや不安や焦りは軽くなります。
最終的には、自分に責任を持ち、過程・流動性・変化を生きることに開放的になって進んでいけるように。
硬直した部分をほぐしたり、力がかかって潰れてしまった部分・ズレてしまった部分を丁寧に直す。そんなイメージが浮かびました。
カウンセリングの意義
私も短い期間でしたが、カウンセリングを受けました。
そのときはパーソナリティの変化どころか、スタート地点にさえ立てていなかったんじゃないかと感じられるほどに、頭の中がぐっちゃぐちゃでした。とにかく混乱した状態で、早く答えを出さなくちゃと急ぎすぎていたのかなぁと。
傷ついた心を癒やすためには、カウンセラーを信頼し、じっくり自分と向き合っていくことが大切。焦って答えを出そうとしないことも大事。
そう、今思うと私はカウンセラーを信頼できていませんでしたね。「心の扉全開だよ~」と言いながら、実際は扉開いてなくて、がっちり鍵かけてるみたいな。いや、マトリョーシカ的な入れ子になっていて、表に近い扉は全開なんだけど、核心に近づく扉は見つからないよう隠している、というイメージが近いかな。
でも、本人はちゃんと心開いてると思ってるんですよね。実際、表の扉は開けていますから。これはまさに、「こうあるべき自分」「他者の期待に応えようとする自分」に縛られていたと言えます。
この状態から信頼関係をどう築くか、これがカウンセラーの腕の見せ所なのでしょう。
まぁ心から信頼できていなかったとは言っても、ただひたすらに自分の話を全力で聞いてくれる人はいないので、それだけでも十分ありがたかったし、受けて良かったかなとは思います。
そう、ほんとにカウンセラーさんは全身全霊で話を聞いてくれたんですよね。その姿勢には感動しました。その必死さがビシバシ相談者に伝わってるのが良いことかどうかはわかりませんが。
カウンセラーも万能ではないので、信頼できるカウンセラーを探すことも重要ですね。よいカウンセラーと出会えたら幸運。出会えなかったら、諦めず次へ。
カウンセリングがおすすめかどうかという点に関してはよくわかりません。どんなことにも長所・短所があります。
ただ、他者と話すことで発見できることはたくさんありますね。一人で考えていると、行き詰まって見失ってしまうものが結構あるから。
最後に:自分をよい方向に導くための課題
自分に必要はものは何か?
先のプロセスの中で取り組みやすいのは、
- 「べき」から離れる
- 期待に沿うことをやめる
- 他者を喜ばすより自分を喜ばす
まずはここから始めることで、ぐちゃぐちゃに絡まった糸をほぐしていくことができるのではないかと思います。
このブログに書いていることも、多くがこの3つのこだわりに関わっています。突き詰めれば、自分を苦しめていることの大半が「べき」なんじゃないかとも思えます。
「期待に応えなくちゃ」
「あの人を喜ばせたるために頑張らなくちゃ」
もっと自分の気持ちも大切にしなくちゃね。
焦らず、一歩ずつ。自分のペースで進んでいきましょう。
<参考書籍>
鈴木乙史 佐々木正宏 (2006)『人格心理学 ― パーソナリティと心の構造』河出書房新社 pp.69-83
ナミさんこんにちは。
コメントがワンパターンですが、
いつも私の心を見抜かれている気持ちになります。
カウンセリングは何度も受けました。
私は結局心を開くことが出来なかった
私の話を聞いてくれる人をずっと必要としていたのに
カウンセラーの表情を一瞬で読み、勝手にカウンセラーの能力を判定して、
結果カウンセラーに合せてカウンセラーのやりやすい自分を演じて、終わった後はいつも自己嫌悪
お金を払って自己嫌悪ってなんだろう・・・と思ってました。
そんなダメダメな私に出来ることは、
自分と同じ心に傷を持っている人の気持ちを聴いてあげること。
それも結局はただの自己満足というかただの存在確認。
人にはナミさんと同じように「自分を大切に」って言っていても
気が付くと自分自身はいつも自分をまったく大切にしていない。
心が悲鳴を上げているのに助ける手立てが見つからない。
何年、何十年経っても自分を変えられない自分自身をただ攻めていて
いつまでたってもべきべき癖は抜けず
拒絶を恐れて迎合するし
自分の気持ちは後回し
自分を大切にしていないから不満でいっぱいな私の心
自分の話を聞いてくれる人もいない孤独な人生
マイナス感情で壊れそうな時にナミさんのブログを読ませてもらって
とりあえず今日一日生きようと思う。生きてるだけでもいいんだと言い聞かせる。そんな支えにさせてもらっています。