鬱屈した心にフィットする青春マンガ『おやすみプンプン』感想

「きっとこの気持ちは誰にもわからないだろう」
「ずっと忘れられない大事なものがある」

そんな思いを抱えている人には、プンプンの気持ちがよくわかるのかもしれません。

浅野いにおが描く漫画『おやすみプンプン』。プンプンという名前の男の子が主人公の物語です。

浅野いにおさんってサブカルっぽいイメージが強い漫画家さんですけど、この認識で合っていますかね? 代表作は『ソラニン』? 宮崎あおいさん主演で映画化されましたよね。自分は『おやすみプンプン』が初浅野いにおなので、作風についてはよく知らなかったのですが、実際に読んでみて、これはすごい!やばい!と思いました。『おやすみプンプン』以外の作品も読むべきだなとも。

本当はもう1度読み返してから感想を書こうと思っていたのですが、いつになっても読み返す気分にならないのと、今『おやすみプンプン』について話したい気分になったので、思いつくまま感想を書くことにします。

『おやすみプンプン』、ものすごく面白いのに、どうも読み返す気分にならなかったのは、気楽にキャハハと笑える話じゃないからかな。心にずっしりきます。思い出すだけで、心のどこか一部分が重くなるのを感じます。そういうお話です。

『おやすみプンプン』を読んで思ったこと

読んだ直後に書いたメモがあるので、まずはそれを見ながら振り返ってみます。

まず、『おやすみプンプン』をすべて読み終わったとき、自分の心境にすごくフィットしていると思いました。長年ずっとキープしている、キープされてしまっている心象風景に通じる何かが確かにあるぞと。

人には理解され得ないと感じる、自分がずっと囚われてしまっているもの。
忘れてはいけないと大事にしているもの。
それを過ぎて今も生きてしまっている後ろめたさのようなもの。
「あのとき死んだら幸せだったんじゃないか」という思い。

誰にも自分のことを知られたくない。
知ってほしくない。
たった一人で生きていきたい。
だけど、確かにここにいたこと、ここに生きている奴がいたんだということは伝えたい。

そういう一言では言い表せない複雑な気持ち。

主人公であるプンプンの家族、プン山家がかなしい。かなしい。いとおしい。

……そんな感傷的な言葉がたくさん書きつけられていました。ほんとに、かなしくて、いとおしくて、痛々しくて、何なんでしょう、この気持ち。

このマンガを読んで得たものは、「生きていこう」という思いです。「希望をもらった」ではなく、ただ納得したというか、確認できた感じ。「うん、そうだね、そうだよね」と。死にたいけど生きていこうと思いました。

きっと、うじうじ悩んで身動きがとれなくなっている人に届く何かがあると思います。

好きなキャラクターの話

『おやすみプンプン』にはたくさんのキャラクターが登場します。プンプンの物語をメインに複数の軸で話が展開され、それぞれが交差しながらストーリーが進んでいきます。

中でも私が好きなのは、プンプンの叔父(小野寺雄一)周りのエピソード。雄一おじさんには共感できるところも多く、励まされる部分がいくつかありました。

雄一おじさんの友人で、ウィ~ウィッウィッ言ってる湯上弁護士もとても良いです。これでもかというほどにデフォルメされたプンプンと似た哀しさ切なさがあります。

そんな彼の最後の登場シーン、小野寺雄一の友人としての彼のふるまいは胸にきました。彼が最後に登場したときの語り口は、傷口がしみるようでした。なんだかとても印象に残っています。ある意味では一番かもしれない。ある意味でって一体どういう意味でだろう……(自問自答タイムスタート)

『おやすみプンプン』は割り切れなくて絶望的で尊い物語

こんなふうに書いているとシリアスなマンガのようですが、全然、普通に笑えます。

前に「私はダメだ」ではなく「私はうんちだ」と言うという話を書いたのですが、プンプンも「(自分は)ほとんどうんちだと思いました。」と言っていて、同士だなと思いました。同時に、同じ発想で同じ言葉を口にしている同士は自分が思う以上にたくさんいるんだろうなと確信しました。

他にも心に残る言葉がたくさんありました。不完全でゆがんだ人間が語る言葉には妙な説得力があって、引きつけられます。その上「この人無理、嫌い」と思う人ほどいとおしく感じたりするから不思議です。

なんと言ったらいいのか……全編通して切なさがあります。悲しみや孤独に胸を締めつけられるような気持ちです。

改めて、私はこういう割り切れない物語がいいんだよ~と思っていることに気づきました。スカッと爽快な勧善懲悪ストーリーも楽しいですけどね。

利害や意見の対立する人間同士が、互いにゆずりあっておだやかに決着をつける。生きていくってことはそのくり返しなんですかね。プンプンは全然おだやかじゃなかったですけど。

はぁ、どうりでしんどいはずだ。

だけど、尊いようにも感じる。この気持ちを大切にしていけたらと思います。
 

マンガ雑誌アプリ「マンガワン」で、『おやすみプンプン』全巻一気読みができるようです(配信期間は不明)。

さわやか青春ラブコメで、超能力バトル漫画で、心温まるほっこり異世界転生ものですって! これは必見ですね!

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