『ニッチを探して』を読んだら毎日の生活がちょっと面白くなった

島田雅彦さんの小説『ニッチを探して』を読んでから、日々の生活に変化があらわれました。

【内容紹介】
会社を辞めたい人、すべてを捨てて失踪したい人、居場所を探している人、必読! 大手銀行に勤務する藤原道長は、行内で背任の容疑をかけられ、妻と娘を残し失踪する。サラリーマン生活の離脱初日は優雅に鮨をつまみ高級ホテルへ、翌日からは下町の酒場、公園の炊き出し、路上、そして段ボールハウスへ――。所持金ゼロで生き延びるためのニッチ(適所)はどこにある? 東京をサバイバルする実践的サスペンス。

ホームレス生活を余儀なくされた主人公・道長。

「もし自分がそうなったら」と想像すると、資源豊富な現状がめちゃめちゃ幸せに感じられます。

雨風しのぐ家がある。
布団や枕がある。
飢え死にしない程度の食糧が常備してある。
風呂に入れる。
清潔な水洗トイレで用を足せる。
電気を使える。
ネット回線がある。

別に「今ある幸せに感謝しましょう」とか「何でもないような事が幸せだったと思~う」とか、精神論をたてに説教をかますつもりはありません。

全然そういうんじゃなくて、例えばシャワーを浴びながら「もし道長みたいな状況に追い込まれたら、使える水はこれくらいかしら?」と制限をかけてみたり、すももを食べながら「何日も食べてないときにこれ食べたらヤバいだろうな」と甘さを吟味してみたりして、サバイバル生活がどれくらい不自由かプチ実験して楽しむという感じです。

「うわ~、これは無理だわ~」
「あ、これなら全然イケる!」

とか何とか言いながら、一人で勝手に盛り上がっているわけです。言うなれば「ニッチを探してゲーム」。

所持金が数十円しかしかない状況で、いかにして日々を過ごしていくか。

この前提があれば、今の生活はもう天国です。だって「金がない金がない」と嘆いているけれど、家はあるし、ご飯も食べられるし、服もあるし、清潔を保てるし。

「黄金伝説。」の節約バトルをマネして楽しむ感覚に似ているかもしれません。

その場限りの超ゆるゆるサバイバル。

実際に道長のような無期限野宿という現実を突きつけられたら、こんな甘っちょろいこと言ってられないので、脳内で楽しむのが精いっぱい。でも、何もしないよりはイメージトレーニングって役に立つんじゃないかしらというささやかな希望と慰め。

「宝くじで3億円当たったらどうする?」よりもリアルで楽しめるゲームです。

よかったらご一緒しませんか?

日向を見つめるレトリバー

【『ニッチを探して』オススメポイント】
・路上生活の描写が妙にリアル
・東京という街の魅力が楽しめる(赤羽、東十条、中野、吉祥寺、多摩など)
・居場所を探して迷っている自分を投影したり、お金がなくても意外と何とかなるもんだと思えたりして、ちょっと安心できる

 

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