希望という言葉はあまり好きではありません。
なぜなら、希望を断たれたときの絶望感を連想してしまうから。
まったくもってネガティブ極まりない発想でございます。
でも、そんな私を前に向かせる言葉に出会いました。
Appleの創業者、スティーブ・ジョブズの言葉です。
2005年のスタンフォード大学卒業式でのスピーチ。とっても有名なスピーチで今更感もあるのですが、初めて英語の原文と日本語訳を読みました。動画も見ました。
【動画】スティーブ ・ジョブズ 卒業式スピーチ – YouTube
(冒頭ちょろっと日本語の文字起こしがありますけど、なぜかこてこての関西弁で笑っちゃう……)
その日、印象に残ったのは「点をつなぐ」話。
Of course it was impossible to connect the dots looking forward when I was in college. But it was very, very clear looking backward 10 years later.
Again, you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backward. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
もちろん私が大学にいたときに先を見て点をつなぐことは不可能でした。しかし10年後にふり返ると、それはとても、とてもはっきりしているのです。
もう一度言います。先を見通して点と点をつなぐことはできません。できるのは、ふり返って点をつなぐことだけ。だから、信じなくてはなりません、将来何らかの形で点と点が結びつくことを。
「あぁ、ほんとそうだな……」としみじみ。全文通して読んでから、この部分を何度も味わいました。
まさに私は、先行きの見えない未来を悲観視して、「もう道がない」「行き詰まりから行き詰まりの人生」などと言っている。「道がない」「先が見えない」ってそんなの当たり前。未来のことは誰も知らないのよ、という話。
知らない以上、未来に続く点をつなげられないのは当然です。
それでも、過去から現在までの点をつなぐことはできる。一つ一つの出来事を積み重ねていくことはできる。
というか、自分にできるのはそれだけ。
だから、今できることを一つずつやっていく。ただそれだけ。
まぁその「それだけ」がうまくできないから、「あー」とか「うー」とか唸ってるんですけれども。
ジョブズはこう続けます。
You have to trust in something ― your gut, destiny, life, karma, whatever.
あなたは何かを信じなければなりません。直感、運命、人生、業、何でもいいから。
あなたが信じたいものは何ですか?
心から信じられるものはありますか?
私は……パッと思い浮かばないのですが、強いて言えば「すべてつながっていること」くらいでしょうか。ジョブズが伝える3つ目の話(死について)にも通じることかもしれません。
それを信じて、一つ一つ杭を打っていく。もくもくと作業する農夫のように。
なんかこういう仕事人に昔から憧れがあるんですよね。一人静かにもくもくと作業する人は尊いなーと。
きっとジョブズの仕事にもそういう面が多分にあったんでしょうね。
そんなことを思ったら、少し力をもらえるような気がしたのでした。
間違いなく、スゴイ人が放った言葉をありがたがっている感じはあるのですけれど。
おそらく、宮崎駿監督が引退会見で語った言葉「この世は生きるに値する」を受け取ったときと同じようなものなのでしょう。
誰が言うかで簡単に言葉の重みが変わってしまう私です(気にくわない先輩が同じ言葉を口にしたって、小籔テンションの「はぁ?」で終わりですよね)。
多分ジョブズの印象の良さって「オシャレ感」も大きく影響してると思います。私もイッセイミヤケの黒ハイネックを着用しようかしら、iPadを片手に。
それはさておき。
明るい未来を信じる素直な人間になりたいものです。
スピーチ全文はこちらから。
Text of Steve Jobs’ Commencement address (2005) – Stanford News
「ハングリーであれ。愚か者であれ」スティーブ・ジョブズ伝説の卒業式スピーチ全文 – ログミー
ネットに日本語訳がいろいろありますが、やっぱり英語の原文が一番しっくりきます。といっても私は英語が苦手なため、直訳調の雰囲気リーディングですけれど。
成功者に対して「はいはい生存者バイアスね~」的なことを思ってしまう人は、ストーリーを排して、言葉だけを取り出すといい感じ。多分。
グッと心をつかまれるような言葉がいっぱいです。
更新ありがとうございます。
ジョブズは、同じ服しかもってなかったと聞いたことがあります。毎日服を選ぶ時間すらもったいないということでしょうか。
それとも個人的なこだわりだったのでしょうか。