「明日ママ」から学んだ純粋な愛と、敏感で繊細な心と、無神経な自分

浜辺の親子

こんばんは。

今日は、最近話題になっているドラマ「明日、ママがいない」と、それに関連するアレコレについて、私が感じたことを少し書いてみようと思います。

 

「明日、ママがいない」状況を考えるきっかけ

毎週水曜22:00~日本テレビ系で放送中のドラマ「明日、ママがいない」。さまざまな事情で児童養護施設に預けられた子どもたちのお話です。

毎週見ているのですが、興味深い内容で、こういう表現が適切かわかりませんが、いろんな意味でおもしろい。「未成年」「聖者の行進」「家なき子」を彷彿とさせるような、いかにも「野島作品」なドラマです。

が、その内容に差別や偏見を与える過激な表現があるとして、慈恵病院が放送中止の抗議を申し入れ。さらに、その批判に芸能人が苦言、といったような記事があちこちに飛び交いました。

私の正直な感想は「ドラマなんだから」。

芦田愛菜ちゃん演じる「赤ちゃんポスト」に預けられた女の子「ポスト」についても、子どもは残酷で、平気で人を傷付けるようなあだ名をつけますから、私はこの表現もアリなのかなと思いました。

「大体、フィクションなんだし」と、放送中止の申し入れも、それに対する批判についても、ニュースの見出しをサラッと見ただけで軽く流していました。

そんな中、「明日ママ」について考えさせられる言葉がまとめサイトにありました。

明日ママがいなかった結果wwwwwww | ゴールデンタイムズ

大人になった俺にはたくさんの同じ境遇の兄弟とたくさんの父母が居る

俺の身体は国と優しい寄付から育てられ、心はたくさんの父母に育てられた

俺の家族は1億数千万人、何も恥じる必要はない、むしろこう言えるのだから恵まれてる

1億数千万人の家族に報告したい

先日、同じ施設を出た初恋の子と結婚しました

これからも恥じることのないよう真っ当に2人で生きていく所存です

ガーンときました。

なんでこの人はこんな風に言えるんだろう?

私が彼の立場だったら、きっと憎しみに取り込まれているだろうな。一生、悲劇のヒロインを演じて、そんな自分を嫌悪し続けるんだろうな……。

それでも、こうして強く生きている人がいるということを知って、「人生ってそんなに悪いものじゃない」「こういう生き方って素敵だな」と小さな希望を感じました(この匿名の書き込みは本物だと信じたい)。

が、他の人の書き込みを見て、どよ~んとさせられました。特にまとめ記事の後のコメント欄は読んでいて心が荒みました。精神的にしんどいときはこういうの見ない方がいいですね。

腹立たしい。なんか悔しい。

でも、私は何も知らない。偉そうなことは何も言えない。

そんなきっかけから、「明日ママ」についての慈恵病院の見解、芸能人をはじめとするさまざまな方の真意を知るため、自分なりに情報を集めました。

 

無神経な自分にガッカリ

放送中止の抗議を申し入れをした慈恵病院のホームページより。

現在放送中の「明日、ママがいない」放送に当たりまして | 慈恵病院

こちらを読めば、決してドラマ自体を否定しているのではないということがよくわかります。

ドラマに感動的な部分や考えさせられる部分がありながら問題箇所があるのは現場の取材が少なかったということも考えられます。脚本家や番組スタッフの方が直接児童養護施設に足を運び、お子さんの姿に接したりお話をお聞きになれば、つらい内容だとしても必要性が強いということで許容できるものになっていたのではないでしょうか。

(「取材して頂きたかった」より)

また、2013年11月25日 TBS系で放送されたスペシャルドラマ「こうのとりのゆりかご」にも触れて、ドラマの演出を肯定しています。

こうのとりのゆりかご~「赤ちゃんポスト」の6年間と救われた92の命の未来~

今回ドラマとして取り上げていただく事に病院が同意した理由は、当院のホームページ「こうのとりのゆりかご放送にあたって」にありますが、「こうのとりのゆりかご」の現実を知っていただくことと、これから妊娠を迎える人たちに最終手段としての「こうのとりのゆりかご」の存在を知っていただきたいことの2点でした。その重要性を認識しておりましたので、大局を優先し、問題のシーンはTBSの方にお任せすることにいたしました。 実際にドラマを拝見してプロデューサーのおっしゃりたいことがわりました。「こうのとりのゆりかご」という重く難しい内容を、視聴者にわかりやすく飽きさせずに訴えるにはドキュメンタリーではなくドラマの手法がより効果的ではないでしょうか。小学生にもチャンネルを変えずに付き合ってもらい、理解してもらうには演出が必要だと素人なりに感じました。

(中略)

施設や里親の負の部分を描くことに反対ではありません。沢山ある施設の中には職員による虐待、子ども間の虐待などの問題を抱えているところがあるはずです。被害に遭っている子どもを救うためにも、そのような問題に光を当てて頂くことは大切です。
ドラマをきっかけに養護施設や里親制度に関心を持っていただくことは大事だと考えています。問題点を提起していただくことも必要でしょうし、結果として施設の制度や問題点の改善に国が動き出すならば、子ども達の幸せに結びつきます。もし、その過程で傷つく人が生じても、これを最小限にとどめるための心のケアが伴っていれば、意味のあることだと思います。

「児童養護施設内での虐待など、施設のマイナス部分を出してはいけないのか」より

子どもの幸せのために……。

そして何より、私の心に強く残ったのはこの言葉。

施設には多くのお子さんがいらっしゃいます。ポストと呼ばれても意に介さないお子さんもいらっしゃるかもしれません。また、ドラマの内容を元に施設の子をからかうお子さんは少ないと思います。しかし私が心配しているのは、心が折れてしまいそうな敏感で繊細なお子さん達です。

「児童養護施設出身者は問題ないと言っている」より

私は浅はかでした。

当事者、子どもたちの気持ちを全然考えていなかった。

日頃、精神疾患への偏見について、「当人の気持ちを考えずに心無いことを言う人たちがいる! キーッ!」と怒っておきながら、まさに自分がそういう人と同じ考え・態度であったこと。

「『自分の意見を押し付けるのではなく、それぞれの考え方を受け入れる』? はぁ? おまえ口ばっかりじゃん」

そう思いました。そんな自分にガッカリです。

 

「心が折れてしまいそうな敏感で繊細な子ども」だったあなたへ

先日、本屋に立ち寄りましたら、入口の平積みされている書籍の中に『母という病』がありました。以前、紹介させていただいた本です。

人間関係のいざこざを改善する7つの方法

遠野なぎこさんの著書『一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ』の中でも「母への愛」が語られています。

また、精神科医・心理学者フランクルの『夜と霧』の中でも「愛」についての記述があり、とても印象的でした。

これら、すべてに通じる「純粋な愛」。

私にはまだその本質が理解できていないんだろうなぁ~と思います。心のどこかで「そんなものまやかしだ」とやさぐれている部分もあります。

でも、そんな私でもきっと誰かを愛せるはず、「愛」は美しくて大切なものなんだ、と感じています。

今、画面の前にいるあなたもきっと。

自分も気持ちも尊重しながら、自分以外の人の気持ち、到底理解できないような考え方も、まず知ることから始めていこうと改めて思いました。

 

……と、こんな私のクサめな感想を最後までお読みくださり、ありがとうございます。

へなちょこで未熟な私はまだまだ成長の余地アリってことで可愛がっていただけると跳んで喜びます。どうぞ今後ともごひいきに。

それでは、来週の「明日ママ」もお楽しみに!(回し者ではありません)

 

<参考書籍>

初めて読まれる方はコチラがオススメと教えていただきました。

4 COMMENTS

伸(shin)

 まさに自分も、ナミさんの記事を読んで、『無神経な自分にガッカリ』していました。そしてそれに気が付かせてくれたことに感謝です。

 自分は、自分自身の人生ですら中々受け入れていくことが難しいのに、自分の経験したことのない、他人の未知で過酷な人生・経験であるほど、それに対しては、中々気付くことができない・・・
または、気が付いていても、その過酷さゆえ、事実と向き合うことを避ける・・・
その繰り返し・・・

 そんな偏狭な自分自身でも、ナミさんのようなブログや、ドラマや本という事実に迫ったそれぞれの形で表現してくれるお陰で、自分と現実の間に、ワンクッション挟んで、向き合うキッカケを与えてくれている。
そう思うと、その過酷な現実・事実を少しずつでも、受け入れていくことができるようになっていると感じています。

フランクルの『夜と霧』を読まれたんですね。(こちらこそ、ありがとうございます。)
 自分は、遠野なぎこさんの本は読んだことはありませんが、テレビで、遠野さんの人生を語っていたのを観たことがあって、ブログも少し読んだこともあり、大まかでしかありませんが、確かに『愛』という言葉が何度も言われていました。

自分も、『純粋な愛』(仏教では『慈悲』)というものが本当にあるのかと、逆に疑ってしまう心が強くなることがしばしばです・・・
ただ、ある人によれば、
「愛や幸せは見えないがすでにあり、自分が気付くこと感じることが愛であり、またそれに気付かせてもらうことも愛である」。。。と
(すいません、出典は不明です)
その意味では、この記事、このナミさんのブログにも愛があるのと思っています。中々自分では気が付かないし、気が付けない。。。何より、こうして気付かせてもらうことに感謝です。
(気付くと言えばですが、最初の頃より、ここのブログも少し、上の方が爽やかスッキリしましたね。気付くのが遅くてすいません。。。)

(ここしばらく、思考停止が続き、心も沈んだままで、ナミさんの記事を何回も読んでは、やっと少し心頭も、動き出せるようになってきました。それだけ、物事に誠実に向き合う熱い心が文に表れていること感じています。だからクサイ文章もどんどんナミさんの表現で書いていって下さい。クサイってことは、人間クサイ・薫りがある、人間味がある、魅力があるってことだと思いますから)

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ナミ

>伸(shin)さん

コメントありがとうございます。

そうなんですよね、自分を受け入れることは難しくて、さらに人の苦しみとなればもっと理解するのが難しい。相手の言い分を聞こうともせず見て見ぬふりをしたり、現実から目を背けてしまう自分に気付くと何とも言えないモヤモヤが広がります。

それでも、そんな私のつぶやきを「向き合うキッカケ」と言ってくださる伸さんの言葉にどれほど救われていることか。いつもあたたかいメッセージをありがとうございます。

『夜と霧』はまだ一通りパーッと読んだだけなので、これからじっくり読み直そうと思っています。気になるところに付箋を貼りながら読んでいたら、付箋だらけになってしまうほど充実の内容でしたのでね。

正直、私も「純粋な愛」とか「慈悲」とか言われてもピンとこないんですよねぇ。でも、伸さんのおっしゃるこの言葉は好きです。

「愛や幸せは見えないがすでにあり、自分が気付くこと感じることが愛であり、またそれに気付かせてもらうことも愛である」

う~ん、優しさが詰まった素敵なフレーズです。

実はコッソリ、このブログには愛を込めまくっていたので、それをくみ取っていただけて感激です。そして、恐縮です。あまり甘やかすと調子に乗ってさらにニオイがきつくなるかもしれませんのでご注意を(笑)。

ブログのヴィジュアルももっと垢抜けたスッキリ感を出していきたいのですが、私にはまだまだ多くの「気付き」が必要なようです。

伸さんのお言葉に甘えて、これからも自分が感じたことを素直に書いていこうと思います。いつかそれを「芳醇な色彩」なんて言ってもらえることを妄想しながら……。

また、いろいろ教えてくださいね、伸師匠。

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伸(shin)

ナミさん、いつも、ありがとうございます。

『夜と霧』は、過酷な実体験に裏付けられていると同時に、精神科医ということもあり、鋭い洞察力とな表現によって、あらわされていると思うので、本当に深くて、自分も、時折読み返しては学ばせてもらっています。

このブログには、汲み取らずとも、もうナミさんの込められた愛から溢れて発する、芳醇な薫りは漂っていると感じます。だから、ここもナミさんも「芳醇な色彩」に包まれるのも間違いないと思います。

師匠は。。。言い過ぎですよ(汗)
こちらこそ、ナミ先生に色々教えてもらっています。
こちらこそ、感謝です。

それから、何となく、NHKの公式サイトを観ていたら、
2月のNHK・Eテレで、ドイツでユダヤ人のエーリッヒ・フロム(フロイトの流れをくむ精神分析家であると同時に、ファシズムを非難し、人間性の回復を説いた社会思想家)の「愛するということ」について放送されるようです。
偶然にも、「明日ママ」の直ぐ後の23:00~23:25のNHK・Eテレで放送らしいです。お楽しみに!
(どこか近くで見たようなセリフを使わせてもらいますが・・・NHKの回し者ではありません)

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ナミ

>伸(shin)さん

褒め上手ですねぇ。もう、ただただ「ありがとうございます」としか言いようがありません。励みになります。感謝感謝。

が、せっかく良い情報を教えていただいたのに、番組見逃してしまいました。うぅ。エーリッヒ・フロムですか、本当に伸さんは博学でいらっしゃいますね。「100分 de 名著」かなり興味深い内容です。次回は忘れないように予約しておこうっと。

楽しみが一つ増えました。伸さん、ナイス宣伝です。NHKに広告料いただかないとね。

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