何年振りかに「ブッタとシッタカブッタ」の姉妹編『ブタのふところ』を読みました。
心が軽くなりました。ページをめくるたびに、ギクッとしたり、苦笑いしたり。自分のこだわりや考え方のクセを素直に認めてあげよう、そんな気持ちにさせてくれる本です。
文字も少なめなので、うつでしんどいときでも比較的読みやすいんじゃないかなと思います。かわいいイラストや、小泉吉宏さんの丸ゆる文字にも癒されます。
悩める子豚よ……。本のあらましと読みどき
『ブタのふところ』は、シッタカブッタという名前のブタさんが、“悩みの糸”に縛られて生ハムになりかけているところから始まります(※見え方には個人差があります)。
あれこれ悩みすぎた結果、糸がこんがらかって抜け出せなくなってしまったシッタカブッタ。
それを、仏陀の風貌をしたブタであるブッタさんがほどきます。
ブッタさん曰く、糸がからまってしまう原因は、「当たり前のことを当たり前と思わなくする心のクセ」。その“心のクセ”を観察することによって、こんがらかった悩みは少しずつほぐれてくる、と。
まず力を抜いてごらんよ
すると、シッタカブッタをがんじがらめにしていた“悩みの糸”は、はらりとほどけるのでした。ちゃんちゃん。
私がこの本をパラパラパラとめくりたくなる瞬間は、
- 悩みごとが頭の中をぐるぐるぐるぐるしているとき。
- 人生うまくいかないことばかり、不安だらけ、自分の身には悪いことしか起こらない、という考えに支配されたとき。
- 「生きるのってなんでこんなに大変なんだろう」とため息をついているとき。
- 自分がほとほと嫌になって「これまでのことを全部消し去ってしまいたい!」という衝動に駆られるとき。
- 「頑張りたいのに頑張れない。もう疲れた」と気持ちが途切れたとき。
ブタさんたちの生活や会話を切り取った4コママンガに散りばめられた「心」のヒント。
熱い緑茶をすすりながら、味わいましょう。
おまんじゅうも一緒にどうぞ。
おいしそ……。
人の心は移ろうものなんですね
私がはじめて『ブッタとシッタカブッタ』を読んだのは中学生のとき。
当時は、クラスや部活の人間関係のことで頭がいっぱいだったので、この本を味わう余裕はありませんでした。
「なんかいいこと書いてあるっぽいな~。でも、私それどころじゃないから。常に緊急事態だから」
何となくブッタに不快感というか、自分の頑張りは違うと言われているような気がして、この本を遠ざけていました。
そして、病気になって、再びこの本を手にしたわけです。
「あぁ~~~」って感じでした。何と言ったらいいんでしょう、痛いところを突かれたという感じでしょうか。「あぁ、やっちゃったね」というか「ですよね~」というか「あぁぁ、最悪だーーー」というか。
この本に登場する俗なブタさんたちはまさに自分だ! と思い知らされました。でも、そこに嫌悪はありませんでした。割と素直に入ってきて。
これはすべてに言えることですが、出会うタイミングによって受け止め方は変わりますね。新たな気持ちに気づくたび、人間っちゅうのは面白いな~と思います。
いやはや、まったくですな~。ズズズズズ……。
まじめなブタはただのブタ(すばらしい!)
最後に、シッタカブッタシリーズの好きなところを言います。
ブッタとシッタカブッタが向き合ってお話する4コマが好きです。
シッタカブッタの素直さが好きです。
ジーサンブタの人間臭さとジブリ臭が好きです。
押しつけがましくないところが好きです。
余白が好きです。
ダジャレ使いが好きです。
ゆるいようでいて、ゆるくないところが好きです。
そういうものに わたしはなりたい
ブヒー。
<ゆるゆるタイムのお供にどうぞ>