病気や障害とともに生きる人々が、自身のこれまでの日々について綴ったエッセイを読みました。
坂口恭平さんの名前を見つけて手に取った本書。
坂口恭平さんは、私と同じ双極Ⅱ型障害と診断されている方です(エピソードを聞いているとⅠ型っぽいような気もするけど、素人が判断できることではないので、あくまでも私の印象)。
坂口さんの他にも、双極性障害と診断された人の話が収録されています。
双極性障害の人の話は「わかる」がいっぱい。共感しながら、頷きながら読み進めました。
自分が知らなかった病気もいくつかありました。
それでも、「傍らにあった本」というテーマがあるから、共感できる部分が多い。
「わかる」
「わからないけど、わかる」
「わかりたい」
その人の気持ちに寄り添いたい、その人のことをもっと知りたいという気持ちが自分の内に生まれていることに気づきます。
よくある困り事の一つとして挙げられるのは、「本が読めない」という症状。
これは本当に悩ましい。当たり前にできていたことができない、そのできなさに衝撃を受けてしまうんですよね。
中でも、うつ病相・躁病相の記述は「その感覚すっごいわかる」と首をぶんぶん振りたくなります。
「文章を全然読めないのに、自分に興味があるところだけは不思議と読める」というところもそう。本は読めないけど、なぜか目に飛び込んでくる文字列があるんですよね。
他の病気の人の話にもそういう記述があって、またまた「わかる」とつぶやくのでありました。
本当に、一つ一つの物語が愛おしく、尊い。
「抱きしめたくなるような」、そんな形容の言葉が思い浮かびます。
こういう本ってなかなかないと思います。
本を閉じたあとにも、しみじみと各人の人生に思いを馳せる……。
すべての人に物語があって、そのすべてが尊い。
苦悩の中にあるからこそ沁みる言葉、理解できる物語。
涙がこみ上げる箇所もいくつかあり。胸がグッと苦しい。当人の思いも、周囲の人たちの思いも。泣いてしまう。鼻水が……。
どれも実感から得られた学びであり真実です。
「本当にそうだなぁ」
ページをめくるたび、考えさせられます。考えるというか、感じさせられる。
病気のこと、人生のこと、自分にとって本当に大切なこと。
一つ一つのかけがえのない物語を提示され、自分の物語も大切にしようと思いました。
頭ではわかっていても、心からそう思ったことは、今までなかった気がします。
この本こそ傍らに置いておきたい本です。
この本の存在が、自分にとって本当に大切なことは何か、きっと思い出させてくれる。
素敵な本に出会えてよかった。
心からそう思います。