失敗しないためにも焦らず養生してください

安全第一

先日、補修工事の見積書を見る機会がありまして、そこに「養生」という項目がありました。

私がまず思い浮かべたのは「医者の不養生」。健康に気をつける、病気を治すために休むという意味合いの養生です。

てことは、え、工事中の休憩? そこに何のコストかかってんの? と、口に出したら笑われてしまいそうなことを考えましたが、どうやら工事中に使用した危険防止の柵などを指しているらしい。養生シート、養生テープというものもあります。それを思い出して、あー養生ね! ハイハイ! テープ貼ってガードしてからペンキ塗ったりするね、休養のわけないね、あーハイハイ! と理解したのでした。

養生とは

さて、養生という言葉、辞書を引いて見ると、これがなかなか興味深いのです。

【養生】
①無理・不健全な生活をせず、健康の保持・増進を心がけること。〔狭義では、病気の体力回復を指す〕
②Ⓐ打ち込んだコンクリートが所期の性能を発現するまでに必要な期間、次の工事にかかるのを見合わせ、保護すること。
Ⓑ施工箇所の周りや物品の表面を覆って汚れから保護すること。また、その覆い。
Ⓒ工事現場に設ける危険防止のための柵やその幕など(を用意すること)。
③花を活ける際に美しさを保ち、しおれないように保護を加えること。

(新明解国語辞典第五版)

健康、工事、花。全然関係がなさそうに思える3つですが、保護する、守るというニュアンスをベースに考えると、なるほどなーと納得します。

何やら良い感じの印象も受けるなぁと思って、もう一度読み返してみると、自分で自分を守るという雰囲気がいいですね。

工事や花は自分ではありませんが、自分(たち)に任された仕事・自分が創り出す世界を保護すると考えれば、それほど違和感はありません。自分で自分(が関わるもの)を守る、よい状態を目指すための準備とも言えるでしょうか。とても大事なことです。ここを適当にやってしまうと、あとあと「あーうまいこといかなかったー」と後悔することになるであろうことは想像に難くありません。

健康の保持・増進を心がけると言われてもピンときませんが、物理的なもの(例えば塗装)で考えると養生の必要性がよくわかります。目に見える形で確認できるし、最終的な仕上がりも明確。難しい仕事だったとしても、どこで何をどのようにすればいいかわからなくなって「人生終わった」と絶望することはなさそうです。
 

からだを休ませて健康を養う

健康の保持・増進、体力回復のために必要なことも具体的に示すことはできます。

  • 規則正しい生活
  • 十分な睡眠
  • 適度な運動
  • 栄養バランスのとれた食事 など

体の状態を計測して数値で把握することもできます。それを目安にこれこれこういう生活を送りましょうと決めれば、迷うこともありません。

じゃあ、心の健康は? ゴールは一体どこ? 今はどういう状態? うつ病とは? ここから何をすればいいの?

目に見えないものはよくわからないですよね。原因も不明、養生した結果もはっきりとした形で確認することができないので、不安が生まれやすいように感じます。悲観的な考え方のクセがあれば尚更。

さらに、いろいろな精神疾患の症状について考えてみれば、体さえ労わればOKという単純なものではないと思い知らされます。時には薬の力を借りて治療しなければいけません。

こうやって考えてみると、生を養うということは実に難しいことなんだとわかります。……いや、厳密に言葉で理解しようとするから難しいだけで、シンプルに考えればそれでいいんですけどね。

無理しない。
自分の力でできないときは、サポートをお願いする。
疲れたら休む。

コンクリート施工や塗装における養生など、その工程を知ることで学ぶことは多いような気がします。計画を立てて作業することとか「これは何のための作業なのか」とか「この準備作業を怠るとどうなるか」とか。

とは言え、また一生懸命考えすぎてしまうと疲れるので、冷静に考えられるようになるまでは、ゆっくり休んでエネルギーを補給することが最優先事項。心も体もガス欠では動けません。

うつ病療養中は、養生と同じような意味合いのこちらの言葉がしっくりきます。

【保養】
①一時、勤務や仕事から離れ、心身の健康の回復を図ること。
②美しいものに接し、一時、俗事を忘れ、うっとりとした気分に浸ること。

(同上)

特に②を大切にしていきたいですね。後回しになってしまいがちだからこそ。

1 COMMENT

あうあ

「生きづらさ、孤独感、心の痛みを抱えたあなたへ」にコメントを残させていただいたものです。

あのようなコメントを承認してくださり、ありがとうございました。

わたしは仕事と人間関係をきっかけに、気分が慢性的に沈んでしまい、昨年の12月から双極性障害2型で休職をしております。

退職をして、あらたな職に就く前に、自分の心(脳内?)に対して、自分の在り方に対して、チャレンジとして、復職をさせてもらえるなら、もう一度頑張ってみたい。そう考えています。

2016年もあっという間に2月に入りました。
職場復帰の話も会社からチラホラもらっており、自分の気分の波に対して不安になりながらも、やってみようと思っています。

気分の波も、きっかけなのか、それともサイクルなのか、判断をさせてもらっている段階のため、相談をしている上司に時間がもう少し欲しいとありのままを話し、快諾してもらえたのは、とても幸運であり、感謝をしています。

ただただ、復帰をし始めて(リハビリを兼ねて)波が落ちてしまった時が不安だったので、
記事タイトルにもなっている「焦らず」という言葉にホッとさせてもらいました。ありがとうございます。

心身ともに養生を重ねて、自分のために明日も頑張っていきます。

現状の課題としては、睡眠サイクルが整わず、中途覚醒、眠りが浅く夢をずっと見ている、音に敏感で寝つきが悪い等々ありますので、養生することで安定させていきたいと思います。

自分の気持ちに対してドンピシャな内容でしたので、状況整理としてこの場を利用させていただきます。

いつもありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

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