ナミうつブログ

「うつ」のお悩みを軽くするヒントを双極Ⅱ型障害の人が模索するブログです。

助けてと言えない理由・助けてと言わせない社会

 

壁の隙間からのぞく犬

少し前に「つらくて苦しくて助けてほしいけど誰にも相談したくない人」というものを書きまして、その後も何となく言葉にできなかった部分があるような気がしてモヤモヤしていたのですが、先日、図書館でボーっと書棚を眺めていたら、ある本のタイトルがどどーんと飛び込んできました。

『助けてと言えない 孤立する三十代』 NHKクローズアップ現代取材班

ズバリです。一気に読みました。まったく他人事に思えませんでした。

この本を読むことで、モヤモヤがちょっとクリアになりました。困っている人をあたたかく見守ってくれる人がいることも知りました。そういった支援活動は広がっているようです。

しかし、そんな希望を感じながらも、現実はもっと厳しいものなんだろうなぁと暗澹たる気持ちになるのでした。

「助けて」と言えない30代

この本は、2009年10月7日に放送された番組を文庫化したもの。

“助けて”と言えない ~いま30代に何が~|NHK クローズアップ現代

始まりは、39歳で孤独死した男性のニュース。社会から孤立し、困窮状態に陥っても助けを求めない30代。どうして「助けて」と言えないのか。

ここで言う30代は、1970~1979年生まれの人。不景気で、雇用状況も厳しく、1994年の流行語は「就職氷河期」。社会情勢による影響は大きく、「30代」は問題をひも解く重要なキーワードだと言えます。

しかしながら、「助けて」と言えない心理は30代に限らず、多くの人に共通する部分があるはずです。この番組は大きな反響を呼び、ネットでも共感の声が広がったのだそう。そして、6年後の今、私も深く共感しています。

こうして私がこの番組内容に吸い寄せられたように、きっと似たような思いを抱えている人は多いのではないでしょうか。

例えば、病気で働けなくなった悔しさや情けなさ、負け組意識、ただひたすらに自分を責めることしかできないもどかしさ、そういったところにもリンクしているように思います。

くしくも、この番組が放送された2009年10月は、私が療養を始めて寝込んでいた時期。自分がウンウンうなっていたときに、こういった話題が広がっていたことさえも無関係ではないと考えてしまうほどです。

なぜ「助けて」と言えないのか?

助けてと言えない理由は何か。

  • 自分の弱い部分を見せたくない
  • 人に迷惑をかけてはいけない
  • 相手に負担をかけるのは申し訳ない
  • 自分より大変な人はたくさんいる
  • すべて自己責任
  • 誰も助けてくれない

これらの意識に加えて、「嫌な思いをしたくない」「傷つきたくない」という恐怖も根底にありそうです。

一つずつ見ていきましょう。

自分の弱い部分を見せたくない

誰かに迷惑をかけたり助けを求めるのは恥ずかしいこと。そういう意識を持っている人は少なくないのではないでしょうか。

どんなに親しい相手であっても、自分の追い込まれた状況を告白するのは気軽にできることではありません。

「おれ、実は借金があってさ……」

人に知られたくない自分の至らなさ。

周りを見れば、みんな自立して社会貢献している。家庭を持って立派に暮らしている。そんな姿を見て感じるのは、恥ずかしさや後ろめたさ。

「助けて」という言葉はなかなか口にできません。

人に迷惑をかけてはいけない

「人様に迷惑をかけてはいけません」

親にそう言われて育ってきた人は多いようです。私もそうでした。

迷惑をかけるのは悪いこと。恥ずかしいこと。だから、人に助けを求めることも好ましいことではない。できる限り自分で何とかして、迷惑を最小限に抑えなくてはいけない。

そういった意識があって「助けて」と言えない。言いたくない。「できる限り」が生命の危機ギリギリのラインになったとしても。

「迷惑をかけてはいけない!」という思いが強すぎると、苦しみの感情さえ抑え込んでしまいます。真面目で、真剣に生きている人ほど、そういう傾向があるように感じられます。

相手に負担をかけるのは申し訳ない

「人に迷惑をかけてはいけない」と通じますが、誰かの重荷になりたくない、自分のせいで誰かが大変な思いをすることの方がつらい。それなら、自分が我慢した方がいい。そんな気持ちが「助けて」という言葉を押さえつけているのかもしれません。

自分には助けてもらうだけの価値がない。
自分のことで大切な人の時間を奪ってしまうのは申し訳ない。

本書の中では、こういった心理について詳しく触れられてませんでしたが、「人に負担をかけることの方が苦しい」という意識は少なからずあるように感じます。

自分より大変な人はたくさんいる

みんなつらくても頑張っている。
自分だけラクをするわけにはいかない。

東日本大震災以降、「助けてなんて言えない」という思いを強くした人は多いようです。津波で家族や家を失った被災者の悲しみ、悲しみという言葉では言い尽くせない厳しい現実、そんな想像を絶する苦労を思えば、自分の苦しみなんて取るに足らない。それは私も強く感じていることです。

震災だけでなく、世界を見渡せば、苦難の中で生きている人がたくさんいる。身の回りにも、生きづらさを抱えながら頑張っている人がいる。

そういう人の姿を思えば、「助けて」という言葉を口にすることははばかられます。

すべて自己責任

インタビューに答える人たちの言葉から最も強く感じたのが、「自己責任」という意識。

こうなったのは自分が悪い。
努力が足りないからいけない。

社会情勢の影響が大きくても、「自分次第で現状は打破できるはずだ」「できないのは自分の努力不足」と言われてしまう。

「同じような立場でも、きちんとこなしている人はいる」
「おまえは甘えているだけだ」

そんなふうに責められることもあります。助けを求めることは恥。すべて自分で責任を取らなければならない。

自分には助けを求める資格はないという意識が強く、助けを求める選択肢を排除しているようにも思えます。

誰も助けてくれない

どうせ誰も助けてくれないだろうという想定。

・「おまえが悪い」で片づけられる
・みんな大変でそんな余裕はない
・助けたくても助けられない

何より大きいのは過去の苦い経験ではないかと思います。

勇気を出して助けを求めたのに、誰も助けてくれなかった。怒られた。見下された。蔑まれた。笑われた。

そんな経験をしたら、もう「助けて」とは言えません。

傷つくのは嫌だ。拒否されるくらいなら、自分から拒否する。助けてと言えないし、言わない。

「助けてと言わせない社会」

本書全体を通して強く感じたのは、「自己責任」や「恥」。

長年ホームレス支援を続ける奥田知志さんは、まず「助けてと言わせない社会」があること認めるべきと指摘します。

「できないのは甘え」と言われてしまう殺伐とした雰囲気をどうやって変えていくか。

こう問うたとき、私は無力感に襲われます。自分にできることなど何もないような気がして。

それでも、「は? 甘え? それ本気で言ってんの?」という感覚を持った人は確実に増えているように思います。私の周りでもそう。何でもかんでも「甘え」で片づけてしまう人に対して、「え? まだそんなこと言う人がいるんだ」と反応する人はいます。

まだまだ自己責任論で考える人はいると思いますし、私自身もそういう考え方で過剰に自分を責めてしまうことがあります。それでも、今、さまざまな意識の変わり目なんだなということは強く感じています。

じゃあ、どうしたらいいの?

自分一人で解決するのが難しい問題に直面したとき、どうやってそれを乗り越えるか。

助けを求めよう!
味方を見つけよう!
気持ちを打ち明けよう!

いつ?
どこで?
誰に?
何を?
どうやって?

自分の追い込まれた状況を告白するのは、やっぱり簡単ではありません。誰かに相談するためには、それなりにエネルギーも必要です。精神的に余裕がないと、相談するという発想さえ浮かばなくなってしまうのかもしれません。

今、何が必要か?
誰が必要か?
なぜ助けが必要なのか?

それをはっきりさせること。自分で考えて行動に移せればそれでいい。それが難しいときは、ちょっと誰かに手伝ってもらおう。

そうやって気楽に、シンプルに動いていけたらいいですね。

本書の中で、勇気をもらえる言葉がいくつかありました。

『助けて』と言える人が強いんだよ(p.144)

弱くていいんだ、一度降参してもいいんだ(p.153)

 真剣に生きようとする三十代であればあるほど、いま「助けて」という言葉を口に出せずにいるのではないか。自分が真剣だからこそ、被災地に生きる人の真剣さがわかるからこそ、「助けて」の言葉が出ない。しかし、忘れないでほしいのは、一人ひとりのタイミングで「助けて」の言葉を発していいということだ。(p.246)

先の見えない不安。
「早く何とかしなければ!」という焦り。
誰にも言えない孤独感。

どれも簡単に取り払えるものではないけれど、何らかの方法はある、助けてくれる人はいる、そう信じることが大きな力になります。

少しずつ少しずつ変わっていけたら、信じていけたらいいなと思います。

【参考】困ったときの相談窓口・リンク一覧

最後に

生まれてきたこと。

それは自分の意思で始めたことではありません。人間の身体は自然と同じ。生きることに対して自己責任という言葉はふさわしくないですよね。

「自分の行いが悪かったんだから、身を滅ぼしても仕方ない」

何とかしようと頑張っている人がそんなふうに思って、自分を責めるのは本当に悲しいことです。

私にできることは何か考えても答えは見つかりません。悲しくて気持ちも沈みます。でも、そんなときこそ思い出したい。誰かが言っていたこの言葉。

「みんなのしあわせを願うなら、まずは自分が笑えること。あなたや私が笑顔になれば、世界の平和を増やすことになる」

だからこそ、穏やかに微笑んでいたいなと思います。

 

<関連サイト>
クローズアップ現代10月7日放送「“助けて”と言えない~いま30代に何が」書き起こし|Imamuraの日記
放送後に反響が大きかった今村勇輔さんのブログ。「第四章 ネットで広がった共感の声」で紹介されています。

「助けて」の心が生み出す新たな社会 – NPO法人北九州ホームレス支援機構理事長 奥田知志 | WEB第三文明
奥田知志さんのインタビュー記事。(2014年5月28日掲載)

プロフェッショナル 仕事の流儀 第112回 絆(きずな)が、人を生かすから – ホームレス支援・奥田知志
奥田さんの取り組み、ホームレス支援について紹介されています。(2009年3月10日放送)

NPO法人 抱樸(旧 北九州ホームレス支援機構)
・現サイト:NPO法人 抱樸
・旧サイト:NPO法人北九州ホームレス支援機構

NPO法人ホームレス支援全国ネットワーク

奥田知志さん
・Twitter:奥田知志(@tomoshiokuda)
・Blog:奥田知志のブログ

 - , 支援団体・相談窓口 

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Comment

  1. 尾上凛々 より:

    こんばんはナミさん。3回目の投稿です。
    とうとう病休・休職となって1年になりました。今回の内容、そっくり私当てはまります。実は私、悩んでいる人の相談をする仕事(社会福祉士)です。毎日サービス残業、周囲の目を気にする、上司に本音が言えない、何でもハイハイと引き受ける、職場の人間関係・・そんなストレス状態で、とんでもない失敗から病気を発症・・去年の今頃はほんとに地獄でした。自分の弱さを見られたくない・・正直言って、専門職の自分が相談者のような状況になるなんて・・認めたくないことでした。とんでもない失敗も知られたくない・・そんな自分です。
    ナミさんの記事のまとめ方は、ほんとに魂的に伝わってきます。というか、救われるというか、心のおもりが軽くなってゆきます。
    これからもいろいろと教えて下さいね!

  2. はるゆうむーこmama より:

    ちょっとだけ救われました。共感出来る所がたくさんあって、涙が止まりませんでした。ありがとうございます。苦しさはあまり変わらないけれど、もう少し頑張ってみようと思います。

  3. リコ より:

    実際問題、味方はいない。いるけど話せない。彼は今、転職したばかりで自分のことで精一杯だから。逆にわたしが支えなければいけないタイミングだから。家族はみんな敵。全てわたしが悪くなる。実母は認知症でわたしが支えなくてはならない。突発的に死にたくなる。誰かわたしを殺してほしい。もう許してほしい。

  4. H.H より:

    母が発狂した。
    私も不治の病にかかり心も病んでしまった。
    そして3月父が死んだ。

    この半年ありとあらゆる所に助けを求めた。
    親戚からは「慈善事業ではない」とさげすまれ
    公的機関からは「できません」と断られ
    医者からは「医者にも治せない物だってある」と見捨てられた。

    この田舎には信頼できる医者もいない。

    かって優しかった母からは激怒発作のたびになじられる。

    どこからも助けなど来ない。
    この家には私一人しかいない、孤立している。

    体が上手く動かない、頭がぼんやりして考えがまとまらない
    時間感覚が狂っている。

    夜が怖い、叫びだしたいくらい寂しい、闇がとてつもなく恐ろしい。
    未来が怖い、もう未来など見たくない。

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