なぜ自分を大切にしなければいけないのか

海辺でたたずむ

「大切にしたいものなんか何もないという人は、まず自分自身を大切にしなくちゃいけないんじゃないかなと思います」

前の投稿でこのようなことを言いました。私は自分を大切にすることが大事だと考えているからです。

【参考】八方塞がりで行動を起こそうにも調整が難しい微妙なバランスの上で生じる問題と複雑な心境から

でも、ふと思いました。

なぜ自分を大切にすることがよいことなのだろう?

そもそも「大切にする」ってどういうこと?

今思いつく言葉で言うなら、「良い状態を保つ」。辞書を引くと、「使い過ぎたり粗末に扱ったりしないように気をつける」とあります。

優しく愛撫する
衝動を抑えつけない
傷つけない
温かく包み込む

そんなイメージ。

おそらく、これについて考えるなら、物質的なものとそうでないものに分けなければいけないのでしょう。手に取れるものと手に取れないもの。目に見えるものと目に見えないもの。

でも、これらのものをきっちり切り分けることはできません。いつでもどこでも、目に見えない何かがくっついています。

……ここからどうやって話を進めていけばいいのかわからないので、多少強引かもしれませんが、思いつくままに続けます。

 
例えば、自分のからだ。

自分のからだを傷つけると痛みが生じます。私は痛いのがイヤです。痛みがなかったとしても、からだを不必要に傷つけることは、よいこととは言えません。

でも、からだではない自分の何か(心とか気持ちとか?)が傷ついて痛くて苦しいときは、からだを傷つけることで衝動が和らぐことがあります。自分の皮膚から流れる赤い血を見て、生きていることを確認するような感覚だと説明されることもあります。とても複雑な心理状態で、激しい葛藤に苦しんでいるのだと思います。

この場合、からだを傷つけてはいるけれど、「大切にしていない」と言うのはちょっと違います。

 
こころもからだもすべて傷つけずにいられたらいいけれど、それは果たして可能でしょうか。

世界には、たくさんの人がいます。すべての人のこころとからだを傷つけずにいることはできるでしょうか。

そもそも、こころを傷つけるとはどういうことなのでしょうか。

こころとは一体何でしょうか。大切にしたり傷つけたりできるものなのでしょうか。私がこころだと思っているものは本当にこころなのでしょうか。

 
 

世界は常に破壊と再生をくり返しているように感じられます。「栄枯盛衰」という言葉もあります。

それがきっと自然な状態。

成り行きに任せて。
なるようになる。

 
自然なかたちで

あるがままを見守る
 

生まれた衝動を止めないことも、大切にするということなのかもしれません。

でも。

この世界には、自分以外の他者がいます。さまざまな生きものがいます。

自分の衝動を止めないことで、誰かを傷つけたとしたら?

自分の痛みがなくなることで、代わりに誰かが苦しむことになるとしたら?

 
すべての人のこころとからだを傷つけずにいることは難しい。

でも、誰かが傷ついて泣いている姿を見るのは悲しいからイヤ。

ならば、自分が痛みを引き受けよう。

 
そういうこと?

それは「大切にする」ということなのでしょうか。

その答えに100%納得はできません。

 

 

世界は複雑です。

矛盾だらけです。

適当なところで折り合いをつけなければいけません。

それはわかっていても、どうしても納得できないことが多々あります。

さらに、自分以外の他者がかかわってくると、ますます複雑になります。

落としどころはどこか。

それを探すのはとても面倒な作業です。

だから、深く考えず、スルーするのがラクで良い。

それができなくて、自分の内にエネルギーがたまってしまうこともあるでしょう。

それを押しとどめようとすると、負荷がかかります。

きっと、押しとどめられなかった人はこれまでにもたくさんいたはずです。

押しとどめられないことは悪いことではないと思います。

それが自然なことのようにも感じられます。

ただ、この入り組んだ状態に何とか耐えることは尊いことだと今の私は考えます。

「耐える」とは、痛みを我慢することだけを意味するのではありません。

 

必要なものを、あるがまま、見守る。

余計な力を加えて無きものにしない。

そのままの状態をいつくしむ。

 

それはとても難しいことです。

何かを「大切にする」ということは簡単ではありません。

それでも、目障りなものを自分の視界に入らない場所に捨てて解決した気になるのはイヤです。

たとえうまくできなくても、この気持ちだけは忘れたくないです。

でも、きっとすぐ忘れます。

そういう自分を嫌わないでいたいです。

それも「大切にする」ってこと、なのかもしれません。

 

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