ストレスを感じて胃が痛くなることはありますか?
人間関係のいざこざ、生活の不満、将来の不安など、生きていると「しんどいなー」と思うことがたくさんありますよね。
しかし、ストレスをなくそう、避けようとしても、ストレス自体をなくすことはできません。
何かをするときストレスは必ず降り注ぐものだからです。
では、ストレスを和らげることはできないのしょうか?
『ストレスのはなし』にそのヒントがありました。しんどい状態を打破してくれるような、賢いストレス対処法です。
ストレスがあるから最適に生きられる!?
「ストレス」と聞くと、何となくネガティブな印象を受けますよね。
しかし、ストレスそのものに良し悪しはありません。ストレスは「日常生活で受けるあらゆる刺激に対する脳の反応」の呼び名です。
例)
- 肌寒く雨が降っている
→「嫌だな」体が硬直する、布団から出るのが億劫になる - 公共の場で大声で電話をしている人を見かける
→イライラ腹立たしい
(『ストレスのはなし』p.4)
こんなふうに、状況に応じて、すぐ動き出せるよう、脳は身体に指令を出し、準備しているわけですね。
快感を求めたり、危険から身を守ったり、ストレスは良いことも悪いことも含めて、最適解を出すために必要なものだと言えます。
マイナス刺激の割合を減らして、しんどさを和らげる
生きている以上、何らかの刺激があり、ストレスをなくすことはできません。
ストレスは自分の意志に関係なく勝手に発生するものなので、コントロールすることも困難です。
では、私たちはストレスに耐えるしかないのでしょうか?
『ストレスのはなし』では、こんな例が挙げられています。
どんなに頑張っても最低3つのマイナス刺激を避けられない人がいます。
その人は、他のあらゆる刺激を避けるため、部屋に引きこもっています。
このとき、マイナス刺激の割合は3/3。しんどさ100%です。
しんどさを和らげるためには、この数字を小さくしたいところ。
でも、これ以上マイナス刺激の数を減らすことはできません(3/3を1/3には減らせない)。
ではどうすればいいか?
分子を小さくすることができないなら、分母を大きくして、相対的に分子を小さくすればOK!
分母を大きくするために、いろいろなストレス刺激を追加すると……
せっかくなので賑やかに。刺激がたくさん増えて3/100、3%です(100という数は適当です)。
マイナス刺激(黄色のイガイガ)の数自体は減っていませんが、さまざまな刺激があることで、マイナス刺激の痛みが緩和されるわけですね。
このとき増やすのは、プラス刺激でなくても効果があるのだそうです。
たとえマイナスのストレスでも、刺激が増えれば、一つの刺激に集中することがなくなるため、しんどさが緩和されるのだとか。
ミルク入りコーヒーで例えてみるのもわかりやすいです。
ストレスにさらされる時間を減らして、しんどさを和らげる
これに加えて、時間の長さもストレスの負担度合いに関係してきます。
何より厳しいのは、一つのつらいことを長時間やらなければいけない状態。「早くなんとかしなければ!」と追いつめられてしまいます。
そこで、先ほどと同じように、別の刺激を追加します。
すると、元々あった「つらいこと」に向き合う時間が減り、切迫感が和らぐのだそうです。
言われてみると納得です。一つのものをじっと集中して見続けるのと、複数のものに意識を向けるのでは、緊張感が違います。
一見、複数のものを扱う方が大変な感じがするのに、心身の力の入り具合は少し和らぐから不思議です。
まとめ
何かをするとき、ストレスは必ず降り注ぐもの。
どんなに頑張ってもストレスをなくすことはできません。
むしろ、ストレスをなくそうと躍起になること自体がストレスになってしまうなんてことはよくある話。
だから、ストレスを避けようとするのではなく、ストレスを薄める。
「ストレスがあって当たり前」
そんな前提で、上手にハンドリングできるよう、いろいろな工夫をしていきたいものです。
刺激を増やすことで、意識を分散させる。
イガイガボールが気になるときは、もっと色んなボールの数を増やす。
苦い苦いコーヒーには、ミルクをたっぷり入れる。
しんどくなったときには、そんなイメージを思い出しながら、うまくストレスをやり過ごしていきたいですね。
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<参考書籍>
福間詳 (2017)『ストレスのはなし – メカニズムと対処法』中央公論新社