言葉が見つからないときはただそのものに思いを馳せることしかできない

カメラを持つ男性

かける言葉が見つからない。

そういうことがよくあります。相手のつらさを思えばこそ、言葉が出てこない。どんなに素晴らしい言葉をもってしても、その苦しみを和らげることはできない。そんな現実を前に、私はただ立ち尽くすことしかできません。
 

私は、つらかったときのことを「絶望」という言葉でよく表現するのですが、それは「絶望としか思えないくらいしんどい」の意です。「死にたい」と似ています。自分の中での最上級。望みを絶たれた、希望などない、もうダメだ。

自分が絶望だと思ったら絶望なのです。

と言いながらも、比べることなどできない誰かの絶望と比べます。そして、どう考えても絶望としか言いようがない現実があると思い至ります。

 

傷ついている人のことを思います。大切なものを失って悲しんでいる人、希望を失って打ちひしがれている人、大きなダメージを負って痛みに耐えながら生きている人。

かける言葉が見つかりません。その苦しみはいかほどか。「つらかったね」「苦しかったね」「あなたは何も悪くないよ」と言うことで、あなたの気持ちが少しでもましになるのなら。私はいくらでも言います。

「つらかったね」
「苦しかったね」
「あなたは何も悪くないよ」
「大丈夫だよ」
「そのままでいいんだよ」
「今までよく頑張ったね」

心からそう思います。

でも、この言葉に虚しさを感じてしまう人もいるのではないか、そう思うこともあります。

だって、私がこの言葉を発したところで、何の行動も伴わないのだから。この言葉は画面に表示された文字列でしかないのだから。

 

私はたくさんの言葉に救われました。物語や今は亡き人の言葉に力をもらうことも多くありました。今でもそうです。それらの言葉は、誰かに抱きしめられるような安心感を与えてくれます。だから、誰かがどこかで記した言葉を読むのが好きです。言葉の力、偉大さを感じています。

しかしながら、私の言葉はどこか虚しい。できるだけ本当のことを言おうと努力しています。だけど、すべて嘘っぱちに思えてしまうことがあるのです。不誠実なのです。そして、リセットしたくなる。このブログの文章をすべて削除してしまいたい、そんな衝動に駆られます。

今、悲しみの中で生きている人にとって、私の言葉は薄っぺらで軽すぎるのです。

 
 

今、自分は絶望の中にいない。

そのことに引け目を感じてしまうことがあります。

その必要はないということはわかっています。「大切なものを失ったわけではない自分には落ち込む資格がない」、それが違うことも承知しています。

それでも、悲しみに暮れる人たちの存在を忘れて笑っている自分にふと気づいたとき、何とも言えない気持ちになるのです。

 

 

自分のこと以外はすべて他人事である。

自分と他人の境界はどこにあるのでしょう。

私は今、誰に向かってこの言葉を発しているのでしょう。

 
空。

たぶん空だ。
 

傷ついている人のことを思う。

ただ思う。
 

それしか私にはできません。

言葉が見つからないときには、ただそのものに思いを馳せることしかできません。

これをきっと「祈り」と呼ぶのでしょう。

 

私は祈ります。

この場所に文字列を入力し続けることが、私なりの祈りのかたち。

傷ついた人を癒すためではない。

いえ、もちろん、結果的にそうなったら嬉しく思います。

でも、それとは別に、私はただ自分がそうしたいからする。それだけです。

 

私が今持っている表現の道具は言葉しかない。

美しい絵を描けたら、優しい声で歌えたら、どんなにすばらしいだろう。

 

そんなポエムみたいな言葉を嘲笑う、人間のキレイじゃないところも言葉にしていけたらと思います。

なかなか思うようにはいかないんですけどね。

 

 

7 COMMENTS

あたま

なかなか思うようにはいかないんですけどね。、、、

でも、救われましたよ。

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rdg

少なくとも私は、ナミさんの打ち出した「画面に表示された文字列」にいつも助けられています。
ナミさんの言葉は偉大です。と思えるのも私が今、絶望の中にいないからでしょうか、、(ぐるぐる)
ナミさんには、引け目を感じずたくさん笑っていていただきたいです。そう、空にお祈りしていますね。

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みーちゃん

分かろうとして下さってること、相手の方にきっと伝わっていると思います。
私は勝手に受け取りました(*´∀`*)
言葉で解決できる訳じゃないのは、みんななんとなく気づくと思うんです。
でも、何度も優しい言葉を投げかけてくれる誰かがいることで、包まれるような安心感を得られたりするんじゃないかなぁと思っています。ナミさんが薄っぺらくて軽いと感じる言葉でさえ、誰かにとっては大切な気づきのきっかけになっているかもしれませんよ。

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シン(shin)

 ナミさん、お久しぶりです。

2015年までは、ひたすら自分と向き合い考えるばかりの年でしたが、
今年は、5年以上ぶりに、病院に行き、本格的にカウンセリングを受ける事を再開できるようになりました。まだ本当に言いたいことは、涙が込み上げたりして、感情がコントロール出来なくて、辛くて言えてませんが

これも、実際に周りで支えてくれている人達のお陰であり、
そして、ナミさんの温かくも、時に力強く、澄んだ水や空のように透き通った言葉のお陰だと思っています。

あなたの言葉があるから、それを基に支えにして、
受け取る側が、それぞれ自分の心のキャンバスに、自由に絵を描き、
そして自由に歌を歌うことができると思っています。

何よりも、ナミさんの綴ってくれている言葉には、
楽しく優しいメロディーはもちろん、
逆に、そのままの悲しくも苦しく辛いメロディーも感じさせてくれるから、ナミさんにしか分からないこともあるけど、
同時に凄く共感できることも多いし、分からないけど包まれるような安心を感じることもあります。

>今、悲しみの中で生きている人にとって、私の言葉は薄っぺらで軽すぎるのです。

そう自分で自覚していることは、実は、もう薄っぺらなのではないと思います。
少なくても、その自覚と気付きと努力が、言葉の厚みを増していっている事をナミさんの言葉から感じていますよ^^

>今、自分は絶望の中にいない。

そのことに引け目を感じてしまうことがあります。

その必要はないということはわかっています。「大切なものを失ったわけではない自分には落ち込む資格がない」、それが違うことも承知しています。

それでも、悲しみに暮れる人たちの存在を忘れて笑っている自分にふと気づいたとき、何とも言えない気持ちになるのです。

 ナミさんは、自分自身に厳しく謙虚で不器用だけど、だからこそ、
優しく人間らしい温かい人なのだなぁ~と思っています。

 後、言えることは、海で溺れている人が同じように海で溺れている人を救えないように、絶望にある人が必ずしも、同じような絶望にある人を救えないということだと思っています。(自分が出来ていなくて、言われた事があります・・・)
 例え、絶望を全く感じたことがないような人でも、絶望を感じたことがないがゆえに、持つことが出来ている、自分なりの言葉だったり、幸せだったり、何かしらの気持ちや時間やお金の余裕だったりするものを、自分なりに、今現在、絶望にある人達の事に思いを馳せて、出来ることをしていくことが、何よりも助けになるし、なっているのだと思います。
 それを考えると、ナミさんは、自分が思考し感じた思い・気持ちを
祈りとして、そして祈りから言葉という形・表現に変えて、中々思うようにいかないながらも、あるがままの自分の弱さや悩みと格闘しながら、少しでも傷ついた人の事も想像し思いながら、ブログに綴っていること自体が、人間として素敵な事だと思っています。

 アルフレッド・アドラーの言葉を借りて言えば、
「何が与えられたかではない。それをどう使うかだ。」
ということだと思うのですが、自分は、何か一つは出来ているけど、意外と気がついていないのかもしれません・・・
それを、このブログに来ると少しでも気付かせてもらえるがあるので、感謝しています^^

 春の季節になってきましたが、まだ寒暖差があると思うので、気を付けて、体を大切にして、毎日をお過ごしくださいね。

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nao

初めまして。
このブログのナミさんの言葉が響いて、色んなことを考えたり自分の気持ちを知れたりしています。

ナミさんの文章が読みやすくて、スーッと心に入ってきます。
ナミさんの言葉でとても助かっています。

このブログに出会えて良かった。
いつもブログを書いて下さってありがとう。
ナミさんのペースで、無理しない範囲で更新して下さい。
(↑この言葉でプレッシャーを感じてしまったらごめんなさい。
本当にご無理なくという気持ちです^^)

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焔-ほむら-

ナミさんこんばんは、焔です
自分の言葉が薄っぺらいなんて言わないでください
ナミさんの言葉に助けられている人が、私を含めたくさんいることをどうか知ってください
このブログの文章を消されたら、私の心の拠り所がなくなってしまいます

ナミさんはたくさん苦しんで悲しんで、絶望の中から少しでも這い上がってこられたのなら、私はそれが嬉しいです
もう十分頑張ってこられたんですから、引け目を感じなくていいんです

だからナミさんの言葉をこれからも紡ぎ続けてください
心に感じたことを綴ってください
私たちの渇いた心に言葉という潤いをください
脅迫じみたコメントですみません^^;
自分が感じたことを素直に伝えてみました
これからもブログの更新を楽しみにしております

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