身近な人との関係がうまくいかず、相手のことが嫌になってしまうことはありませんか。
例えば家族。距離の近さゆえに、嫌なところばかりが気になってイライラしてしまう。干渉が生じて、それぞれが納得のいく落とし所が見つけられない。
そんなとき、気持ちを落ち着かせるにはどうしたらいいのか。
鶴見済さんの本『人間関係を半分降りる』に「これだ!」という答えがありました。
やることは簡単。
「お父さん」「ママ」という呼び方をやめて、本名でイメージする。例えば、父親のことを「鈴木正彦さん」というように。(p.94より)
これはかなり効果があると思いました。心の中で呼んでみるだけでも、その変化にオッと思います。
「姓+名+さん」で相手のことを思い浮かべたら、今度はその人の人生を想像してみる。鶴見さんはそうすることで、親の印象が変わったといいます。もちろん不満はあるけれど、まあそれでいいのだろうと思うことができた、と。
家族は近すぎる。そのせいで見えなくなってしまうものがある。だから、距離を取って、冷静に、客観的に見るために、家族を「フルネーム+さん」でイメージする。これを覚えておくと、いろいろな場面で心を守るのに役立ちそうです。
本書の当該パートを読んでいて思い出したのですが、私もこれまでに似たようなことをしていました。相手の嫌なところしか見えなくなってしまうとき、似たような想像するのです。
「この人の人生が小説や映画になったとしたら、どんなふうに描かれるだろうか?」
自分で創作することは難しいので、好きな作家や映画監督の作品を思い浮かべて、「あの人だったらどうやって表現するのかな」と既存作品に沿わせながら考えてみる。そうすることで、対象から距離を取って見ることができるんですよね。
「私の目の前にいるその人」ができあがるまでの背景を知ることで納得できることってけっこうあります。自分の不快感は消えないけれど、面白くはある。人の人生、生き様というものは興味深いものです。物語が大切だとはよく言われることですが、本当にそれを痛感する瞬間です。
鶴見さんの「姓+名+さん」でイメージする方法は、より強力に、他者の存在を客観視させてくれます。
対人関係に問題のない人も、ぜひ一度お試しあれ。