『なぜ心はこんなに脆いのか?』
なぜ? どうして? 心が脆くなさそうに見える人は、脆い人と何が違うの? というか心が脆いってどういうこと?
とタイトルを見ただけで「なんでなんでなんで」と連呼したくなるような本を読みました。
面白かったです。かなりのボリュームで読み応えがすごい。学びも多い。
けど、難しい。理解できていない部分が多いから、改めて学び直す必要がありそうです。果たして私にそんなことができるのか。
気になった部分をメモしながら読んでいたんですけれども、一体どれほど私の頭に入ったことやら。
「『不安や抑うつって何のためにあるの?』を解き明かす本ってことでいいのかな~?」ぐらいの気分で読み始めて、読み終わったいま口をつく答えは「いろいろな理由がありそうだよ」ってことで、読む前よりも混乱している。情報が増えた分だけ頭の中の入り乱れ度もアップ。
全体を通して、物事ってとっても複雑なんだよ、ということを本書は教えてくれます。当たり前だけど、日常の生活に埋もれると忘れてしまう事柄です。あるいは自分では自覚しているつもりだけど、実際の言動はそうなっていないアレコレ。
扱われるトピックがどれも面白い。その上、その解説文に出てくる比喩に「なるほど!」と膝を打つことも多かったです。言葉にできないぼんやりした感覚をつかめるようになると「ああ、そういうことか」と安心できますよね。ちょっと不安感が和らぐというか。
大事なのは問いの立て方なんだなということも痛感しました。問いを間違えると、明後日の方向に行ってしまう。厳密に捉えていかないと雑な答えを出して終わりになってしまう。
本書は「精神疾患について、進化的な視点から考えてみよー!」というスタンスなのですが、いろんな角度から考えうる可能性を全部出しきって見ていこうねってことで、それ超大変じゃんって気が遠くなります。けど、大事ですよね。簡単に体系化できるもんじゃないのだ。人間は。人間は……! ってそう、タイトルの副題に心理学とありますが、心理学というよりは精神医学の印象が強め。統合失調症、双極性障害、自閉症、摂食障害、依存症などの精神疾患が扱われています。
今メモを見返していたんですけど、8章冒頭の引用文、
おそらく、社会科学という学術分野が直面する最大の問題は、何であれ測定可能なものは研究において重要でないことが多く、本当に関連性があるものは測定不能であるということだ。 ーージョージ・ヴァイヤン 2012年
この部分に力強く「それな!!!!!」とメモしてあったのは我ながら笑いました。このとき私に一体何があったんでしょうね。
この学びを活かしてブログに書いていけたらいいなと思いますが、ちょっとまだ全然整理できていないので、とりあえずの備忘録がてらの本の紹介ということで本日は失礼します。
ⅰ なぜ精神疾患はこれほど混乱を招くのか
1 新たな問い
2 精神疾患は病気なのか
3 なぜ私たちの心はこれほど脆いのか
ⅱ 感情を感じる理由
4 辛い気持ちの妥当な理由
5 不安と煙探知機
6 落ち込んだ気分と、諦める力
7 妥当な理由のない辛い気持ち: 気分節器が壊れるとき
iii 社会生活の喜びと危険
8 個人をどう理解すべきか
9 罪悪感と悲嘆ーー善良さと愛情の代償
10 汝自身を知れ―否、知るな!
iv コントロールできない行動と、深刻な障害
11 不快なセックスが、遺伝子にとって都合がいい理由
12 食欲と、その他の原始的な欲望
13 いい気分と、その有害な理由
14 適応度の崖っぷちに引っかかる心
epilog 進化精神医学ーー島ではなく、橋となる