吉田戦車と泌尿器科とゆりやんレトリィバァに共通点はあるのか/『伝染るんです。』感想

唐突に吉田戦車作品を読みたくなって、『伝染るんです。』を読みました。

『伝染るんです。』は、1989年~1994年にかけて「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載された4コマ漫画。作者の吉田戦車は、文藝春秋漫画賞や手塚治虫文化賞短編賞を受賞しているそうです(Wikipedia情報)。

なぜこのタイミングで吉田戦車なのか自分でもよくわかりません。直接的でないにしても、何かしらきっかけがあるはず。でもどれだけ考えても心当たりがない。で、いま日記を読み返してみたら、マンガ購入日に泌尿器科を受診していました。これ、関係しているでしょうか……? 何となく関係してそうな気がしないでもない……。

 
それはさておき、『伝染るんです。』面白い。何が面白いのかと聞かれると、よくわからない。多くのお話で戸惑うし、不安になります。

コマの中の人も戸惑っています。変な生き物が変なことをする。突拍子もないことを言う。現実ではありえないようなことばかり。

恐怖を感じるような場面でもどこかのどかだったりして、そのちぐはぐさにやっぱり戸惑う。後ずさりする感じもあります。

 
何かに執着する人もよく登場します。執着する対象がこれまたよくわからない。

なぜそこにこだわるのか。なぜそこまで熱くなれるのか。……と問うた瞬間、いかにその疑問がバカバカしいか気づきます。

そんなことはどうでもいい。こちとら全く興味がない。

にもかかわらず、くり返されると面白くなってくるのです。執着するという行為は、くり返されると滑稽に映るということなのでしょうか。

そして、この感じをどう処理したらいいかわからず、また困ってしまうのです。

 
執着する人の他にも変種がいろいろ。例えば、唐突に激しくキレる人。怒るポイントが変で、温度感も変。平均の範囲からズレてるところが笑いを誘うんだろうなぁと思うのですが、それにしても違和感がすごい。

特に笑っちゃったのは、「ぞうさんハンガー“べんりだぞう”」がツボにハマって延々爆笑する夫婦。くだらねぇ~。なのにつられて笑っちゃう。レジの女性の顔がまたいいんだぁ。

一部の登場キャラクターが可愛らしいのもポイントなのでしょう。『伝染るんです。』の場合は、キモ可愛いが大半でしょうか。人を不安にさせるポップなキャラクターってあんまりいないよなぁ……。

みたいなことを頭の片隅に置いていたら、あるとき気づきました。

『伝染るんです。』って、ゆりやんレトリィバァと通じる空気感があるのでは?

お笑い芸人のゆりやんレトリィバァ。彼女が演じるキャラクターって大体なんか変です。トーク番組などで見せる彼女のふるまいも独特。「えっ……何?」と戸惑わせたまま終わることも多い。ふわっと残された妙な余韻に怯えながら、自分を納得させて笑っていることがある気がします。面白いんだけど、言葉にできないほのかな怖さがある。

『伝染るんです。』の名物キャラ・かわうそくんとか、なんか重なる感じあるような。よくわからないけど、第一印象として感じた困惑やホラーみや不安感は否定できないのでした。

 
そんな不思議な作品群。

不条理ギャグ、癖になります。

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