サッカー元日本代表、ヤットさんこと遠藤保仁選手の本が面白かったので、感想を書こうと思うのですが、サッカーに詳しくない人のために、まずは遠藤選手がどんな選手なのか書きましょう。
といっても、そもそも私自身がサッカーに詳しくない。せいぜい4年に1度のワールドカップを見る程度、Jリーグもニュース番組のダイジェストを眺めて「お~」とか言うくらいで「好き」と断言するほどではなく、チームのことも監督や選手のこともよく知らない。
そんな私でも知っている遠藤選手。最多出場記録やMVPなど、たくさんの記録を持っているすごい選手。2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2014年ブラジルと3度のワールドカップメンバーに選ばれ、日本代表の中心選手として活躍。Jリーグでは、長年ガンバ大阪の中心選手としてチームを牽引。先頃ジュビロ磐田に移籍し現在も活躍中。「ヤットさんはすごい」と他の選手が言っているのもよく耳にするところ。特に本田圭佑選手が称えていたのが印象に残っています。
私が遠藤選手を認識したのはいつだったのか、はっきりとした記憶はないのですが、ワールドカップの試合を見ていてじわじわ~と認識したんだと思います。「なんかいい感じの選手いるな~」「どうやらいい感じの源はあの紐ちゃんしてる選手っぽい」「たぶん遠藤って選手だな」といった具合に。なにせ、ポジションもプレースタイルもわからないので、ボランチとかMFとか聞いてもピンとこないのです。
そんな感じでぼけーっと見ていてもわかる技術の凄さ。狂いのないパス回しに、優れたコントロール力。一流選手が集まっているんだから、全員うまいのは当たり前、試合中ずっと「すごいな~」と口半開きで見ているんですけど、中でも特に遠藤選手は印象強く、毎度うならされました。「よくわからんけど、彼のプレーはなんか面白いぞ」と。軽やかでしなやかで冷静で、どこか飄々としている。そんな佇まいにも惹かれました。
今まで、特定のスポーツ選手のことをもっと知りたいと思うことはなかったのですが、遠藤選手のことは気になって仕方ありませんでした。ちょっと調べるだけで面白いエピソードがたくさん出てきます。頭脳派で器用な選手であることも知りました。
知れば知るほど興味が尽きない選手、そんな遠藤保仁選手の本でございます(前置きが長い)。
というわけで本書の感想。面白かったです。特にサッカーの話は抜群に面白かった。
逆に言うと、サッカー以外の一般論は無理やりねじ込んだ感じがあってイマイチだったかな……。
有名人のビジネス書は、本人の話を元に構成者やライターが作成するとはよく聞くところです。だから、この本もきっとそうなんだろうなーと思いながらポチったのですが、それでもやっぱり読者としては遠藤選手の言葉として受け取りたい。
というわけで、遠藤選手が書いている or 話している様を想像しながら読んだのですが、どうやっても無理なところがけっこうな割合でありました。1/3くらいそうだったかな……。
例えば、読み始めからすでに違和感はあったのですが、
「万事休すである」
の箇所で思わず笑いました。え~、遠藤こんなこと言う? 書き言葉にすると人格変わるタイプ? と首をかしげながらも気を取り直して読み進めるのですが、やっぱり違和感がすごい。
(熱く力強く語ってるけど絶対キャラ違うよなぁ。……いや、私が知らないだけなのかも。だってすべてを追ってきたわけじゃないし、ただのにわかファン、いや、ファンと言うのもはばかられるほどの一般人なのだから。遠藤にもそういう一面があるのかもしれない。内に秘めたる闘志をわかりやすく開示してみました的な。実は筆力がめちゃめちゃある人なのかもしれないし……)
などと考えを巡らせたのですが、でもでもやっぱり読み進めるたび違う人間が出現する。ライター、構成者の陰がチラつくのです。チラつくどころか、めっちゃ出てくる。「おまえ誰だーーー!」って。
だってね、「営業の現場において、たとえば新規開拓に力を入れるのか、既存顧客の掘り起こしに注力するのか、といった現場の方針が……」とか言われたら、「え、遠藤?」って戸惑いますよ。
せっかく「ふむふむ」と興味深く読んでいても、仕事や人生に置きかえた一般論が出てくるたびに「えっ?」「誰!?」と驚いたり変な顔をしたりして気が散るから、ビジネス書ではなく、普通に「ヤットさんの話」として本にまとまっていた方が楽しそうな気がしました。インタビューや対談形式の読み物の方が絶対いいよって思うんですけどね。でもビジネス書に寄せた方が売れるってことなんでしょうか。よくわかりませんけども。
そういった部分を除けば、とても面白く読みました。遠藤選手ならではのエピソードは楽しいし、考え方や物事への向き合い方など参考になる部分がたくさんあります。
よくあるメッセージもヤットさんに言われると素直に頷ける。そういう私みたいな人、きっと多いんだろうなーと思います。
読んでいるうちに、サッカー観戦をしたくなります。かつて観た試合で、どんな心理戦があるのか考えながら観戦していたらもっともっと面白かったんだろうなぁと惜しまれる思いが少し。それで動画をいろいろ見ていたら、遠藤熱が再び高まりました。超カッコいいでございますよ。
ヤットさんファンなら読んで損なしの本書。それ以外の人は、どうでしょう。ヤットさんっぽくない人が出現するのはちょっと気になるので、誰にでもおすすめする感じではないかなぁ。
まあどんな本でも必ず学びになるところはあるし、私としては満足な一冊でした。
買った直後にアンリミ(Kindle Unlimited)に追加されてて「ガーン」となりましたが、「あなたの好きはその程度だったの? 好きなら課金よ!」と思い直しました。
ナミさん
Kindleで購入した
「発達障害サバイバルガイド」良かったです。
よかったら見てみてください。
最近ずっと調子悪くて…散歩してた時期がだいぶ前のことのように感じます。不調と付き合ってほどほどに生きていこう、ですね。