人と競い合うことで互いの能力を高め合うことができる。でも、勝ち続けることが目的になると疲弊する。だから、そうならないために、自分の大切なものは何か、何を得るためにやっているのか忘れないようにしないといけないね、という話をします。
黄緑色のフクロウが常時監視、ちょいちょい煽ってきます
半年くらい前からDuolingoという語学学習アプリを使い始めました。気合いを入れると続かないので、「毎日アプリを立ち上げる」というゆるゆるな目標を掲げ、マイペースにぼちぼちとやっています。
Duolingoは無料プランでも十分使える素晴らしいアプリです。学べる言語もすごい数。日本語対応しているのは英語と中国語だけなのですが、対応してくれてるだけでも十分ありがたい。まぁ「まずは英語くらいマスターしろよな」と言われているような気分にもなりますけれどもね。
黄緑色のフクロウが応援メッセージをくれたり、バーチャルコインを獲得できたり、楽しく続けるための工夫もいろいろ。初級者向けのアプリとしてはかなりイケていると思います。
ある日のこと。「○○リーグに昇格しました」という通知メッセージが届きました。知らないうちに好成績を残していたようです。好成績といっても相対評価なので「良い」と言えるのかは微妙です。だって0ポイントに近い人もたくさんいたし……。
それはともかく、このとき初めてランキング機能がどんなものか把握しました。アプリを入れたときにランキングがあることには気づきましたが、ここに気を取られると絶対ダメになると思ってスルーしていたんですよね。
Duolingoのランキングは、50人で学習ポイントを競い合うというもの。期間は1週間。上位10名は次のリーグに進出、下位5名は降格。上位リーグにランクアップすると、宝石っぽい通貨(ジェム)や称号がもらえる。ジェムはライフやアイテムと交換できる。そんな感じのシステムです。
普通に学習できればいい、余計なものは不要と思いつつも、アイテムがもらえるとやはり嬉しいもので、ちょっと頑張っちゃおっかなとか色気を出し始めるんですよね。しかもレベルが低いうちは、いつもよりちょっと使用時間を増やすだけで簡単にランクアップできます。結果、自然にやる気も加速します。
そんなこんなで、気づけばガンガンモードでDuolingoをやりこんでいました。空き時間はすべてDuolingoに当てるくらいの勢いです。もちろんランキングを意識しまくり。
が、あるところまでいくと、ライバルが猛者だらけになって、なかなか上位に上がれなくなりました。最初はなんとか踏ん張っていたのですが、あまりの大差に戦意を喪失しました。頑張って追い上げてもすぐにダメ。「○位の座を奪われてしまいました」などとフクロウがいちいちお知らせしてくるのも地味にテンションを下げます。なんだよ、なんだよぉ……うぅぅ……。
と、ここに至って自分がものすごく疲弊していることに気づきました。
でも、こうやって「ランクアップするぞー」「負けないぞー」と一生懸命やったから学習時間が飛躍的に伸びたのは間違いないことで、ああこれって健全な競争だわと充実感もありました。競い合って高め合うことは良いことだ、こんな感覚久しぶりだな、と。
だけど自分のように無目的な人間には競争ってちょっと危ういよねとも思います。これといった目的がないから、すぐ目的と手段が入れ替わっちゃうんですよね。例えばDuolingoの場合だと、学習よりランキングやリーグ昇格がメインになっちゃって、ランキングポイントを稼ぐために簡単で割の良いレッスンをくり返す、みたいなことをしだすのです(まあ復習も大事だし、無意味ってことはないんですけど)。これがもっと大きな、人生単位の事柄で行われたら……と考えるといやな予感がします。
だからやっぱり競争もほどほどにしないといけないよなぁと天を仰ぎ見るのでした。
自分が到達したい高みが設定できているならともかく、そういう目標が何もないのに人と競争して一喜一憂していたって仕方ない、いや、それはそれで全然ありなんだけど、勝ち負けにこだわって視野が狭くなってしまうことには気をつけないといけないなぁとということです。
自分にとって本当に大事なことは何なのか。それを理解しておかないといけないですね。
誰かと競争して勝つことが一番の目的になっちゃいけない。
それはあくまでも助けであることを忘れずに。
そんなようなことを考えました。