「砂を噛んでいるようだ」 ― 食欲低下の症状をわかりやすく伝える言葉とは

ムシャムシャ咀嚼中の動物さんたち

食欲低下はうつ病の症状の一つ。

「何を食べても味がしない」
「せっかく家族が作ってくれた食事を食べないのは申し訳ないから無理やり押し込む」

そんな具合に、食べることが苦痛になってしまいます。

この他にも、患者さんのよくある訴えとして「砂を噛んでいるようだ」というものがあります。

私も何も食べられなくなったとき、このことを実感しました。「『砂を噛んでいるような』ってよく言うけど、まさにその通りだな~」と味のしないご飯を口に運びながら思ったものです。

今日は、そんな思い出とともに「砂を噛んでいるようだ」という感覚について書いてみようと思います。「だから何?」という感じの内容となっておりますので、そのあたりはご了承ください。

 

食欲がなくて何も食べられないときの気持ち

「砂を噛んでいるようだ」という表現。

働かない頭ながらに、言い得て妙だなぁ~と感心したことを覚えています。

手元にある辞書を引くと、

砂をかむようだ(=無味乾燥で、少しもおもしろくない)

とあります。(新明解国語辞典より)

味がしない + 不快 ということなんですね。

私の場合は、「噛むのも飲み込むのも面倒」という気持ちが特に強かったです。その結果、発動するネガティブさんは、

「私はどうしようもない怠惰な人間だ……」
「こんな無価値な人間に食べられる命に申し訳ない……」

などなど。いったんこの思考が始まると止まりません。食べられないことが人格否定につながってしまうのですから困ります。砂を食ってた方がまだこの罪悪感は抱かずにすんだかもしれません。いや、実際、砂噛んだら歯ボロボロになりそうですね。いかんいかん。

 

砂の味ってどんな味?

で、ふと思ったわけです。「誰が最初に言ったんだろ?」と。

多分、診察で「砂を噛んでるみたい」と言う人がちょこちょこいて、精神科医の先生方の間で「患者さんの言うことあるある」として共有されたのかな? うつ病のときに松岡修造さんの熱血動画は危険という“あるある”を共有するみたいなノリ? それで書籍でも紹介されるようになったのかな? と想像します。

じゃあ「砂を噛んでいるみたい」と言った患者さんは、何でそう思ったの?

比喩表現? それとも、字義通り?

私はそのままの意味で使っていました。砂を噛んだ経験は、砂出ししてないアサリの味噌汁でジャリジャリした程度だけど、多分砂を食べたらこんな感じなんだろうな~というイメージ。

これと同時に私の脳内にはパクチーが浮かびます。「パクチーってどんな味?」と聞いたときに、「カブトムシみたいな味だね。カブトムシ食べたことないけど」と教えてくれた人がいたんですね。きっとそれと似たような感覚なんだろうなと。そんなふうに解釈して、一人納得しています。

あと、子どもの頃、転んで砂が口に入っちゃったとき。みじめで泣きたくなった切ない思い出。やはり砂はおいしくないですね。

さっきから、ものすごいどうでもいいこと言ってますが、最初にお伝えした通り、今日は「だから何?」って話を延々とする回なので、このまま続けますね。(つまらないと思ったら離脱することをお勧めしています)

 

「砂」に代わる食欲低下・不快感の表現

思考力も食欲も低下した中で、「砂を噛む、うむ、まったくその通りだ」と実感してその言葉を使う。それが脈々と受け継がれた結果(?)、「砂を噛んでいるようだ」という表現は、うつ病について解説する本にも登場するくらいメジャーになりました。

ここで、私は考えました。

「砂」に代わる表現って他にあるかな?

思いついたものを挙げてみたいと思います。

・苦いスルメイカ
噛み続けたくないですね。旨みが一切ない苦さ。噛めば噛むほどまずくなるタイプ。嫌です。

・青い色をした青汁味のご飯
見るからにまずそう。口に入れたら当然のように苦い。「おいしそう!」とは思いません。

・誰かが噛み続けたガム
味がない。それ以前に、口に入れたくない。吐きそう。無味無臭という意味では一番「砂」に近いでしょうか? いや、無臭ではないのか?!

よくよく考えてみると、味がないという食べ物はありそうでないですね。まずくて食べられない、苦いとか辛いってわけでもない。刺激が何もないもの。いや、そもそも食べ物じゃダメなのか。食べ物シリーズから脱すると……

・ヤギになった気分
コレ。味のない紙をモサモサ食べるという意味でどうでしょう?

そもそもヤギさんは「おいしいおいしい」って紙を食べているのでしょうか? そもそも、ヤギは紙食べないんですっけ? 人間の勝手なイメージ?

何にしても、「これ食べなさい」と紙を出されたときの気分は食欲不振時の気分と似ているんじゃないかという気がします。食べたいと思わないもん。食べられないことはないけどさって。

私の中では、割としっくりきてます。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?

いかがもクソもないと思いますが、こういったしょーもないことを考えることによって、不快感や罪悪感を一時的に和らげることができるのではないでしょうか。

「食欲がない……」「食べる気にならない……」という感覚を周りの人に伝えるとき、多分役に立たないと思いますが、参考になれば幸いです。

栄養を摂らないと元気が出ないので、ヤギさんになったつもりで無心に紙(ごはん)をモシャモシャ食べましょう。

 

<私が食欲減退時にお世話になった食品>

フルーツグラノーラなら何とか食べられました。ミルクでサラサラ~と流し込んで。流動食的な感じですかね。

食欲があるときには、ボリボリ食べ過ぎるので困ります。油断大敵食品です。

3 COMMENTS

ひろこ

ナミさーん(´;ω;`)
つらくなったのでここに来ました。
うつ病を治療を始めて2年になりますが、朝起きられない、布団から出られない日々が続いています。けっこう色々な薬をためしたのですがどれも朝起きることはできませんでした。いまはジプレキサを飲んでいます。朝起きるアドバイスがあればぜひ教えていただきたいです。
PS. ナミさんのブログにはいつも励まされています!感謝です

返信する
ナミ

ひろこさん、コメントありがとうございます。

うーん、そうですか……。私も朝は全然起きられなかったので、そのお悩みはよくわかります。というか今でも早起きは苦手です。

ひろこさんの体調にもよるので何とも言えませんが、私が不眠で困っていたときに実践していたのは3つ。
①寝る時間を早める
②太陽の光を浴びる
③日中は身体を動かす

これで良い循環が生まれると、生活リズムも整ってきます。一番はやっぱり早く床に入ることですね。

でも、まぁ、あまり無理して起きようとしなくていいんじゃないでしょうか。どんなに頑張っても起きられないときは起きられないですし、薬の影響もあるでしょうし、療養中は仕方ないんじゃないかなぁと思います。

睡眠については↓こちらでも書いているので、よろしければご覧ください。
たった3日で効果を実感!体調を整える基本ルール(※個人差があります)

今のつらい状況が少しでもラクになるような、ひろこさんに合った生活リズムが見つかるといいですね。

返信する
紙一重

ナミさま,ひろこさま,おはようございます。

わたしたちが患っているようなやまいは,
睡眠がおっしゃるとおりに避けて通れないところです。

その点,
ナミさまの【たった3日で効果を実感!体調を整える基本ルール】

は完璧ですね。わたしも実行しています。

わたしとしては,

1 睡眠導入剤を服用したらつべこべ言いわずにさっさと寝る!

パソコン・携帯(貧乏な私は持っていません)は限度がわかりにくくなるので,とにかくひらきません。

「馬上・【枕上】・(ここではちょっと…)」と欧陽修は書きましたが,

「睡眠導入剤を飲んで,しかも病んだ頭脳で考え事をしても,何の役にも立たない!」

と即断して寝てしまいます。光熱費も節約できますし。

2 寝付くまでは,励ます言葉に精神集中して念じる。

いろいろあるそうです。私のお気に入りは,

「私はしあわせであれ」

この主語を5人くらいかえて,ときにはきらいな人の名もくりかえし念じます。きらいな人を懲らしめても本人がよくなるわけはありませんし,第一,けんかをふっかけたところで体力に勝るあいてに勝てるはずがありませんから。

あ,ナミさま,私へは返信不要,「読んだ」で大慶です。

ひろこさまは,しあわせであれ!

ナミさまは,しあわせであれ!

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です