かなしい気持ちをすすいでくれる金子みすゞの静かな世界

花の蜜を吸うハチ

大好きな詩があります。

金子みすゞの「はちと神さま」。

この詩を心の中でつぶやくと、なんだか幸せな気持ちになります。幸せというより自由という言葉がしっくりくるかもしれません。

小さな生きもの、小さな風景、そこから世界が広がって、無限大を感じたかと思ったら、また小さな世界が現れる。

この詩を味わったあと、小さな生きものや風景は、小さなものではなくなります。

小さき存在の背景にあるものが見えてきます。

それは続く。いつまでも続く。

目に映る光景がスローモーションになったかのように感じられます。

金子みすゞが見ていた世界とは

金子みすゞは26歳という若さで亡くなりました。自ら死を選び、毒を飲んだといいます。

彼女の詩はきれいで素朴な可愛らしさがあるけれど、どこかほの暗くて、寂しさや悲しさを感じさせます。そして、根底には死の影があるように思えてなりません。

死の影といっても決して悪い意味ではなく、みすゞは生死をこえた部分を見つめていたのではないかという気がします。

そういう何かを感じ取ったとき、みすゞのすごさを思い知ります。彼女の有名な詩はたくさんあって、ポップに装飾されたものを気軽に受け取っていましたが、一人静かに詩集を読み返すと、まったく違う世界を感じられます。

悲しかったりつらかったり、暗い気分に支配されがちなうつ療養期間。そんなとき味わうのにぴったりな作品なのではないかと思います。

最後に

冒頭、「はちと神さま」の詩を引用しようと思ったのですが、どうも著作権がいろいろ複雑になっているようなので、やめておきます。一部を切り取ったらこの作品は成り立ちませんし、短いからといってまるまる写すのは引用と言えるのか微妙ですしね。興味のある方は、ぜひ詩集をお手にとってみてください。

「はちと神さま」を読んで思い出すのは「神は細部に宿る」という言葉。これもまた好きな言葉です。

細かいところで手を抜いてしまいそうなときや、「これくらいいいよね」と妥協したくなるとき、この言葉を思い出すと、丁寧に物事と向き合おうと思えます。

だからといって、全部完璧に仕上げようとするとまた疲れちゃうので、ちょうどいい頃合いを探りながら。

大事なところをきちんと押さえて、それ以外は流す。

そんな作法を身につけたいものです。

 

<本日の作品>

小学生のときに買ってもらった詩集。病気になってから引っ張り出して読み返しました。何度読んでも胸に沁みるものがあります。大切なことを思い出させてくれる作品です。

子供でもわかる言葉で、これだけの真実をコンパクトに表現しているのは本当にすごいですよね。私ももっとシンプルな言葉で美しさを語りたいです。……無理です。残念です。精進しますです。

1 COMMENT

Ruri

ナミさん、いつもありがとう♪
元気を貰いにきました。
この記事の本や今まで紹介されていた本など「今度読みた~い♪」…って思いながらナミさんの文章読んで更に癒されてます。
紹介してあった曲なども聴いてますよ~(*´∀`)
すぐ気になっちゃうんです♪
ミーハーなのかな…(笑)。
いつもありがとうございますです(о´∀`о)

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