少し前、血液検査でうつ病を判断できるかもしれないというニュースが話題になりました。
うつ病は目に見えないため、数値で症状を把握できれば周囲の理解を得やすくなりますし、「これは甘えだ」「気合が足りないだけだ」と自分を責めることなく治療に専念できそうです。
ただ、客観的なデータを得られるメリットはありますが、血液検査を受けるだけですべてのうつ病を見抜けるわけではありません。
↓こちらの記事でわかりやすく説明されているのですが、「1000人受けて2人は見逃されることになる」と。
うつ病を血液検査で判定!? ~統計のウソを見抜け!~ | とりあえず俺と踊ろう
血液検査以前に、これを読むと「医師によって診断が変わるかもしれないの?」と不安を感じてしまうわけですが……。
先の記事の患者さんの場合、
最初に採血をして体の異常をチェックし、いきなり薬は出さず、まず規則的な生活を心がけさせる。
それが「普通の精神科医」であってほしい。
病院に行ったら何かしらの薬を出されるというイメージが強いので、こういうアドバイスをしてくれる医師を私は望んでしまうのですが現実的には難しいのでしょうか。でも、大切なことですよね。患者自身もよく考えて、相談しながら治療を進められる関係が望ましいはずです。
何にしても、ちょろっと診察して「うつ病ですね」というのは早まった診断のようです。
光トポグラフィー検査
血液検査の他に、よく耳にするのが光トポグラフィー検査。
脳の血流の変化を計測することで、
- うつ病
- 躁うつ病(双極性障害)
- 統合失調症
を客観的に判断するための検査です。
こちらの記事に、光トポグラフィー検査の体験談とわかりやすい解説があります。
【うつ病・双極性・統失診断】 光トポグラフィー検査を受けてみた。 | 社会福祉士が教える こころの病気とのつきあいかた
最後の先生とのやり取りに思わず笑ってしまいましたが(笑えないですよねゴメンナサイ)、「なんやろねー、わからんね~」という言葉、先生の本音なんだと思います。優秀な先生方と一緒にしてはいけませんが、私も精神疾患についていろいろ見聞きしていると「なんやろねー、わからんね~」って感じることが多いから。下手にデータや難しい理屈を並べてごまかすより、好感の持てる先生だなーと思いました。私はこういう先生が相性良いような気がしています。
話がそれました。
さて、検査費用は病院によって違いがあるようで、初診料などを含めて1回1万5000円というところもあります。
記事にもある通り、検査結果はあくまでも補助的なもの。十分な問診が必要になってきます。
それでも、先の血液検査と同様に「見える」結果で示されれば、自分がうつ病であることをなかなか受け入れられない患者さんも前向きに治療に専念するきっかけになるかもしれませんし、家族や周囲の人に理解を得やすくなりそうですね。
うつ病の治療を続けている人の中には「実は躁うつ病(双極性障害)だった」と診断が変わる患者さんもいらっしゃいます。そのような誤診を防ぐためにも、光トポグラフィー検査は期待されています。
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基本的な検査+α
初めて精神科や心療内科を受診したとき、どんな検査を受けましたか?
ほとんどの方は、
- 受付で渡された問診票を記入
- 症状について聞かれたことを医師に話す
そして、総合的に医師が判断するという流れだったのではないでしょうか。
うつ病と診断するために使われる主な指標は、
- 「精神疾患の分類と診断の手引 改訂第4版」(DSM-IV)※
- 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版」(ICD-10)
※2013年5月に第5版が発表されました。
例えばこちらのような。
しかし、これだけで「うつ病です」と言い切ることはできません(実際にこの指標を使う精神科医は少ないという話も聞いたことがあります)。
うつ病と診断する前に、他に原因はないか検査する必要があります。身体の不調や飲んでいる薬が影響している場合もあるからです。
主な検査は、
- 体温測定
- 血圧測定
- 体重測定
- 尿検査
- 血液検査 など
さらに問題がないか調べるために、
- CT(エックス線をあてて体内を画像化する検査)
- MRI(強い磁石と電波を使って体内を画像化する検査)
- 脳波 など
を行う総合病院もあるようです。
ここに、血液検査や光トポグラフィー検査のような客観的な数値が判断材料に加われば、より適切な診断を得られそうですね。
もし、詳しい検査もなく「うつ病」と診断され不安に感じている方は、これらの検査を検討してみてもいいかもしれません。