最近、気になっていること。
それは、五感のあれこれです。
特に注目しているのが触覚。
触覚って何? かなり謎じゃない?
というわけで手にしたのがこちら、『触楽入門』。
触覚表現の普及活動を行う「テクタイル」のメンバーが、触覚の面白さを紹介しています。
テクタイルとは、技術に基づく触覚デザイン (TECHnology based tacTILE design) 、略して TECHTILE ということだそう。
で、これがまあとても面白い。視覚に頼りすぎてるからよくない、もっと視覚以外の器官もバランスよく使っていかないとなぁという話を以前ブログに書いたのですが(目が見えなくなったときのために、歌と琵琶の練習をしておくとか)、認知科学の分野でも視覚以外の感覚にフォーカスした研究が進められているそうなのです。
で、本書では「ふれる」「さわる」という感覚について考えてみようという導入から、さまざまな例が紹介されいます。自身の感覚を味わいながら楽しめる体験型読書です。
身近な例を挙げてくれてるから、実際に体験できて楽しいんですよね。「言われてみると…(触ってみる)ほんとだ!」という発見の連続。いつも何気なく過ごしていたけれども、こんな違いがあったのかぁと知る。自分のことなのに全然知らなかったんだなぁとしみじみ。
そんな感じでページをめくっていました。面白いのと、驚くのと、楽しいのと、ワクワクするのと、最後まで飽きない。不思議がいっぱいです。
本を読む前と読んだあとで、世界が変わる。確実に変わる。いや、読んだ瞬間に変わる。自分で感じられる。新たな発見だらけになる。これってすごいことでは?!
かなり興奮して読んでいたと思います。「うわっ」「ほんとだ」「すごい」「えっ」と随所で反応していました。
意識しないと、気づかないまま通り過ぎてしまう触感。一度意識すると、すごく気になる。そんでもって、今度は気にしないようにするのが難しくなる。まばやきや呼吸みたいに。意識すると不自然になってしまう。まったく意識ってやつは。
本当に不思議。面白い。
触感を拡張したツールなど、面白い研究も多数あると知りました。安室ちゃんのミュージックビデオやサカナクションの録音方法など、ポップカルチャーで使われている触覚にまつわる表現も取り上げられています。小難しい論文の解説ではなく、一般の人向けにわかりやすく紹介されているから眠くならずに読み進められます。ありがたい。
触覚における錯覚も面白いし、視覚や聴覚がかなり影響しているという話も興味深いし、今の私たちに足りないもの、そのヒントも触覚に隠されていそうです。
本書の著者・仲谷正史さんのインタビュー記事で、「触覚は出汁みたいなもの」「そうか触覚って生きていくための出汁なのか」という話があって、その表現になるほどと唸ったんですけれど、本書はその出汁を味見できます。
わたしたちは触覚のことを忘れている!? 「触れる」を楽しく科学する | SEKAI 未来を広げるWEBマガジン by 東進
何だか刺激が足りないなぁ~と感じたときは、感覚を研ぎ澄ませればいいのかも。
いつもとちょっと違った世界、あなたも一緒に味わってみませんか。