うつ病のつらさを「全身血だらけフラフラ瀕死状態」に例えたら

ネコとウサギのシルエット

生々しい夢を見ました。

私は猫と一緒に布団で寝ていました。目を覚ますと、布団から這い出した猫のお腹から下の皮膚がズル剥けになっています。ものすごい真っ赤。まるで赤いオムツを履いているみたい。しっぽもちぎれて短くなっています。にもかかわらず、猫はその状態でてくてく歩いていました。

そして、私は鋭い牙を持ったウサギに手を噛まれました。ピーターラビットみたいな可愛いウサギが私の手のひらに大きな牙を突き刺します。手のひらには直径5mm強の穴が2つと、その間に小さな穴が3,4つ。

血は出ませんでしたが、痛い。見るからに痛々しい。そう、その痛みはどこか他人事みたいで、頭で「痛いってこんな感じかな」と想像して理解する感じでした。

改めて布団を見ると、ズル剥けになった猫が寝ていたはずの布団は一切汚れていません。あれ、赤いチェック柄のパンツでも履いとったんかな? そう思って、もう一度猫を見る。やっぱりズル剥け。

見るからに痛々しいのに、ウサギに手を噛まれたときと同様に、慌てふためく感情が欠如しています。「大変!何とかしなきゃ!」という気持ちが第一にあることは確かなのですが、妙にさめている。夢なのに? 夢だから? 

猫はまったく痛がる様子もなく、平気な顔をして歩いています。あれ、そのままでも大丈夫なのかな? でも、痛々しいな。だけど、血が流れてるわけじゃないしな。それに近づこうとすると向こう行っちゃうし。

そんなところで目が覚めました。

 

ケガ・出血の例えはわかりやすい

この夢が何を意味しているのか考えてみると、何となく心当たりはあって、なるほど納得。ちなみに、いきなり登場したウサギは、寝る前にリリー・フランキーさんがウサギを飼っていたというエピソードを本で読んだからだと思われます。わかりやすい!

それはまぁ良いとして、起きてからも、ズル剥けになった猫のお尻の赤さは目に焼きついていて、その痛みに思いを巡らせていました。

うつ病のつらさや深く傷ついた経験を理解するために、ケガの例えがよく使われます。出血とか骨折とか、目に見えるイメージに置き換える。

血が出たクマさん

だいぶわかりやすくなりますよね。人の痛みを自分の痛みとして感じることはできないし、まして自分が知らない痛みを想像することは難しい。でも、ケガであれば、みんな大なり小なり経験したことがあるだろうから、その経験を通して「痛いんだな」と相手のつらさに近づくことができます。

重いうつ病で苦しんでいる人の姿を見て私が置き換えるイメージは、全身血だらけでフラフラな瀕死状態。

そこに、心無い言葉(「心が弱いから悪い」「甘えるな」など)をかけるのは、足を引きずって何とか持ちこたえている人の背後から大きな刀でズバッと斬りつけるようなイメージです。とどめの一撃! はい、死んだ。みたいな。

中には援護射撃のつもりで助けようとしている人もいると思うんですけど、「いや、あなたの弾ぜんぶ私に当たってますから!」的な状況もなきにしもあらず。

 

足を骨折したら歩けないように、うつ病になると就業困難

血を流して倒れるクマさん

激しい痛みを想像しやすくするのが、大きなケガ。

これに加えて、よくなるまでに時間がかかるということを理解するときには、骨折の例えがわかりやすいですね。

うつ病で休んでいる間。

「ずーっと休んでいるのに、全然よくなっているように感じられない。もっと負荷をかけてリハビリを頑張らなきゃいけないんじゃないか。サボっているからダメなんじゃないか!?」

そんなとき登場するのが、ギプスを指さす看護師さん。

「今は骨が折れてギプスはめた状態だから、うまく動けなくて当然だよ。まだ骨がくっついてないのに走ったら、治るものも治らないよ。時間はかかるけど、焦らず、回復を待とうね」

そう考えると、もどかしい気持ちを落ち着かせることができます。

複雑骨折や疲労骨折にも、共通する部分はありそうです。

 

あなたは怠けてなんかないよ

大ケガをして療養中のくまさん

うつ病や心の病気で苦しんでいる人が痛感していることではないかと思うのですが、精神的な症状は目に見えないからこそやっかいですね。

本人も周囲の人も、見た目に異常はなさそうだから平気なんじゃないかと考えてしまう。

しかも、何かの衝撃で壊れたというものではないので、いつダメージを負ったのかもわからない。ジワジワジワジワ浸食されて、気づいた頃には遅かった。

でも、目には見えないから、やっぱりよくわからない。

「私は怠けてるだけなんじゃないか」
「病気を盾に甘えているだけなんじゃないか」

本人がそうやって自分を責める。周囲もなかなか実感として理解するのが難しい。

あぁ……。

そう考えると、やっぱり赤い血はすごい。有無を言わさず、「痛いんだぞ」と教えてくれますもんね。そんなに痛くなくても、真っ赤な血が傷口から流れていたら、「うへぇぇ~痛そう……大丈夫?」と思わずにはいられません。鮮やかな赤色も、どす黒い赤色も視覚に強く訴えます。

今、私の脳裏には夢に出てきたお尻ズル剥け猫ちゃんが浮かんでいるわけなんですけれども、そんな姿で頑張られたら、悪化しそうで怖い。ばい菌とか入らない? 大丈夫なの? ちょっとさ、安静にしてなよ、ねぇ、寝てなよ、てか早く病院行こ!? って。

うつ病でしんどいときのヴィジュアルはそれぐらい、と思っておくといいかもしれませんね。特に自責感が強い人は。

どうしても「私はサボってるだけなんじゃないか」としか思えなくて、でも、しんどいから何もできなくて、落ち込むしかないってことありません? それ、すごくつらいから。

あなたは、ズル剥けお尻の猫ちゃんです。

そう思って、安静にしてください。そんでもって、ちゃんとお医者さんで診てもらってくださいね。

どうぞお大事に。

きつねさんのマフラーであたたまるクマさん

あ……皮膚の再生手術とか必要なのかな? わかんないけど、早く処置を! コンコン!

 

おまけ

1 COMMENT

みつき

私の中のしんどさのイメージは「海で溺れている」です。

無茶苦茶もう最大限にしんどいのは「深海」。誰もいないし息もできないし。何もしないで死ねます、みたいな。
ちょーっと浮上してもまだまだ海の中。死ぬのに抵抗ナシ。
だーいぶ浮上。海の底からお天道様を見ている。まぶしい。ダメだ。
頭がやっと出ても、溺れてます。
ずーっと、ずーっと溺れてます。
だって止めたら死んじゃうし。しんどいけど止めたら死んじゃうし。

そーんな私の今は、「海に漂ってる浮き輪につかまって大きな難を逃れている」状態です。
もちろん見渡す限り誰もいない。ひとりぼっち。
時々くる大波が怖くて、浮き輪を離せない。

なんかイメージのお話だったのでコメントさせていただきました。
お目汚しご勘弁を。

もう浮き輪は手放せないのかな~手放せなくてもいいけど私は何処へ行くのかな~いつまで漂うのかな~(リフレイン)

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